ぐるりのこと。のレビュー・感想・評価
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ただのやりとりが長すぎる。
テーマがあいまいでちょこちょこ入る印象的な場面の意図がよくわからない。
この夫って確かにいいかげんだけど、最初から最後までいい夫に見えるので妻があんなに独りで葛藤する理由がよくわからない。理由がないからただ話すだけで解決するし。
あと美術やってるからって利害関係に頓着しないわけじゃない。
たぶん人によっては名作
"夫婦愛"をテーマにした作品としては良作なんだと思うし、好きな人も多いと思うけど、描き方が苦手で、個人的にはイマイチ好きになれないかも。たぶん人によっては名作になると思う。
ラストで心が晴れた。
リアルな夫婦の日常が描かれていて
最初、キャストを見た時は木村多江とリリーさん?合わないんじゃないかな?と思いましたが、
なんともぴったり。
泣きじゃくる木村多江さんを慰めるシーンが
とってもとっても素敵でした。
それとは別に加瀬亮と新井浩文演じる死刑囚役がやけにリアルで気持ちが悪くなる程で
演技力に驚きました。
人 人 人
まるでリアルな日常が、淡々と描かれていくなか、主人公の職業柄、平凡な幸せから逸脱してしまった人たちの人生が交錯して、深く、こころに残る映画だった。
日々を、淡々と向き合って過ごしていきたいとおもった。
よき時代の最後の夫婦?
いろいろ考えさせられる映画でした。
内容はすごく現実的で、リリーさんの演技がうまく、夫婦のやりとりが面白かった。
でも、今現在、こういう感じのカップルって多いのかな?
昔はいっぱいいたんだろうけど、今だったら、籍は入れない、子供は作らないということになりそうな気がする。
昔は皆同じような環境で、貧乏で兄弟姉妹が多く、お金がなかったり、不自由な思いをしても、ある程度耐えられると思うし、兄弟姉妹が多いから、親の期待もそれほどでもなく、経済も右肩上がりで、愛があればお金なくても、結婚やその後の生活もなんとかなったと思うけど、今はどうなのかな?
個人的な印象としては、今はすべてのシーンで、自分を棚に上げ、相手に対する過剰な期待ばかりで、空回りしたあげく、結局、すべて崩壊する時代のような気がする。
この映画の時代設定は、ちょうどバブル崩壊の後ぐらいで、主役の夫婦はそんなに若いというわけでもなく、お金もありそうもないところを見ると、昔のよかった時代の最後のあたりの夫婦に焦点を当てることで、現在の状況を考えさせたかったのかな?と思いました。
また、ストーリーには直接関係ないんだけど、時代の雰囲気を出すためか、笑いをとるためか、その当時の重大事件を思わせる裁判シーンが入っていて、被告人がいろいろ発言しますが、それも面白かった。
「世の中の人全員に謝罪してもらいたい、もっと殺せばよかった。」という気の狂った人の発言としか思えないようなセリフの意味が、なんとなくわかるような気がするのは、私だけなのかな?
関係ないけど、埼玉地裁で撮っているシーンが、微妙に面白かった。
ぐるりって一巡ってこと?
なんというか・・・
なんでもないようなグータラ亭主と元気なよめさんのお話が
いつのまにか、よめさんが弱ってしまって、グータラが支えていたりして
夫婦の暖かいお話ですが、どうでしょうか、万人受けはしないんじゃないかな
途中ちょっと時系列が順で進んでいるのかどうかわからなくなりました
ちょっと分かりにくいかもしれない
これは意識してやっているようなんですけど
もう一度コメント入りで観ると2度おいしくなります
強い絆で結ばれた夫婦
すごく強い絆で結ばれた夫婦の姿に涙がこぼれた。リリー・フランキーは、飄々としながらも絶対にそこにいてくれる安心感があってとても素敵だった。
「一度観てください」これしか表現方法が浮かばない
物凄く期待をして行き、
その物凄い期待を、
はるかに凌駕してしまった
滅多にない経験を味あわせてもらった作品。
それだけ圧倒されてしまったので、
このレビューを書き始めるのに、
時間がかかってしまいましたし、
書きながらも、どう表現すればいいか、わからない。
「鬱」「数々の犯罪」
拡散してしまいそうな内容を
よく、ここまで、飽きさせないように
上手く、まとめるよな、って位しか言えない。
BGMも、ほとんどなしで、行ききっちゃいましたし。
作品に対する感想、考察も、
見るたびに、自分自身の、当日のコンディションに
よって、変わってしまうのは明白だから、書きようがない。
もう、なんて言うのでしょうか。
月並みな、表現では、まとめきれない。
『一度、見てください』としか言いようがない。
まさに「ないない尽くし」なんです。
家に帰ってきたとき、心がグッタリしてしまいました。。。
ぐるりと十年 まわり道
DVDを借りてまた観た。夏だからというのもある。木村多江の 暑そうながら心地良さげな夏のシーンが 印象的だし。
08年邦画の話題をさらった 法廷画家の夫と鬱病の妻の十年の軌跡。
実体験で恐縮だが昔 親友が鬱病になった。堂々巡りの自己否定を繰り返し 時にはこちらに矛先が向く。励ましは禁句だから かける言葉が見つからず 私もへとへと。
そんな彼女が結婚を決めた時 内心危ぶんだ。紹介された彼の第一印象は『大丈夫か この人』…へらへらしちゃって彼女を支えられるの?
