劇場公開日 2008年10月25日

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「いつの世も女の幸せは難しい」ブーリン家の姉妹 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5いつの世も女の幸せは難しい

2014年2月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

知的

昨年ヒラリー・マンテルの『ウルフ・ホール』『罪人を召し出せ』を読んで俄然興味が湧いたブーリン家のアンとメアリーの姉妹。小説では、アンが妹、メアリーが姉という設定だが、ふたりのキャラクターは同じ。賢くて野望に溢れたアン、田舎での暮らしを望みおっとり女性らしいメアリー。アンをナタリー・ポートマンがメアリーをスカーレット・ヨハンソンが演じているが、このキャスティングが非常に良かったと思う。
スカーレット・ヨハンソンはセクシーで奔放なイメージもあるが、過去にも『ゴースト・ワールド』や『真珠の耳飾りの少女』などあまり多くを望まない控え目な役も演じている。仲のいい姉妹と言っても、こと色恋が絡めば、そこは女同士。近いが故に許せないということもある。しかし、肉親の情もまた強い。ピーター・モーガンの脚本は史実にフィクションが巧みにストーリーに練り込まれていて、これは小説と同じ。
映画はブーリン姉妹が主人公なので、ヘンリー八世のキャラクターはちょっと弱いかなと思わないこともない。ヒラリー・マンテルの小説の主人公トマス・クロムウェルに至っては(王の離婚と再婚に関して相当暗躍したはずなのに)、最後にワン・シーン登場するのみだが、歴史は一方からの見方では全体が見えないということを教えられたと言えないこともない。
女優二人が輝く本作だが、二人の兄弟ジョージを演じるジム・スタージェス、メアリーの最初の夫のベネディクト・カンバーバッチ、メアリーの二度目の夫エディ・レッドメインなど今をときめくイギリス人俳優が出演しているのも見所。ヘンリー八世の最初の妻キャサリンは『ミツバチのささやき』のアナ・トレント!

arakazu