「風船に夢をのせて」カールじいさんの空飛ぶ家 kerakutenさんの映画レビュー(感想・評価)
風船に夢をのせて
ピクサーの10本目のアニメーションは
はじめて人間が主人公。
幼なじみの冒険好きのカールとエリーが恋をして、やがて結婚。
子どもには恵まれなかったものの、同じ家で仲良く年をとり、
エリーが亡くなって、ひとりぼっちになったカール・・・
ここまで10分か15分くらいなのですが、
もうこれだけで1本の感動作を観てしまったような感じで
ちょっとうるっとしてしまいました。
妻と長年住んだ家は立ち退きを迫られ、
老人ホームから「お迎え」のくる、その日に
たくさんの風船とともに、家ごと旅立つ・・・・
まあ、アニメだったら、「ありがち」なストーリーなのですが、
このお話、予測不可能の、波乱万丈のストーリーなんですよ。
妻を亡くした後、気難しい気性から
周囲の人とうまくやって行けずに、孤立し、
近所のアジア系の少年との交流・・・といえば、
「グラン・トリノ」のパクリじゃん!
と最初思ったのですが、それも早とちりでした。
「冒険」に同行する8歳の自然探検隊員のラッセル。
なんか、私にはたまんないキャラでした。
アジア系でも、モンゴル系っぽい、
朝青龍の少年時代みたいなこの少年、
真面目でオタクで、正義感あって、ちょっと天然なんです。
かわいいなぁ~
悪役キャラとしゃべる犬の軍団。
ようやく動物が登場してからは
いつものディズニーピクサー映画で、
技術のレベルは高いですが、この辺はお子様むけかなぁ。
予告編でもチラシでも、ストーリーはほとんど公表していないし、
公開までまだ3か月以上あるので、ネタバレはやめますが、
小さい子からお年寄りまで、それぞれの感動・共感ポイントが
あると思いますよ。
独居老人を老人ホームに入れる、というのは
「最良の介護」とされていますが、本当かなあ?
それさえも今は財源不足でままならない状況ですが、
危険だろうが、無謀だろうが、
好きにさせてあげればいいじゃん!
と思ってしまいました。
風船に乗って空を飛ぶ、なんて荒唐無稽な設定なので
まじめに取り合う人は少ないだろうけど、
アニメだからこそ、いえちゃうことってありますよね。
カールじいさんの「夢」は、昨日今日思いついたものでなく、
歴史が深いぶん、入れ込みようが違います。
子どもの「夢」はこれからの人生のエネルギーみたいなものだけど、
カールじいさんにとっては、人生以上のものなんですね。