落下の王国のレビュー・感想・評価
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Fall…Fall…Fall
半身付随となった若きスタントマンのロイ( リー・ペイス )と、好奇心旺盛な少女アレクサンドリア( カティンカ・アンタルー )との交流を軸とした、独創的な映像が印象的な作品。
カティンカ・アンタルーの表情、仕草がなんとも言えず愛らしく、二人が交わす会話から物語の中へと移行する流れが秀逸。
象が海を泳ぐ姿を下から映した映像が余りに美しい 🐘
BS松竹東急を録画にて鑑賞 (字幕)
一人のスタントマンと、一人の少女が出会う、ちょっとした奇跡もしくは。
入院中の少女、アレクサンドリアと半身不随の宣告で自暴自棄になっているスタントマンのロイの物語。というか、リアルの二人の関わりとともに、ロイがアレクサンドリアに語る壮大な叙事詩も描かれていく。アレクサンドリアはロイにお話の続きを求めていて、ロイはその気持ちを利用するのがなかなかえぐい。ロイは病んでいるしそれを責めても仕方ないのだけど、アレクサンドリアが無防備であればあるほど、観る側としては胸が傷む。なんてことしてくれるんだと。
とはいえ、作品が描く世界は素晴らしいの一言。作中作と現実が絡み合い、ロイの抱える苦しみや葛藤、アレクサンドリアの純粋さ、健気が伝わってくるし、感情の揺れ動きがロイの作る叙事詩の結末を動かしてゆく。その展開に引き込まれてしまう。
アレクサンドリアが観た、あれはロイなのだろうか。ニューシネマパラダイスを思い起こすあのシーン。アレクサンドリアにとってはあれは全てロイで、オレンジに入れ歯を突っ込んで埋めると歯の生えたオレンジが育つ事を夢見る子どもらしい、信じる気持ちの現れなのかもしれない。でも、現実はどうかということはこの作品にとって重要ではないのだろう。ロイとアレクサンドリアはきっと笑顔で別れたはずだ。ありがとうと、別れ際に彼はきっと伝えたことだろう。彼が癒やされたことを救われたことをアレクサンドリアはまるで気づいてないしずっと気づくことはないだろう。そういうことってあるよね?
"落下の王国"=映画
当たり前だけど、前情報で聞いていてもやはり景色の美しさ、衣装の独特な雰囲気と色づかい、度肝を抜かれた。世界にはこんな「世界」が実在するんだとため息が何度もテレビ画面の前に積もった深夜4時。
そもそもベートーヴェンの第七番をBGMに突如重厚な幕開けを見せる白黒のオープニング、今思えばあれはロイの人生最悪の瞬間であり分岐点であったわけで、それなのに客観的に見る分には信じられないほど美しいという残酷さ。他人の人生なんてそんなものなのかもしれないとすら思う哀しさも圧倒的な美が打ち消す、いや打ち負かすような一瞬。
しかし、敢えてそれらのことには触れず、私が一番印象に残ったのはラストシーンである。
この映画って、つまるところ映画に対する愛を伝えたかったのかなと。最後に沢山無声映画が引用されていたけど、初期映画は技術的に出来ることが少ない中"落下"という動作は目に見えて解り易いから多用されていたのだろうと思う。
そして、この映画自体が映画における"落下"を担うスタントマンが語る物語であり、全て合成ではなく原始的にロケで撮ってるわけで、語り手と構成自体が初期映画をなぞっているような。
どうしても宣伝などで触れられがちなビジュアル面の拘りが、その美しさゆえだけでなくて初期映画に対するオマージュとして出発しているのなら面白いし、心から素晴らしいと思った。
まさに「嘘から出たまこと」の如く生まれたこの映画そのものと、映画に人生を変えられながらもまた映画に救われたロイがまたフィクション=映画を作ることに戻るという結末、圧倒的希望でしかないし、
文字通り落下してゆく数々の登場人物たちと先人たちによって創られた、スクリーン内外の幾多の"王国"を目にできる幸福を噛みしめる。
最後の方がなんじゃこれ!?
途中までは胸がキュッと来る感じのお話で、死にたい青年と無邪気な少女から目が離せなかった。
が、後半から急に物語の中の人物死にまくるやん!🤣
終わり方もなんだかよく分からず…
もう一度見たら分かるのかな?
