「これが現実。。?」闇の子供たち じぶさんの映画レビュー(感想・評価)
これが現実。。?
人身売買、幼児売春、臓器売買と思いテーマを描いたフィクション映画。
映画としてはおもしろく見られましたが。。
なんとなくもやもやした気持ちになったので評価は低くなりました。(理由は後述)
日本人に心臓を提供する為に健康なタイの子供を殺す、という事を知り、目の前の子供が可哀想、という感情でただ突っ走って空回りするNPOの宮崎あおいと、そんなところはもう通り越して1歩引いてありのままを社会に伝えようとする江口洋介が対比的に描かれる。
さらに臓器を提供される側の日本人の子供の親、虐待される子供を管理するマフィアなど、
それぞれの視点が絡み、一概にお前が悪い、と線引きできないような複雑な心情、葛藤があるのはよかったのですが、そのあたりをもっと深くえぐって欲しかったように思います。
少し気になったのは日本人母親と宮崎あおいがヒステリックになりすぎていて、もう少し理性的な方がリアリティがあって良いと思いました。(バカに見える)
ただ、それをフォローするように母親に対しては父親(佐藤浩市)のセリフ、宮崎あおいに対してはキスシーンの描写があったため、そこは良かったです。
それにより宮崎あおいが成長したするのかなと思ったけどそうでもなかったように見えましたが(笑)
そしてラスト。
もっと大きな問題、深いテーマを扱っているのになぜ個人の小さな問題にしちゃうのかなあ、と思いました。
日本人に他人事ではない、と思わせる為っぽいですが、ラストがなくても他人事、と割り切るほど観客に想像力ないとは思わないし、思う人はこのラストでも他人事としかと思います。
最初に言ったモヤモヤしたこと、ですが、
インタビューやレビューを見るにこれが「タイの闇」、「あなたが知らない現実」つまりドキュメンタリーという観方、伝え方をしているのが気になりました。
どこまでが現実でどこからがフィクションなのかがわからない。
例えば、この映画に取材協力されたという医師の話では日本人がタイの子供の臓器を移植、しかも生きたまま、という事実はないそうです。
(ここが違うとしたら以降はただの勘違いです。)
実際には知らないだけであるのかも、とは思いますが、この映画は取材を重ね、裏をとった事、つまり江口洋介のやっていた事をやろうとしているようと思ってました。
一番ショッキングな出来事がフィクションというのがなんともモヤモヤしてしまいました。
おそらく、人身売買、幼児売春、臓器売買は世界中に、なんなら日本にもあると思います。
その行為が悪なのは当然としても、スパッと勧善懲悪で解決出来ない大きく深い問題も孕んでいることと思います。
そこをもっと深堀したものを観たかったです。
フィクションを勝手にドキュメンタリーのように捉えた私が悪いのですが。