「いいシーンもたくさんあるのに、あえて安っぽく笑いをとろうとしたところが残念でなりません。」カンフー・ダンク! 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
いいシーンもたくさんあるのに、あえて安っぽく笑いをとろうとしたところが残念でなりません。
ハリウッド映画かと思いきや、中国映画でした。
見たのは日本語吹き替え版でしたが、吹き替えの演出が一段とお馬鹿さ加減を際ただせている感じがしました。とにかく始まってすぐから主人公シージエの台詞回しの軽薄さが気になって悪い予感がしました。でもその予感は的中。とんでもな映画と遭遇したショックで「ありえねぇ~」と叫びたくなる衝動に駆られてしまったのであります。
冒頭のカンフー修行シーンや、やくざ相手に派手に暴れ回るカンフーアクションには見るものはありました。けれどもストーリーが稚拙すぎます。
何んで大学のバストケット部に新人部員としてシージエを入部させることが、新聞記事になり、国民的話題となるのでしょうか。それくらいバスケが中国国民の間でメジャーなスポーツなのでしょうか。
そしてそのシージエには腰巾着に寄り添うマネージャーがいて、何らかの経済的メリットを得ているようなのです。アマチュアスポーツではあり得ない設定ではないでしょうか。さらに大学対抗のバスケ大会が裏社会の賭け事の対象となり、裏社会の息のかかった大学チームが勝ち上がって、シージエのチームと決勝戦を行うのですが、このとき裏社会の組織のボスが露骨に妨害工作を仕掛けてくるのです。
だいたい大学のバスケ大会に大金賭ける裏社会のボスなんているわけないでしょう。審判までもが裏社会の回し者になっていて、試合のシーンはもう何でもありの状態に。
さらに、シージエを育てたカンフー学校の講師軍団が助っ人にバスケ参戦したときなんか、試合そっちのけで乱闘する始末。バスケ映画としてはもうはちゃめゃの状態となり、大いにしらけました。
かっこいいダンクシーン。逆転に向けたチームの団結。そしてラストのシージエとリーの心温まる交情などいいシーンもたくさんあるのに、あえて安っぽく笑いをとろうとしたところが残念でなりません。
同じ時期公開のカンフーパンダは感動しましたが、同じ笑いをとる角川映画公開のカンフー映画なのに落差の激しさに衝撃すら感じましたよ。
追伸
『俺たちダンクシューター』のほうが同じ分野の作品として遙かにおもしろかったです。