去年この映画に出会い 驚いた。親友の夫は リリーフランキー演じるカナオっぽい。
鬱病のみならず 夫婦の間に本音のやりとりは基本だ。でも 心をうまく言葉にできないなら どうしたら良いのだろう。
絵を描く。放置された米を黙ってとぐ。涙をぬぐい鼻をかませてやる。世界の中心で愛を叫ばないし 難しい専門用語もない。動物同士の毛繕いにも似た その触れ合い。
十年の回り道を経て日本は不穏に 映画の夫婦は静かな暮らしに戻る。しかし どこかが確かに変わったのだ。相変わらず平凡でお金もないけれど たぶん良い方に。
私の親友は今や元気いっぱい。先日 一家ぐるみで遊んだ。そういえば彼ら夫婦も もうすぐ結婚十周年じゃなかったかな。
『ぐるり』を再び観たくなったのは 十年前の自分の節穴な目のことを 密かに二人に謝りたかったからかもしれない。
【40代以上のご夫婦にお勧めしたい映画です。】
1990年代に実際に起こった事件の裁判を織り交ぜながら、夫婦の再生を描いた映画。
主役二人を支える脇役が豪華。爽やかとは言えないシーンもいくつかあって、万人におすすめとは言えないが、DVDのコメンタリーで監督の考えをきくと、なるほどと私も思いなおした。
1990年代を共に暮らした夫婦に特におすすめしたい。
ビストルもナイフもない、平凡の素晴らしさ
ビストルもナイフもなく殺人現場など一切無い、
出演者にゃ悪いけど、モデルのような美男美女も一切出てこない、
いたってどこにでも有る、我々の身近な世界
そんな出来事のつみかさね。
そんな世界で一対の不完全な夫婦が幾多の困難を乗り越え、
完全な一対の夫婦となっていく。
悲しい局面、
でも日常生活の直ぐ横に潜んでいる、
明日自分にふりかかっても不思議ではない出来事に出くわし、
たじろぐ妻を、それを夫が支える。
夫が支えるその姿はひょうひょうとしていて、
肩に力ははいっていない。
悲しさに耐えかねて泣きじゃくる妻に
ユーモラスな会話を仕掛けて和ませていく、
そんな夫の姿に妻は勿論のこと
彼らの廻りの人達も頼もしく思い始める。
自分を好いて、信じてくれる人が横にいてくれることが、
どんなにも幸せなことかを
シンミリと感じさせてくれる作品だった。
わるくない
生きていくことに対して、悪くないと思える作品。
いろんな人がいて、いろんな都合があって、誰も悪くはないけど、辛くなったりする。
そういうのを人との関係が支えてくれている。
結婚とか夫婦とかって若いときは、なんか人生の終着点みたいに思ってしまうが、こういうふうに描く映画があると、まあ、悪くないなと。
結婚したいけど、相手がいまいち乗り気じゃないという人は一緒に観に行ってはどうでしょうか。
2008年No.1の邦画
まだ2008年は終わってないですが、おそらくこの作品が今年1番クオリティの高かった作品になるだろうと確信してます。題名では邦画No.1としてますが、洋画邦画合わせてもTOP3に入る可能性が十分ある作品だと思います。
とにかく、主人公である夫婦の生活と日本社会を変えてしまったと思われる数々の事件がシンクロしている脚本が素晴らしい。そして映画では描かれることのない大学生時代までをもワークショップしてまで撮影に臨んだというリリー・フランキーと木村多江の演技、存在感が素晴らしい。これはそれらを引き出した橋口監督の手腕によるところが大きいのだろう。
笑えて、泣けて、劇場を出た後もしっかりと心に残る。こういう作品がもっともっと邦画で出てきてもらいたいもんです。
こんな生き方をしてみたい。
失われた10年といわれるバブル期を背景に、夫婦2人の生活を描いている。
演じている脇役が良い!夫婦が良い、そして家族が良い。とくに不動産屋の兄貴一家(寺島進とその嫁)は良い。善悪がまさに法廷との対比で描かれて、社会全体が悪い方向へ流されていくのが分かるようになっている。今のうつ病患者は600万人とか、社会病理が主人公と法廷作家の手で描かれる法廷の容疑者の画によってあぶりだされる。一見ボーとした主人公の夫、なかなかの描画技術である。主人公の職場に生息する、若い後輩社員の今風の言動。考えさせられる。思わずイルイルと思ってしまった。
