コドモのコドモのレビュー・感想・評価
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タブーモノをオレ的に楽しむには
本作はタイトルが示すとおり、のお話である。
責任者でてこい。
てめえの売名行為でしかないような映画である。
そもそもこの題材で映画にする理由が映画の中に見当たらない。
コドモにコドモができて、コドモたちだけで産む。
なんだそりゃ?
麻生久美子演じる教師のあり方を批判するでもなく、おばあちゃんしか気付かなかった少女の妊娠という事実で現代の社会事情の批判をするわけでもなく、ただうさぎの世話やうさぎの出産に携わるかのようなお気楽描写に気持ち悪さを感じる。
映画で問題提議をしろ、とは言わない。しかし誰が考えてもそれを題材にするのか、と一瞬戸惑うような、いわゆるタブー視される題材を撮るのなら、作り手なりの意見を明確に表現すべきだ。
それから逃げてちゃ
「エヘヘ、こんなん撮りましたけど、グヘヘ」
と言ってるだけにしか見えないぜ。
そんな曖昧なことをしているから、娯楽映画にもならず、問題作にもならず、子供達の演技がさぶいものにしかならず、大人たちの演技もさぶいものにしかならない。
日本の子役の演技力は決してアメリカの子役に劣ったりなんかしない。使う側がバカなだけだ。
つまらない大人の発想や後付けの妄想や、持ってもいない架空のノスタルジーや後悔の念でコドモを描くな、ばかもんが。
奥田民生がエンディング・テーマになっている。彼は高校の先輩だが、彼の一貫したビートルズ的な曲作りには尊敬するが、彼のスタンスはこういう映画に使われるスタンスでもあるんだよなあ、とも思うと正直泣ける。(もちろん悪い意味で)
若年出産を肯定する表現に絶句
相当前に観たので記憶は曖昧ですが、確かなことがひとつだけあります。
この映画は観る価値がありません。
短期間で大きく変化する子、孫の姿に全く気づかない烏合の家族。あまつさえ祖母は「神様は子を産めない人間を妊娠させない」みたいな爆弾発言を残してこの世を去ります。
もし幼い娘をお持ちの方がいたらその子が妊娠した姿を想像して下さい。
アクシデントで片付けて幼い女の子を苦しめ、出産までさせるのがこの映画のシナリオです。
胸糞悪いだけなので別の映画を楽しく観られる事をお勧めします。
終始モヤモヤとする。ストーリー構成もあやふや
子供が子供を身ごもるというものに興味を持ってみてみたものの
まあ、近年若年の妊娠、出産、堕胎は有り得るとは思いますが
それを大人に隠し通して
周囲の大人もお腹が大きくなっているのにも関わらず気付かず
子供のみで出産してしまう。
というストーリーに驚き
そして、なによりその渦中に大事な心情や様々な問題(金銭面や安全性、出産後)などがなにも描かれておらず、大事な所がすっぱ抜かれていて、出産シーンもさらっと軽く
一体なにを伝えたかったのかわからない。
もし子供がこの映画を見てしまったら
妊娠、出産は簡単なものなんだ!
妊娠したらおろせばいいんだ!
相手の子を妊娠させてしまっても責任を取らなくていいんだ!
子供だけでも出産は出来るんだ!
そんなあらぬ誤解を生んでしまうのではないかと思いました。
これはファンタジーだ!映画だ!と思い込もうとしても子供を産んで現在育てている身としてはどうしても割り切れず終始モヤモヤとしてしまう映画でした…
そして終盤なぜ担任の先生はみんなの前で主人公の出産渦中の話をさせたのだろうか…。
性教育のためにしても作中の描かれ方ではまた誤解を生んでしまうのではないでしょうか…
我が子が小さい間はこの映画は誤解を生まぬためにも見せたくはないなと思いました…
しっかりと割り切って映画を見れる方にはいいのではないでしょうか…
話の内容は普通に考えたらすごい!
