「あっぱれ!母娘漫才。」歩いても 歩いても ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
あっぱれ!母娘漫才。
名画座にて。
公開時からず~っと待ちに待っていたこの作品。
なんでこんな傑作が全国公開されなかったんでしょうか。
今でも不思議に思います。
これ…まぁとにかく!樹木希林が演じる「おばあちゃん」の
ための映画…といえるくらい彼女ワールドがゼン快なのだけど、
加えて私達が、子供から大人になり、結婚して子供が出来て、
舅姑とのしがらみやらローンやらを抱え、歳をとり、やがて…。
といった時期を迎えつつあるすべての人に当てはまる作品。
どこをとっても頷けるシーンが満載で。まぁそれが…(爆)
笑えるの笑えないのって、憎々しいほどスパイスが効いている。
そりゃ~希林さんの口から出てくる台詞に敵う人はいない…?
だろうと思っていたら!まぁなんと!あのYOUが…!!
この母娘の絶妙なやりとりは、絶対に見逃してはいけません。
まさかあのYOUが(爆)希林さんを食ってしまうとは?ねぇ^^;
皮肉めいた笑いに彩られた家族像を観ながら、
だんだんとこの家族が抱えてきたものが見え始め…まぁそれも
結局は出来の良い長男が不慮の事故で亡くなってしまった、と
いう家族全員が抱えるトラウマが原因となっている。
父親とソリが合わない次男(阿部ちゃん)は失業中…なんだけど
子持ち女性(夏川結衣)を娶った手前、親の前では虚勢を張る。
そんな夫を気遣いつつも、再婚の後ろめたさが拭えない妻は、
義母に気を遣っては嫌味で反される始末。
唯一のほほんと振る舞う姉(YOU)は虎視眈々と財産目当ての
同居を目論み、夫(高橋和也)は人がイイだけのボンクラ亭主。
あぁ~使えない奴らだ。なんておそらく思っているお爺ちゃん
(原田芳雄)こそ最も使えない男で^^;自分の後継ぎのことばかり
考えている始末。あーそうだよね。どこをとっても。誰を見ても。
やれ、どこそこ、のお家事情とまったく違わないのだ。
是枝監督、よくぞここまで並べ立ててくれました。怖いです^^;
いちばん印象に残ったのは、子供たちの笑顔と風呂場のタイル。
笑わなかった王子(爆)までもが楽しそうに笑って、子供が
子供らしさを失わないでいることの大切さをしみじみと感じる。
我が家でもああだったな。。子供たちが小さい頃はみんなで
集まって「おばあちゃんち」(この言い方ってホント不思議^^;)
でワイワイやったものなのに、物心がつくと挙って来なくなる。
皆を見送った後の二人の背中を見ながら、あぁだったのかな…
と思ってみたり。でも、孫がいて、一番可愛い盛りを見られる。
そんな祖父母だって今じゃ幸せなんだぞ~。少子化なんだから。
大きな事件が起こるわけでもなく(過去にあったけれど)
突然、そこから何年後かの次男家の様子が映し出される。。
母親が心配した将来?通りだったかどうかは見てのお楽しみ。
悪いけど、親が思うほど子供は弱くない。心配ご無用なのだ。
(しかし「レコード」と「よしおくん」のシーンには凍りついた(・・;))