「大人のプライドなんて、時に大きな誤りを生むものだなぁ~と教訓になりました。」ホートン ふしぎな世界のダレダーレ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
大人のプライドなんて、時に大きな誤りを生むものだなぁ~と教訓になりました。
DVDで見ました。
ともすると『ウォーリー』ばかりに目がいきがちですが、『ファインディング・ニモ』のスタッフが製作した作品として、大人の観賞にも堪えられる傑作です。
一番感じたところでは、大人の先入観の愚かさ。
芥子粒より小さい存在であるダレダーレ国の存在を巡って、ホートンは仲間の動物たちに馬鹿にされて、迫害すら受けてしまいます。
彼らは、芥子粒より小さい存在の国があることそして目に見えない存在を認めようとしなかったのです。
逆に、ダレダーレ国の住民は市長が語る上空の空を超えた世界のこと、そしてホートンという巨大な生物が自分に話しかけてきたことを認めようとしませんでした。
この辺の描写は、キリスト教の迫害に負けずに地動説を唱えた近代ヘルメス思想主義者(フリーメーソンなど)たちの信念を思わしめるところです。
自分の主観が真実であると経験を積んできた大人たちはみんなプライドを持っています。この作品を見て、そんなプライドは特に大きな誤りを生むものだと反省するところ大でした。
その点ホートンは、すごく素直なんですね。だから市長とも心が通じ合ったのです。
市長の口癖は『どんなに小さく立って人は人だ』というもの。大人はいつも初対面の人間には、うわべの見てくれとか肩書きでしか見ようとしません。
存在することすら信じられない異なった世界に住むふたりが、障害を乗り越え協力し信頼しあうところが感動するところでしょう。
ぜひ子供たちに見せてあげて、五感の目に映ることだけが真実ではないぞ~ということを本作で教えてあげてください。いますごく自己中な子供が増えてきています。
他人の見方も信じることの大切さ解れば、優しさや思いやりの気持ちが強くなることでしょう。
そういう点では、ダレダーレ国の市長を支える家族の描写も暖かくて素敵でしたね。
そして映像表現もなかなかいいです。ダレダーレの表皮の質感、そして圧巻は数百万本のクローバーの花が風にそよぐ光景など、その後の『ウォーリー』に繋がっていく雄大なシーンが描かれていました。