5年生の子が妊娠しちゃう話。一番に親に相談でしょ?ってところをスルーするのがリアル感が全くない。
話の内容はリアルなのに、子供達で赤ちゃんを取り上げちゃうとことかどうしてもファンタジー感が。
ここに出てくる大人たちがとても最低。
でも、話の内容としてはあまりないから新鮮で面白かった。
リアリティは求めちゃダメかな
昔「14歳の母」というドラマがあったが、
それを上回る「10歳の母」の話。
こーゆー話は、産むか産まないか、が第一段階だが、大人にダンマリする事で周りからはスルー出来るけど、当の本人はもっと怖がっても良いんじゃない?葛藤とかするんじゃない?結構アッサリと「ウチ産むから」と決める件は肩透かし。
第二段階は産んだ後。ここもまあ同級生の和気藹々で過ごしてしまう。先生たちももっと悩めよ。一緒に飯食ってる場合かよ。
こんな事あっても良くない?、とまでは思ってないだろうが、いくら出生率低下してるとは言え、若年出産礼賛してる様に見えてちょっとなあ。
どうせならコメディに振り切るとかにして欲しい。
子役たちの頑張りには拍手。
よくがんばったね
子役達、主演の甘利はるなが好演。ばらばらだった子どもたちが、徐々に一つになっていく様子が面白かった。
残念だったのは、序盤の展開がばたばたしたこと。
おばあちゃんの「よくがんばったね」の一言が、この作品の絶大なる光だろう。
いや担任カス過ぎ
中絶した高校生とは違って小学生は産んでも全部責任親に丸投げ出来るからいいよね
生徒がなにを言っても信じない担任と自分の娘が妊娠9ヶ月になっても気付かない母親にだいぶイラつく
子供たちだけで出産なんて可能なのかまず小5で妊娠もどうかと思うが
父親になるとか言っておいて親の言いなりで東京に逃げたひろゆきはどうなの
養育費とかないの? 現実的なことばかり考えてしまう
なんで主演あの子なの
個人的にたまちゃん役の子の方がお芝居上手いと感じた
愚痴しか出てこない、、
この映画を観た小学生が実際に行動に移さないことを祈る
上野樹里の友情出演雑すぎでしょ
あり得ないようなあり得るような
作品の内容としては現代社会であり得ないようなあり得るようなという、線引きが難しく感じた作品。
大まかに言うと、小学生での妊娠と出産というストーリーだが、日本社会の性教育にもスポットを当てた作品のようにも感じた。性教育と言うと非常にデリケートで難しいようにも思うが、だが現代社会なら小学生での妊娠や出産もあり得るかもしれないと個人的には思う。と同時に周りの大人達が子供の妊娠に気付かない事や、子供だけで出産に立ち会うというのはなかなかあり得ない事かもしれないとも思った。
とにかくこの作品をリアルに見るかどうかで作品から受ける印象も変わってくると思う。また日本の性教育の意味をも問う内容であったと思う。
なんだかなぁ。浅い
小学校5年生の春菜。
学校の性教育の授業を受ける前、性への知識もないまま幼馴染のヒロユキと「くっつけっこ」という遊びをして、それが原因で妊娠してしまう。
姉の友人が中絶したのを目の当たりにした春菜は、自分は赤ちゃんを産もうと決意する。
しかし大人に知られると「大変なことになる」と思い、ひた隠しにする。
大人が、いかに子供と違う方向を見ているか。
大人が、いかに子供を理解していないか。
未成年、しかも小学生の出産というタブーに切り込んだ割にはすごくポップかつコミカルで、BGMも終始軽快、というのに個人的に違和感を禁じ得なかった。
え?そんなテンションでいいんすか?
それこそコドモが観たら「出産とかけっこうイケんじゃね?w」とか勘違いしそうですけど。
出産とは本来日常的なものであり、医師や専門家の立会いのもと厳粛に行うべき非日常なイベントとは限らない、という一つのメッセージなのかもしれないけれど、そんな重い主題を掲げている割には緊張感も重厚感も皆無でとにかく軽い!!
いらないカットも多い(たいして重要人物でもない校長が体育館で呆然とするシーンとか)。
何も伝わってこない、すっからかんという印象。
麻生久美子扮する新任教師は、先生としての前にそもそも人としてカス過ぎてギャグですか?