でも映像は綺麗だし、演技もみんな最高に上手いしで観てよかった!
映像もストーリーも非常に美しい! 落下する者を優しく鼓舞する大人の為の童話。
撮影中の事故により下半身不随になったスタントマンが、木から落ちて腕を骨折した少女に出会い、ある目的のため彼女に自分が創作した物語を語り始める…というファンタジー&ヒューマン・ドラマ。
提供者に『セブン』『ファイト・クラブ』のデヴィッド・フィンチャーがクレジットされている。
あまり有名な映画ではないと思うのだが、何となく鑑賞してみて驚いた。
映像もストーリーも素晴らしいクオリティの傑作じゃないですか!
舞台は昔々のロサンゼルス。おそらく1900〜1920年の間くらい。
その病院での出来事は主人公である少女アレクサンドリアに着目して描かれる。
このアレクサンドリアがとにかくキュート❤️
これまでの映画史上一番可愛い子役といっても過言ではないくらい愛らしい。
小動物のようにちょこまかと病院内を駆け回り、可愛らしいイタズラをする様が凄くリアルで活きいきと描かれている。
見た目もプニプニしていて可愛らしい。前歯がないところとかも良い味出してます!
映画の序盤、アレクサンドリアがスタントマンのロイと仲良くなり、ロイに6人の山賊が主人公の叙事詩を聞かせてもらうようになる。
ロイの童話が始まると映画自体もそのお話の世界に飛び、6人の英雄譚が始まる。
病院での出来事と山賊たちのファンタジーが交互に描かれていくところがこの映画の面白さである。
ファンタジーの世界は、ロイが即興で作り上げていく物語が元になっているので、展開や筋書きはでたらめ。
アレクサンドリアが途中で口を挟むと、物語もその通りに変化していく。
この構造が面白いし、この映画独特のエッセンスとなっている。
このファンタジー世界の映像がとにかく凄い!
一見CGで撮影しているのかと思うほど、現実離れした映像が続くが、これは本当に世界中をロケして回ったのだそう。
ウソだと思うような景色の数々に心が奪われる。
一番びっくりしたのは象に乗って孤島を脱出するシーン!
これはCGだろ〜、と思っていたのですが、メイキングを見るとマジで象を泳がしている!
そこまでやるか!と思ったのだが、確かにあの迫力は実際に撮影したからこそだろう。
日本人デザイナーの石岡瑛子さんが担当した衣装も鮮やかで映画の世界観にマッチしており素晴らしかった。
可愛らしい少女とスタントマンとの心温まる交流が描かれていくのだが、映画も後半になると雰囲気がグッと重くなる。
自殺願望のあるロイが感情を爆発させてからの展開には胸が苦しくなる…
下半身マヒになった上、彼女を寝取られたら死にたくなるのもわかるよな〜…
重く苦しい展開が続いたからこそ、クライマックスでの展開には感動させられる。
自殺する為に始めた物語が、自分の心を癒すものに変わっていくという展開に、物語を作る人間の矜恃を感じた。
終盤で6人の英雄が死んでいく場面はちょっと鈍重さを感じたし、看護師のシスター・エヴリンの描きかたがちょっと中途半端だったかな、とか思ったが気になったのはそのくらい。
だんだんロイとアレクサンドリアが仲良くなっていく様子を見るだけで涙が流れた…
そしてロイがギリギリのところで立ち直った姿をみて、また涙😢
本当に良い映画を観させていただきました。
オープニングの映像もめちゃくちゃカッコ良かったし、スマートなエンディングも最高!
物語への愛が詰まった素敵な映画です!
とにかくオススメです!
