「ブラボー!!」ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢 いきいきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ブラボー!!

2008年10月11日

泣ける

笑える

興奮



 事実は小説より奇なり、希なり、祈なり、喜なり、鬼なり、嬉々なり。

 75年初演で製作の舞台裏をそのまま作品にし、トニー賞を9部門受賞、
 15年のロングランを記録したブロードウェイ・ミュージカル
“コーラスライン”の2006年16年ぶりの再演に向けて
 8ヶ月間もの期間をかけて行われた、過酷で、
 熾烈なオーディションの模様を中心にして描いたドキュメンタリーである。
 応募者数は3000人。残れるのは19人。
 一気に、徐々に減っていき、絞り込まれていく選考過程に密着し、
 一流のダンサーたちが闘いを繰り広げる生の姿を、
 その中で生まれるドラマを捉える。

“スター誕生!”は記憶にないが、
“イカ天”や“ASAYAN”などは楽しんでいた。
 今のアメリカでは“アメリカン・アイドル”でしょうか。
 オーディション番組でオーディション風景を観たことはあっても、
 ブロードウェイのオーディションは初公開で、
 ミュージカルや舞台にあまり興味はなくても、どれくらい厳しいのか、
 どれくらい激しいのか興味があり、これこそ最高峰の闘いであるという、
 ドラマティックで、笑えて、泣けて、熱いモノを頂きました。
 その中に日本人が居るというだけで、ちょっと嬉しくなる。

 オーディション風景だけでなく、初演の映像や、
 関係者たちへのインタビューなどと、
 貴重なインタビュー・テープで構成されています。
 振付・演出のマイケル・ベネットが、
 ダンサーたちに行ったインタビューのテープで、
 生みの親がぶっちゃけた事で始まり、ぶっちゃけあって、
 真実から生まれた、コーラスラインの原点も聞くことが出来る。

 コーラスラインは真実から生まれた物語である、
 ということも知らなかったわけですが、
 そのコーラスラインの舞台に立つために、
 応募者数3000人で残れる19人を目指して、
 最終選考まで8ヶ月をかけて闘う姿を、小気味よいテンポで魅せていき、
 的を絞ってドラマを作り上げていて、だらけることなく最後まで楽しめる。

 ダンスで競い、歌唱力で競い、表現力を見極め、役に合っているのか、
 合わないのか、非常にシビアで、過去に実績があろうが、なかろうが、
 そんなことは関係ない。そして、演技力でも競う。

 ほんの少しのシーンで、セリフだけで、
 審査員たちと一緒に泣いちゃってる僕は何なのさ。
 これが、本物の力ですか。

 最終選考でもホントに鬼かというような、8ヶ月やってきて、
 その要求はさすがに辛いだろうというような、要求があったりして、
 それが出来てこそのプロなのかもしれないけど、
 最高峰なのかもしれないけど、非常に厳しい。

 勝者も、敗者も、お互いを讃えあい、気持ちいい。
 舞台に立てなかった者も、やりきり、出し切った清々しさを感じさせ、
 下を向き落ち込む事はなく、前を向き、チャレンジし続けるのでしょう。
 その姿に教えられ、素晴らしいと思い、勝ち残った者は、
 厳しいオーディションを乗り越えたからこそ、眩しいぐらいに輝いていて、
 自信に溢れていて、だからこそ観客を魅了するのでしょう。

 ブラボー!!

いきいき