「「僕の彼女はサイボーグ」の「僕」は、いつの「僕」?」僕の彼女はサイボーグ ジョルジュ・トーニオさんの映画レビュー(感想・評価)
「僕の彼女はサイボーグ」の「僕」は、いつの「僕」?
<ストーリー>
ジローは誕生日に自分にプレゼントを買い、レストランで一人でスパゲティーを食べる、彼女もいない冴えない大学生。しかし彼は一度だけ誕生日に女性と過ごしたことがある。プレゼントを買ったデパートで見掛けた彼女は、なぜかジローに視線を送り、「一人誕生日」の最中に突然現れ、料理を山のように頼んで食べ始めた。呆気にとられていると、誕生日だから奢るといいながら料金を払わない。走って逃げて来ると、今度は突然自分の失恋の話をし始める。ジローは振り回されっ放し。でも何だか彼も楽しげな気分だった。
しかしその日のうちに結局は何もなく、不可思議な言葉を残して彼女はジローの前から姿を消す。それから1年後、彼女のことが忘れられないジローだったが、その年もいつものように「一人誕生日」をいつものレストランでやっていると、彼女が再び目の前に現れた。
<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
クォク・ジェヨン監督のヒット作の「猟奇的な彼女」は、ゲロ・シーン以外は「猟奇的」でなくて、しかも途中からマジ・モード&ネタバレで撃沈・・・「ラブストーリー」は、古臭い「赤いシリーズ」のような感じが・・・あまり覚えてませんが・・・駄目でした。今作はたぶんMISIAの歌にやられての鑑賞。
いくらラヴコメだとしても、時空を移動するストーリーにするなら、つじつまは合わせていただかないと・・・完全に整合性がありません。また「過去」に影響を与えたせいで起こるのが「あれ」って・・・犠牲出し過ぎ。確かに別のいくつかは救っていたけど、「あんなこと」起こしたらただの偽善にしか見えないです。
更に大きなテーマである、サイボーグと人間の感情は通うのかという問題も何だか素通り。その辺りの過程を丁寧に描いていないので(どうでもいいことが延々と映し出されたりしています)、その「結果」は納得いくようなものになりません。
そして吉高由里子の出演時間の短いこと・・・これは本当に個人的戯言ですが・・・
【ぐだぐだ独り言詳細】
それにしても、○ロが好きな監督ですね(汗)。
それはさておき、オープニングから1年を隔てたシーンから始まり、過去に時空旅行する等、ちゃんと整合性をもって見せることが出来るのか、逆に期待をもって観ていましたが、ラストにオープニングの種明かしがされて・・・それって・・・時空を飛んでいても、その中で「彼女」の行動を時系列に並べると、「彼女」が博物館で発見する事実の説明が付きません。いくらラヴ・ストーリーがメインでも、この辺りに整合性がないと、説得力がなくなります。
更に過去に介入することによって起こる、「揺り戻し」があれなら、主人公のためにあまりに犠牲が多過ぎます。「彼」は「彼女」を使って、「彼」が心痛めていたことを解決していきますが、「揺り戻し」ではもっと多くの犠牲が出ているはずで、結局それは自分を守るためであり、いくつかのことを解決したことなど偽善に見えてしまいます。
核心である、「サイボーグ」と人間の心の交流についても、前記の理由に加え、とても丁寧に描いているとは言えません。主人公なら、「その感情はプログラムによるもの」か否かに苦悩したり等があるはずなのに、そんなことはお構いなしに自分の「愛着」のようなものだけで突っ走るし、第一、「彼女」を寄こした「彼」はどんな思いで、主人公に「彼女」を寄こしたのか理解できません。更にラストに説明される「彼女」の気持ちは意味不明。「プログラム」されたものに心動かされるということ?やたらと延々映し出された「偽善」シーン。かなり無駄です。そんな時間があるなら、小ネタでも入れて心の交流のバックボーンを作るべき。
そういうものがないせいか、主人公役の小出恵介の演技も、そこまで思いが伝わりません。「サイボーグ」の綾瀬はるかは・・・こういうのはうまいとかじゃないですよね?何せ最近では速水もこみちのロボット「彼氏」の演技が、「評価」されているぐらいですから・・・