保護者たちから袋叩きにされるシーンも、いくらなんでももう少し何か言い返せるでしょう、とげんなり。
宮崎美子扮する春菜の母親も、姉が箪笥にしまってあったお金を盗んだときには「あんたたちのことは顔色でなんでもわかるのよ!」なんていきがっていたくせに、10ヶ月間も春菜の妊娠に気付かないなんてリアリティがなさすぎる。
あの生活環境で忙殺される意味がわからなかったからだと思う。
おじいちゃんちょっとボケてるけど付きっ切りで介護が必要なレベルじゃないし、畑が~って言ってるけど学芸会とかはちゃっかり来ているわけだし、何がそんなに大変なのか疑問。
物理的に時間がないわけじゃなくて、ただ見てない。
見てない自分自身にも気付いてない。
ただのおたんこなすだな。
嫌だああああこんな母親になりたくないいいいいい
センセーショナルな映画が観たい気分だったからこれを選んだけど、超少子化のいま観ると違和感しか残らない作品でした。
ってか春菜役の子の親、よく娘にこの役やらせたな。
台本とはいえ、私はなんか嫌だわ。。。
映画だからこそ成立するファンタジー
本作は、小学校5年生の少女の妊娠と出産という非常にショッキングなテーマを描いた作品だが、百聞は一見にしかず、まずは観てほしい。
当然、映画の内容が賛否両論を呼ぶのは間違いないし、小学生の出産自体にはもちろん賛成しかねる。ただ、命の発芽に戸惑いながらも、徐々に母親としての自覚に目覚める主役のはるなや、はるなを支える同級生の面々の大奮闘を観ていると、いつの間にか応援したくなるのも事実(ちなみに大人たちははるなの妊娠に気がついていないか、あるいは信じていない)。
「周囲の大人が妊娠に気がつかないわけがない」という指摘も出てくるだろうけど、本作は映画だからこそ成立するファンタジーなので、まずは騙されたと思って観てほしい。
コドモだからこそ。
コドモがコドモを妊娠し、コドモたちだけで出産しようとする。
事実を素直に受け入れるのは、
コドモたちと、おばあちゃん、おじいちゃん。
春菜(甘利はるな)は小学5年生で11歳。
仲が良くて幼なじみの、いじめられっこヒロユキ(川村悠椰)を
いつも助けているような、元気で、
ちょっと勝気で言葉使いもイマドキの女の子。
ある日、公園にヒロユキと一緒に行き、ヒロユキの立ちションを観ながら、
あっけらかんとアソコのお話をしちゃったりし、
“くっつけっこ”という遊びを興味本位で始めてしまう。
そして、担任の八木先生(麻生久美子)が行った性教育の授業により、
“くっつけっこ”がどういうことかを知り、
しばらくして春菜は妊娠してるのではないかと思う。
お母さん(宮崎美子)にも、お姉さん(谷村美月)にも、
おばあさん(草村礼子)にも、お父さん(斉藤暁)にも、
おじいさん(榎木兵衛)にも、大人たちには相談できないまま、
お腹はだんだん大きくなっていき、
最初は優等生の美香(伊藤梨沙子)に知られてしまう。
そして、友人たちにも知られ、ミツオ(帯金遼太)、真由(大熊彩花)、
珠(須藤瞳)、ダイゴ(竹森雄之介)、万作(山田清貴)は、
コドモたちだけでコドモを守ろうとする。
小学5年生の女の子が妊娠し、
出産するという さそうあきら のコミックを、
神童 に続いて 萩生田宏治 監督が実写で映画化。
賛否両論は覚悟の上でしょうし、
設定を変えないで話題になるのも計算済みか、
と思わなくもなかったけども、
ファンタジーで包み込んでしまっていいのかと、
思わなくもなかったけども、それでも、
コドモたちのコドモが出来てしまったという事実に向き合い、
素直に受け入れ、何とか成し遂げようとする姿に、
それを真摯に描こうとする姿勢には、
僕も素直に受け入れたくなってしまう。
“くっつけっこ”と表現されているセックスシーンはもちろんありません。
児童ポルノではありません。
性教育の授業シーンではある程度説明されてますが、
PG指定もR指定もありません。
コドモだけで観てしまうのはいいのか、悪いのか分かりませんけど、
親子で観て、大いに語り合うのには結構なことだと思います。
コドモがこの作品を観て、どのように感じるのか、
興味がある所でもあります。
実際に会場では親子連れもチラホラ見受けられました。
女子の前で立ちションをしてる時点で、
もう僕にはありえなかったことで、ファンタジーだよ。
そんな感じでラストまで、あっけらかんと、のびのびと、
