劇場公開日 2008年6月14日

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「かつてそこにあった、ある細やかな人生」1978年、冬。 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 かつてそこにあった、ある細やかな人生

2025年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

幸せ

癒される

人生の様々な時期に応じて、人は誰かと集い、出会い、やがて別れが訪れる。
二度と会えない人も居れば、再開の時もある。
子どもは成長し、大人は老いてゆく。
何も変わらないように見える静かな生活でも人生は一時として止まることはない有様を
文化大革命時の中国北部の小さな町を舞台に、ある冬の数カ月間の出来事とその後日譚を描いた物語です。

町に暮らし、閉塞した環境に鬱屈を抱える青年と、父親が反体制分子のため下放されてきた北京出身の少女を中心に、何気ない町の人間模様が映し出されます。
町と工場を巡回する通勤通学列車など北京とはまた違った、地方独特の暮らしぶりを垣間見ることができることができるのも本作の魅力の一つです。

青年の弟くんの可愛らしさ、一見ヒステリックな母親が見せた涙、なんだかおかしいほどに有能な青年の親友。
人生の真理は細部に宿ることをまざまざと観せてくれるのが映画の魅力の一つだと感じました。

さとうきび