劇場公開日 2008年10月25日

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「権力の亡者の歴史劇」ブーリン家の姉妹 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0権力の亡者の歴史劇

2013年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

難しい

総合75点 ( ストーリー:80点|キャスト:85点|演出:80点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )

 これほどに宮廷の権力争いを赤裸々に描いた作品もなかなか他にないのではないか。君臨する移り気で強引な王がいて、より良い地位と名誉を求めて宮廷で暗躍する貴族と女がいて、彼らが権力と欲望の虜となって醜い姿をさらす。
 質感の高い美術と撮影と演技があっても、最初はあまりにあさましい彼らを観てこの主題にいい感じはしなかったのだが、だんだんとひきつけられた。特に才気あるが野心の強すぎるアンを演じたナタリー・ポートマンの、何が何でも地位を掴むという鬼気迫る偏狭な権力欲の塊の役の演技は面白い。こうなってしまった女って今も昔も理屈じゃなくて思い込みで動いて、それは怖いものだ。
 結局彼らは他人の幸せや国家をどう運営するかということはどうでもよくて、自分の地位のことだけしか頭にないのだ。巻き込まれていく人々もたまったものではない。その後の展開も含めて、宮廷の歴史とその裏側の闇に触れたようで、汚れた世界ながらも面白い。でもやっぱりこういう世界って好きじゃないな。

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Cape God