「エスプリ‥」画家と庭師とカンパーニュ こまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
エスプリ‥
がっつりネタばれになってしまうから、これから観るつもりの人は読まないほうが良いでしょう。
基本的に病気展開のお話はキライです。だって先がみえてるし。
可愛そうでしょ?悲しいでしょ?そんなお涙頂戴には気分が冷めてしまう。
のだがしかし。それは一時期ブームになっていたようなアレ系のことであります。この映画はさすがフランスというべきか。悲しいはずだし寂しいはずなんだけれどひねった笑いで魅せてくれる。
映画前半では画家と庭師はまるで共通の言語をもっていないかのよう。
幼馴染なのに長年会わないでいた間に全く別々の世界で過ごして形成されてしまったお互いの形が理解しあえないようにみえます。
現実にもそういうことってありますね。致し方ないけど寂しいことです。
画家は我儘で情緒不安定。庭師はイイ奴なんだけど近くにいたらちょっとうざったいかもしれません。この庭師が良くて。
田舎の祖母や祖父を思い出す。
それこそ教科書に書いてあるような知識はもってないかもしれません。
でもいつ雨がくるか、川で魚を捕まえるにはとか辛いことも長くは続かないとか。生きていくのに本当に重要なことを知ってる気がする。
庭師もそういう人物。
庭師に再会出来た事で、画家はやっと地面に根をはることができるようになった。
アジア食全般が苦手だから日本に関しても一言二言言ってるシーンもありますが、庭師が自分が死んだら天国でなく地に帰って地球の血肉になりたがるくだりは東洋的な感覚に思えて不思議でした。
観終わったあとに心に残るのは可哀想とか悲しいではなく、子どものように大笑いしていた二人の様子。
実際に亡くなった大切なひとを偲ぶとき思い出すのは楽しい時間のことが多いものだと思います。
号泣したけど暖かいいい涙でありました。