劇場公開日 2010年1月15日

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「子供はいつか大人になる」かいじゅうたちのいるところ 銀平さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0子供はいつか大人になる

2011年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

私は、あのかいじゅうたちはとても好きです。
見た目も、性格も。
KWはすごく可愛い顔。
ちょっと性格の悪いジュディス(ああ、こういう人いるなあと思いました)。
KWのことが気になるキャロルは、暴力的だけど、本当はみんなとうまくやっていきたいと思っている不器用な子供のよう。

そのキャロル自作の箱庭、あれは彼が理想とする「みんなで暮らす、いいことばかりの場所」。
水を入れると、KWとキャロルがのった舟がゆっくりと流れてくる。
キャロルはKWのこと、本当に好きなんだと思いました。

だから、壊れた箱庭を見たときはすごく涙が出ました。
キャロルはどんな気持ちでこれを壊したかと思うと、泣かずにはいられませんでした。

キャロルは他のみんなより少し、中身が子供なんだと思います。だからマックスが家に帰る時、最初は見送りに行かない。でも、心の中ではそれはよくない事だと分かっているから頭を抱えて泣いてしまう。
キャロルに共感して、一緒に泣いてしまいました。

他者とのつき合いって、かいじゅうも人間も同じで、心を持つものが相手である以上、何でも自分の思い通りにはいかない。
自分のことばかり考えて、わがままを通そうとすれば、相手に見放される。
他人を理解してあげて、思いやる心がなければ本当の仲間にはなれない。

マックスは、最初かいじゅう島に来たときは、かいじゅうたちは自分の言うことを聞いてくれて、思い通りになると思っていた。
でもそれは間違いで、たとえ姿はかいじゅうでも、性格はそれぞれ違うし、それぞれの事情も違う。複雑で、中身は人間と変わりない。

それはお母さんやお姉さんも同じ。家族であってもそれぞれの事情があり、常にマックスのことだけを見てはいられない。

生きていくということは、自分の思い通りにならないことばかり。
だから、自分と、周りの人のことも考えてあげなければ。
かいじゅうたちとの暮らしの中で、マックスはそのことを学び、これから大人になっていくんだと思います。

その後のかいじゅう島は、ときどき小さいもめ事がありながらも、きっと、みんな仲良く暮らしている。そう思います。

銀平