「作り手側にも逃げ場はない」実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち) paulineさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0作り手側にも逃げ場はない

2013年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

連合赤軍あさま山荘事件までの道程を描いた本作、ドイツ赤軍を描いた『バーダー・マインホフ 理想の果てに』と対比させて観ると、その特異性が際立ってくる。

『バーダー・マインホフ』はドイツ赤軍内部を描くと同時に、警察幹部(ブルーノ・ガンツ)らの視点も加えている。
対する側も描くというのは極々普通のことなのだが、

本作には連合赤軍メンバー以外出てこない。例外として山荘の管理人がただ一名出てくるのみである。
(警官がエキストラ的に出てくるが、主要人物としては扱われていない。)

対峙する筈のものは描かれず、徹底的に連合赤軍内部の描写にこだわるのである。異様である。
彼らが闘うべき相手は外部では無かったということか。
延々と続く内部の描写は、観ている側の逃げ場が無くなるほど、息苦しく迫ってくる。
そしてそれは当然、作り手側にも言い訳や逃げ場は用意されていないということである。

徹底して内部のみを描くという手法と、ラストの加藤元久のセリフは、
事件に対する、いや時代性に対する、若松孝二監督の確固たる立場表明であった。
監督の姿勢を突きつけてくる凄まじさが、印象深い1本であった。

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pauline