ハルフウェイのレビュー・感想・評価
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良い。
『ハルフウェイ』(2008)
好きだった男子と交際出来た女子高校生の気持ちの揺れ動きを淡く描いた映画だが、舞台が北海道で、男子はなかなかいけない所の早稲田大学を希望している。ところが、どうして東京へ行こうとしていたのに交際を始めたのかと、遠く離れてしまう女子高生は怒る。男子高校生は一旦、女子高生のために早稲田行きを諦めるが、結局諦めきれず。監督が、『半分、青い。』での脚本続行中の北川悦吏子だった。初監督作品で、岩井俊二がサポートしているという。交際相手が早稲田大学学生なら誇りに思うだろうに、女子高生は相手が遠くに行ってしまうからと拒否反応を示してしまうところが、素直なのか、足らないのか。遠く離れてしまうと心理的距離も難しくなってしまうと考えたのか。ネットに書いてあって思い出したが、主演の岡田将生と北乃きいは、テレビドラマの『太陽と海の教室』でも共演していたのか。観ていたはずなのに忘れてしまっていた。他の人がコメントに書いていたが、女子高生のわがままが、かわいく見えるのか、なんだこのわがまま娘はと感じるのか。仲里依紗と北乃きいがシャボン玉を飛ばすシーンはピアノの音色の背景の中で美しく、高校時代の人間の愛おしさを思い出させる。大沢たかおの書道の先生に北乃きいが相談するシーンもユニークだったが、女子高生は男性高校生が早稲田行きを辞めたことに対して、罪悪感もあると相談する。一生でずっと二人がいるとしたら、どっちがいいのかなと書道教師は女子高生に考えさせる。もし東京に行ってしまったら好きな子が出来てしまうかも知れない。書道教師は先日行った渋谷には魔物が住んでるとさえ言う。だけど東京を乗り越えて男が戻ってきたらうれしいでしょう。とそう考えてみるんだと。良い先生だから女子高生が相談に来るのかも知れない。そして女子高生の気持ちを書道にしなさいという。このシーンもなかなかいい。知らないが、高校生時代に交際する人達のほうが少ないような気もするし、私がそういう人種でないだけかも知れないが、交際している人達にも大変さがあるのかなと思わせる。女子高生が男子高校生を引き連れて職員室に連れていって、この人を早稲田大学に行かせてください。男子高校生の担任(成宮寛貴)に言うが、「それって誰の意見?」と男子高校生から以前に相談されていた教師も男子高校生も女子高生の変化に戸惑い、教師は男子高校生は本当はどうしたいのか尋ねる。口ごもってしまう男子高校生。教師にさらに問われると、「行きたいです」と答え、女子高生も一緒に頭を下げる。二人の会話がアドリブを多くしてリアル感を出したというが、うまく会話されていた。タイトルになったハーフウェイをハルフウェイだと言い合うシーンは、ほとんど地の会話で、他の人が指摘していて気づいていたが、演者がカメラを意識さえしているのにカットされずに採用されている。最後が、男子高校生がいよいよ上京で電車で女子高校生が見送るシーンで、なぜか親密性を表しているのかも知れないが、見送りが女子高校生だけだったり、そのシーンで終わりでなくて、一緒にドラムを叩いて会話するシーンで終えるのが、順序としてわざとやったのかわかりにくいシーンだった気もするが、今でも、地方から片方が上京してしまう事からの揺れ動きというのは、実際にも多くあり得るのだろう。ほかの下手な映画のようなキスシーンや抱き合うシーンさえ無く、心の揺れ動きをこれだけさらりと見せるというのは、青春映画の名作とはこのような作り方だと私は思う。エンディングもほんわかとしながら悲しい感じで映画の雰囲気に合う。
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