「独自の設定はGOOD!しかしインパクト弱し」闇の子供たち erimakiさんの映画レビュー(感想・評価)
独自の設定はGOOD!しかしインパクト弱し
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フィクション要素の有無などは抜きにして、あくまで創作物を観た感想だけを述べます。
映画独自に用意した設定は結構好き。主にふたつ。
・南部(江口洋介)の重大な秘密
・音羽恵子(宮崎あおい)のキャラクター
南部の秘密に関して
全てを明らかにせずに締めくくるやり方も、観るものに考察の余地を与える効果があり、より深みをもたらしていたと感じる。
音羽恵子のキャラクター
原作ではただ純粋に正義感の強い実直な女性という印象であったのが、独自に追加されたシーンや宮崎あおいの演技によって映画オリジナルのユニークな女性像が更に構築されていたように感じた。
自分の正しいと思ったことをすぐ口に出してしまうくだりなどは頭が悪くてこちらをイライラさせつつも、エイズを発症してしまった子供にキスするシーン、ゴミに捨てられそうになった子供を救うシーンなど、我が身を犠牲にしてでも貧困にあえぐ子供達に寄り添う強き信念を持った女性であることを原作以上に印象付けられ、感じ入るものがあった。
ただ単純にインパクトという点では遥かに原作よりも弱かった。映像作品である分、制限がより強くなってしまうのは仕方がないが、原作は映画よりも遥かに目をそむけたくなるような凄惨な描かれ方がなされていて、特にエイズを発症して捨てられた子が地を這って故郷の村にたどり着き、肉親や村人からまるで家畜のような扱いを受けつつ息絶えるまでの描写の衝撃の強さは、全く映画の比ではない。
とはいえ、映画単体でもなかなか良い作品だと思いました。
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