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自宅にて鑑賞。ターセム脚本・製作・監督。錚々たる面子がスタッフに並ぶ。圧倒的な映像の力。ブルーバック等、技術的なハメコミを使わず、全て実際に現地で撮ったと主張する画面のロケは18箇国以上に上り、26箇所にも及んだと云う(ただしロケーション以外でのCG的なエフェクトは使用している)。出演者陣の演技も邪魔にならず壮大で綿密な画面が全てを包み込んでいる。息絶えた“ウォレス”が握っていたアメリカーナ・エキゾティカのシーンと映画界の先人達へのリスペクトに満ち溢れたラストは、不覚にも泣きそうになった。80/100点。
・ラスト近く病院関係者での試写会の席上で、L.ペイス演じる“ロイ・ウォーカー”が大怪我の元となったシーンがカットされてるのを観て、一瞬表情が強張るが、周りの人々の愉しむ様子に自暴自棄であったとは云え、この為に命を張ったと悟るシーンが秀逸で、『ニュー・シネマ・パラダイス('89)』を彷彿させる。また主要な登場人物が複数の役をこなしているのと、閉鎖された環境下での口物語が現実世界にも波及して来ると云うプロットは、大好きな『蜘蛛女のキス('85)』を想起した。
・鑑賞日:2011年12月1日(木)
夢のような実在の場所へ
オールロケが素晴らしい。その景色の中でちょっとおかしなものがたりと現実の話。いくつもの名勝地がでてくるので旅をしてきた人にはたまらないノスタルジーだと思う。
お話のなか最後まであきらめない子供は監督と重なる気がした。
実写でめぐるファンタジー
ロケ地のひとつインド アバネリの階段井戸を訪れたことがあったので借りてみた。それ以外にもすばらしいロケーション満載で楽しめる。5人の勇者などの登場人物たちがペラペラで残念。謎めいた人たちに物語を膨らませてほしかった。
溜息が出そうな映像と少女の可愛さは必見
「落下の王国」、確かこんな題名の作品があったわね~・・・ それだけで借りたので、内容についての予備知識はゼロ。
映画の撮影で、橋から落下して、足が不自由になり、恋人までスター俳優に横取りされ、失意のどん底にいる青年ロイ。
同じく、ミカン狩りの梯子から落下して、腕を骨折して入院している少女アレクサンドリア。
ロイの思惑から始まった壮大な叙事詩。
イマジネーションがたっぷり溢れた物語となっている。
そのイマジネーションを具現化する、世界遺産の映像。
行ったことのない地は、興味深く、とても美しい。
周囲が遠浅のエメラルドグリーンの海に浮かぶ、白い島。
蒼い空、オレンジ色の岩、白い路。
青緑色の湖に浮かぶ宮殿。
絵具で色をつけたかのような街。
幾何学模様の要塞のような建物。
行き先のない、階段だけの建物。
幻想的。
眩いばかりの光。
華麗。
実物ならではの、重厚感。
どれだけの言葉を使っても、言い表せられない。
この地球に存在する場所なんだ。
それに、荘厳な音楽も良い。
5歳の少女の、ぷっくりホッペが可愛い。
人生に絶望して、荒みきっているロイの心を写すかのように、物語は破滅へと向かう・・・。
純真無垢な少女の必死の想いが、楽しいはずのお兄さんは、いつしか恋しいパパにも繋がっていき・・・。
その悲しさが、ロイとアレクサンドリアを通して、私にも伝わってくる。
最後の白黒の無声映画が、なんとも言えないくらい良い。
ロイ役のリー・ペイス。
アレクサンドリア役のカティンカ・アンタルー。
どちらも、好演されていた。
物語に登場する人物の衣装がとても素敵。
なるほど、石岡瑛子さんだったのですね。
なぜみんな殺すの? なぜ死なせるの?
映画「落下の王国」(ターセム監督)から。
大怪我をし、さらに恋人を奪われ、自暴自棄になっていた
主役の一人、スタントマンのロイは、
腕を骨折して入院していた5才の少女・アレクサンドリアに
思いつきの冒険物語を聞かせ始める。
物語は、マイナス思考の彼が考えたものだから、
6人の勇者が、どんどん死んでいく展開。
しかし、プラス思考の彼女は、物語に引き込まれながらも、
彼に、こう言う。
「なぜみんな殺すの? なぜ死なせるの?」
最後には、心の底からお願いする。「殺さないで・・生かせて」
そして最終章に、物語の主人公に向かって
「立って」「立って戦ってよ」・・と絞り出すように叫ぶ。
この一連の会話が、マイナス思考の彼を、プラス思考へと導き、
退院後は、輝きを取り戻して仕事をする。
映画を観てて私も時々思う。
なぜ、人を簡単に殺したり、死なせる映画が多いのだろうか、と。
映画の世界だから、ゲームの世界だから、を言う問題ではなく、
こういう世の中だから、温かい映画で人々を包んで欲しい。
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