ちょっと残念なところ、主人公の妊娠・流産・中絶などなど。その当りの突っ込み不足が、うつっぽい描画に欠けるように思う。
でも、ゆっくりと流れる時間をいつくしみ生きていきたい。
ガツガツをやめて
ガツガツした名誉欲や出世欲を持たず 流れに身をまかせて
ユラユラ生きてゆく、 手に職があるとそんな生き方も出来るのかなあ
という映画 というのはウソで
2人で"夫婦"として生きていくということは?
という、答えがあってないような命題に
真摯に向き合う映画。
映画を見終わった後に
手をつなぎたい方々に特にオススメです(^^)
私史上、最高レベルの「ラヴ・シーン」!長回しのアンサンブル必見。
<ストーリー>
靴修理屋で働いているカナオは翔子と結婚している。裕福でもなく、妻はいろいろ口うるさいが、だらしなくも何とかやっている。そんなカナオは先輩の紹介で法廷画家の仕事を始める。妊娠中の翔子は安定しない仕事に不安も覚えるが、今は子供の誕生への喜びのほうが大きい。
しかし子供は流産してしまい、翔子は少しずつ精神のバランスを失っていく。
<個人的戯言>
とにかくリリー・フランキーと木村多江がいいです。
だらしなく、
決して感情表現のうまいとはいえないが、
どんな状態でも妻を受け止める夫役が、
ずぶの素人であるリリー・フランキーに見事にはまりました。
しかも時折見せる「本気」がいいアクセントになって、
「結構演技計算してる?」
とさえ思わせます。
木村多江も、
そんなかなり癖のある共演者とのアンサンブルを、
互いのユーモアのセンスも相まって、
実にイキイキと演じていて、
この二人のシーンは長回しが多いのですが、
とにかく幸せな感じが伝わります。
そして更に流産して
徐々に精神のバランスを崩していき、
ついに感情が爆発するシーンはほんと凄かった。
このシーンは
私の数少ないラヴ・ストーリー鑑賞歴の中で、
1位、2位を争う「ラヴ・シーン」になりました。
一方で並行していく妻の家族の話が、
とても現実的で下世話な分とてもリアルで、
うまく主人公二人の話と対になっているような気がしますし、
最終的には主人公二人が夫婦として生きていくことが、どういうことなのかを与えるようなものになっています。
妻の家族の話が落ち着くところに落ち着いた後の、
ちょっと不意打ちにも思える、
妻の母親からの義理の息子への言葉に・・・感涙。
法廷画家という設定は、
様々な実際の事件を思わすような裁判を振りかえる中で、
この夫婦の「歴史」を辿るようになっていますし、
妻の妊娠とは、
「生死」ということで、
かすかな繋がりは匂わせているようで、
一定の効果はあったと思います。
チョイ役の「被告人」たちが超豪華なのはかなりな特典です。
「食べた!」(by宮崎勤風加瀬亮)
全篇に渡る小ネタやHネタは、
ゆるくもどこか微笑ましいものが多く、
最後はほっこり感に包まれる作品です。
映画の神様が微笑んでくれたとしか思えないくらいの名演。しかし長すぎ~。
橋口亮輔監督よると「ふたりのドキュメンタリーを撮るつもりで臨んだ」そうです。
作品を見ていると木村多江とリリー・フランクはまるでホントの夫婦が日常会話をしているような錯覚に陥っていきます。
題名の意味は、10年間にわたる主人公の夫婦のまわり、つまりぐるりで起こったエピソードを、1年ごとに追っかけた作品なのです。
ふたりのぐるりを描くことのリアリティある空気感は、群を抜いていて、隙を感じさせません。登場人物にもそれぞれに深入り過ぎない絶妙な距離感を計っており、それが結果として、どの人物にも共感できる仕組みになっているところが、巧みな仕上がりです。
その辺の計算し尽くされた橋口監督の演出は、何もしていないように見えて、すごく細かさを感じさせてくれます。
