「語りえぬものには沈黙」さよなら。いつかわかること あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
語りえぬものには沈黙
2007年アメリカ映画。85分。死を扱った作品ながらも、どこか心に爽やかさが残ったちょっと不思議な作品。これは、イラク戦争の死によって取り残された家族の物語でございます。
内容は、イラク戦争で妻を失った夫と二人の娘のロードムービー。妻の死を受け入れることができず、娘に知らせることもできない夫であり父親が、そのまますべてを投げ出して、娘と旅に出ます。
旅に出たことに明快な理由などなく、主人公は娘を連れてただただ延々と伸びるアメリカの路を進み、そして茫洋な海に辿りつく。喪失というものを、とてもうまく表現していて、夫や思春期にある娘の心情に(自分なりに)入っていけました。
これは反戦映画ではなく、たまたまアメリカという国に生活する一家族が抱えた悲しみを綴った抒情物語です。戦争について外野からあれこれ騒いでも、こういった家族を観ると、そうすることが邪に思えたりもする。というのも、何が正しくて間違っていたという問いなど、この家族には無意味なのです。受け入れることが一番大変なんだなと思いました。
静かな気持になれる作品です。
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