「平凡以下のB級冒険活劇」カールじいさんの空飛ぶ家 かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
平凡以下のB級冒険活劇
自ブログより抜粋で。
激辛注意。ファンの方、ごめんなさい。
日本語字幕の3D版での鑑賞です。
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かなり前から話題になっていたし、ハズレなしのディズニー・ピクサーだしってことで、この冬一番の期待作と意気込んで観に行ったんだが、期待はずれどころじゃなくつまらなかった。そりゃもう、びっくりするぐらい。
期待しすぎたのかもしれないけれど、つい最近、世紀の大傑作『マイマイ新子と千年の魔法』(2009年、監督:片渕須直)を観たばかりってのもあるかもしれないけれど、それにしても、なぁ。
(中略)
予告編で散々観た、風船で家ごと空に旅立つまでは良かったのよ。そこまでなら満点をあげていい。
特に、晴れの結婚式からエリーが他界してカールがひとりぼっちになるまでの思い出多き日々を、セリフなしで一気に見せた一連の心温まるシークエンスはお見事としか言いようがない。
なのに、その後の展開が…。
大空を舞台にしたおじいさんの冒険話かと思いきや、それがすぐに裏切られる。
あっという間に地上に降りて、荒野やジャングルに舞台が変わってしまい、思っていたのとだいぶ違う。
いや、いい意味で裏切られるんならそれもありなんだが、そこでのてんやわんやは平凡以下のB級冒険活劇って感じで。
デフォルメされたファミリー向け作品であれば、ある程度のご都合主義は大目に見るんだけど、それにしてもこの作品はそれがちょっと気になるほどに出来すぎ。
翻訳機でしゃべれる犬の登場とか、作り手は面白いつもりなんだろうけど、観ているこっちはちっとも楽しく感じられない。
しかもCGアニメによるその犬たちのビジュアルがやけにリアルで、デフォルメされた人間キャラと比べてバランスが悪く、間抜けで可愛いつもりの姿が、どっちかというと気持ち悪い。
挙げ句に悪玉のボスってのが登場して、なんだかその正体も夢がないというか、やることが生々しいというか。
その後の展開、はい、ここで感動してくださいとばかりに反撃に出るカールじいさん、最初に“それ”が映った時点で予想できた最後のオチにいたるまで、教科書通りの予定調和で意外性にも乏しい。
いやまあ、丁寧に作ってあるとは思うのよ。無難にまとめられているというか、批評家好みのそつのない良作っぽくはある。
そういう意味では、同乗する少年が東洋系らしき黄色人種であるとか、悪玉の正体、反撃のためにカールじいさんがとる行動とかが暗喩的で、裏テーマを探りたい、いわゆる映画ツウが喜びそうな作り。『グラン・トリノ』(2008年、監督:クリント・イーストウッド)とか好きなら合うかも。
個人的にはこういう子どもっぽいファミリー向けアニメで露骨にそんなことされても、って逆に憤ってしまうが。
そもそも致命的につまらないんだもの。がっかり。