のほほんとした感じでいっちゃうのです。
コドモは事実を素直に受け入れ、頼もしいと思えるほどの、逞しさや、
力強さを感じさせるのです。
過激な設定にもかかわらず、嫌な感じなど受けず、
面白く観る事が出来るのです。不思議といえば不思議であります。
映画 JUNO では16歳。連ドラ 14歳の母 ではもちろん14歳。
この作品は11歳。実際に11歳で妊娠は出来るのでしょう。
相手が同じ学年でも出来るのでしょうか、それは分からん。
張り切っていた先生も妊娠に全く気付かず、
コドモの変化は見逃さないような描写もあった母親も、
家族の誰もが出産近くまで気付かない。ありえないよなぁ。
いくらガツガツとご飯を食べてたって、いくらなんでも気付くだろう。
洋服とか平気だったのかな。
周りが誰も気付かずに・・・という、
いや~なニュースをたまに目にしますが、
小学生のあの小さな体で、う~ん。
よく小学生が身重の体で平気で普通に歩けてたよな。
優等生の美香は真剣に春菜の事を心配するけど、
春菜も含めてコドモたちは、理解出来ているのか、出来ていないのか、
とても楽観的で、それもまた面白いとさえ思えてしまう。
そして、よく出産できたよな。安産だよ。奇跡だよ。
そんなことを思っていても、出産シーンでは無理だろうと思っていても、
雪の中のオンボロな小屋で追い詰められ、頑張っている姿に、
頑張って命を産み落とそうとしてる姿に、コドモたちの頑張りに応援し、
安堵してしまう。
教師も母親も気付けない中で、おばあちゃんは感じ取り、
よく頑張ったねと、春菜を褒めてくれ、泣ける。
そして、コドモが出来るということは、妊娠するということは、
コドモを生む準備が出来ていたんだよ。というようなことを言ってくれる。
妙に納得してしまう自分が居る。
それだけを聞くとアホかと思うでしょうが、
作品を観てる時の僕はそんなことを思わなかった。
そう、おばあちゃんは素直に受け入れる。
おじいちゃんも、宝だ、と受け入れる。ちょっとボケ気味だけど・・・。
知識の乏しいコドモたちも、多くの経験を積み重ねてきて、
人生で多くのモノを背負ってきたはずの、
おばあちゃんも、おじいちゃんも、同じなんだよ、と言わんばかりに、
素直に受け入れる様子には、親もPTAも騒いでいる姿が、
バカバカしくも見えてきて、面白い。
面白い、面白いと言っている僕は、
設定だけで批判してしまうような良識派の方たちにとっては、
アホな大人に映るのかもしれないけども、
批判するなら観て欲しいと思います。
命を前にし、純粋にその命を守ろうとし、考える前に、動く。
それが批判される要素でもあるし、
考えないで動くことが出来るコドモたちの素晴らしさでもある。
この作品を批判するオトナの周りでは、小学生はないとしても、
いや小学生でも、ホントにありえないことでありましょうか。
好奇心旺盛なコドモたちを、
情報が溢れかえっている現代で生きるコドモたちを、ちゃんと理解して、
見守れているでしょうか。
あって欲しくないことですが、考えさせてくれる作品で、
コドモたち目線で、真摯に作られている作品だと思います。
興味がある方は、是非ご覧下さい。
僕はこの作品のコドモたちを演じたコドモたちの、
ナチュラルな演技に魅了されっぱなしでした。
コドモどころか、結婚も出来ず、
自分のダメダメな遺伝子なんか残さないでいいと思っているような、
オッサンの感想でした。
新人甘利はるなの好演で、深刻な話が明るく爽やかな感動的ストーリーに仕上がっていました。
主人公の春菜はイマドキのまだ小学5年生の女の子。こんなあどけない女の子が妊娠するなんて、どんな作品だろうと興味津々でした。
実際見てみて、新人とは思えない勝ち気でネアカな甘利はるなの演技で、深刻な話が明るく爽やかな感動的ストーリーに仕上がっていました。
ただ出産を迎えるまでの前半は、萩生田宏治監督の戸惑いもあったのか、エピソードの見せ過ぎで展開が鈍くなったり、逆に強引に進めたりするところが目立ちました。
春菜の妊娠のきっかけは、“くっつけっこ”といういわばお医者さんごっこによる遊びで、本人たちも気づかずに出来てしまったことにしてしまっています。小学生の出演者を使った表現では、制約も多かったでしょう。でも大きな木の枝が揺れるだけのアップで、「できた」ことをイメージさせるのは、やや唐突でした。