あの細かさは、木村が演じる翔子に投影されていると思いました。彼女は、何事にもきちんとしなければ気がすまない性分なのです。最初の夫婦会話。帰宅時間が遅いと夫のカナオを責め立てておきながら、「決めたでしょう。だからやるの」と夫婦生活の予定まで決めたとおりでないと気が済まない性格。
余りに唐突でカナオが「いや、この感じじゃ、ちょっと勃たないと思う…」とぼやくのも当然でしょ。
彼女の潔癖なところは、監督のストイックなところとオーバーラップしているのではないかと思いました。何しろ撮影で10キロ近く体重が減ってしまったそうですから、相当なものです。
翔子はその後、身ごもっていた子供が死産すると、仕事も辞めて、ふさぎ込み、カナオにもきつく当たるようになります。
夫婦の再生をうたっている割には、旦那の方は割と順調で、むしろ翔子が立ち直っていくストーリーに成っていると思います。
橋口監督も、前作『ハッシュ』の大成功以降、この作品に着手する6年間の間、ウツになっていたそうです。脚本も監督が手がけているため、『ぐるりのこと』とは、監督自身が立ち直っていく、心の軌跡を綴った作品ともいえるのではないでしょうか。
現在ウツで沈んでいる人が、この作品を見たら、今のままでいいんだねと、すごくホッと安心して、元気になることができるでしょう。それくらい祥子の死産に対する自己否定の思いは激しく、容易に超えられないものなのでした。きっと監督自身も。
演じた木村多江も舞台挨拶で、「翔子は私だ」と思う分、役にスっと入れなくて苦労したそうです。自分にとって苦しかったり、つらかったり、封印していたものを出すまでの、役と自分の見分けがつかなくなる前の段階が苦しかったと語っていました。
彼女が自分を見つけて変化していく様が一番共感を呼ぶところでしょう。
監督の前作『ハッシュ』では、孤独な人たちが一瞬つながる大切さを描かれていました。今回夫婦ものを描いたのは今回はずっとつながっている人たちを描こうと思ったからだそうです。
一方的に感情をぶつけてくる翔子をやさしいまなざしで見つめ、何があっても彼女を受けとめ、支え続ける慈愛に満ちたカナオを見ていると、やっぱり夫婦はいいものだと思えてきます。実際舞台挨拶で、リリーさんも44歳にもなって初めて結婚したい気になったと語られました。
現在倦怠期ぎみのご夫妻やカップルにも、関係を見直すいい作品になると思いますよ。
作品の舞台となるのは、1993年冬から9・11テロに至るまでの約10年間。本作は翔子とカナオの再生のドラマを描きだす一方で、その社会的背景にも静かに迫っていきます。カナオが法廷で目撃するのは、90年代から今世紀初頭にかけて起きた実際の事件とその犯罪者たち。皆さんご存じの事件を彷彿させる法廷シーンが次々出てきます。
カナオの仕事は、法廷シーンを描く法廷画家。テレビ局のお抱えだけに、時として演出されたとおりに絵を手直ししなくてはいけなくなることもあるようです。そんな報道の演出により嘘を書かされることにカナオは疑問を感じ、一度は担当とぶつかりますが、ラストまでだらだらと続けてしまいました。
映画なんですから、もう少しカナオにも波乱があってもいいのではないかと思う展開です。女の子がいるとすぐ口説く癖も、結局浮気シーンもなし。全く模範的な夫で終わってしまったのにはも不満です。夫婦の再生を描く作品なら、一度や二度離婚の危機があってもおかしくはないと思います。橋口監督の描くカナオは、いい加減かつ気ままに生きているようで、いい人過ぎました。
主演二人の演技は、映画の神様が微笑んでくれたとしか思えないくらいの名演でしょう。けれどもさすがに夫婦の日常を2時間20分も見続けさせられると、飽きが来てしまいました。監督の中に、どうしても伝えたいモチベーションが多々あったことは分かりますが、90分くらいに整理した方が、より感動的になったと思います。
但し、試写会では終映後、大きな拍手に包まれたことも報告しておきます。感動作であることには間違いありません。
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