今時の小学生なら、充分恋愛感情もあるようです。ふたりの軽~いふざけっこ感覚がきっかけで、コドモができちゃうという点は、違和感を感じましたね。
それでも出産シーンに入ってからは、ドラマはいいテンションに上がっていきます。小学生が妊娠するのが驚きなら、更に出産まで大人の力を借りずに、子供たちでやってのけてしまうことにもおどきました。
そんな嘘っぽい話でありながら、しっかり者の学級委員美香が見事にその場を落ち着いて仕切って、あの子がいるならあり得そうという雰囲気にしてくれました。そして、父親が産婦人科医をしている遼太がいたことも大きかったです。彼の指導で、呼吸法や出産に関わる準備を整えることが出来たのです。実は遼太は父親の仕事を毛嫌いし、出産もキモイ物を拾い上げるような感じてみていたのです。そんな彼自身がクラスメートの出産に関わってどう心境が変化したのか、聞いてみたかったです。
子供たちだけで出産を迎えるというクライマックスへ至るために必要だったことは、先生や家族たち大人と子供たちの意思疎通が断絶していることでした。
まず春菜はとても自立心の強い女の子として描かれました。親や担任が注意しようものなら「みんな死ねだし」とため口を返してくるくらい、人から干渉されることが嫌いな子だったのです。そんな性格を打ち出していたので、1年近くの妊娠期間を秘密裏に過ごしていることに違和感を感じませんでした。
春菜のおなかの異変に大人たちは誰も気づきません。ただ祖母だけは経験から来るカンで、見抜けていたのです。本作では、先入観や道徳という物差し。そういう大人の頭でっかちなところをユーモラスに浮き彫りにしていていきます。
春菜の担任の八木先生も、先陣切って性教育に取り組んでいる割には、春菜の妊娠の相談にすら、ふざけないでと叱るばかりで耳を貸そうとしません。
そして事実が分かったとき、初めて八木先生は自分の無力さに気付くのでした。
八木先生の存在は、先生ばかりでなく親たちにも子供を信頼し、子供の発する言葉やシグナルとなる所作に心を向けることの必要性を痛感させられることでしょう。
終盤のクラスルームで、八木先生も春菜たちの経験談の発表から、性を教えるのに大切なことを学びます。それは性器の名称とか機能なんかでなく、いのちが宿る感動でした。 春菜が語る出産の喜びとは、とても小学生の台詞とは思えません。
痛みが消えていって、どうにでもなれって言う感じ、超感動!というときの春菜の言い方は、すごくスピリチャアルに肉体五感を超えた感覚をこの子は分かってて言ってるのだなと思いました。直感的に妊婦の気持ちを掴んでしまった甘利はるなは、きっとすごい女優に化けるでしょう。
そのはるなちゃんですが、12月公開の妻夫木聡主演作『ブタがいた教室』( 前田哲)でもヒロイン役を務めていますので、ぜひこっちも見てはるなちゃんを応援しましょう!
また東京の私立学校の教師をしていたという八木先生役の麻生久美子もタカピーな教師ぶりや妊娠に対する狼狽ぶりをよく演じておりました。
そしてなりよりも、7人の子供役者の他大勢の地元エキストラの子供たちのはしゃぐエルネギーをうまく集中させ、演技へ持って行った監督の手腕が光ります。
秋田の廃校を借りるときも、内容を気にした地元から反対運動が起こったそうです。それを乗り越えたのも監督の情熱のたまものでしょう。
この作品で描かれているように思春期前の子供たちに親としては、なるべく寝た子を起こしたくないという気持ちでいる方がほとんどでしょう。そんな方でもいつ何時、子供から説明を求められて四苦八苦することもあろうかと思います。いい加減な返答をするくらいなら、本作を親子で見て、命が生まれてくることの尊さを真正面から語り合ってみることも悪くないと思います。
加えて、安易に中絶する風潮が多い中、劇中でも12万円で簡単に堕ろせるという春菜の知り合いのみとも触れつつ、それを拒否して産むことを決断した春菜の勇気に拍手したいです。(やっぱりこっちはお地蔵さん系統ですからね。水子はご勘弁!)
生命が胎内に宿り、誕生していく過程を肯定的に描くこと、そして子供たちの友情の素晴らしさ、その成長ぶりに、きっと爽やかな感動を覚えることでしょう。
なお上野樹里も思わぬところでカメオ出演しています。気付かなかった!
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