「まったくひどすぎる! これが映画?」うた魂♪ 愛すれど心さびしくさんの映画レビュー(感想・評価)
まったくひどすぎる! これが映画?
題材は面白いのにテレビの特番のほうがよっぽど感動出来るものが出来ると思ったぐらいいひどい出来でした!確かに予告編では期待させるものがあったし 夏帆も可愛いし 薬師丸もくさい中にも最近のそれなりの彼女らしさはアピール出来ていたけれど・・・ただ それだけの作品でした。意識過剰な夏帆が海辺で一人歌いだすまでは良かったけれど あとは・・・このシーンのもどかしいまでのペースののろさから それを見ている地元の村人のあきれ返ったギャップが笑いをとれないままタイトルが出てきて・・・。ここで既に嫌な予感が・・・
「シンクロ」「ジャズ」とこの手の作品は感動が売りなんだから 感動させようとするシーンも そこまで持っていかせるエピソードも観客は大体想像できるわけで 例え、安っぽくても「これが青春だ!」のノリでいけば それなりに日本人なら泣けるのだから この場合もそれでいけば良かったのに 田中監督はテレビとは違いじっくりと見せようとしたのか 余計で意味ありげなエピソードを付け加えすぎ!あと30分は短く出来たね。
モタモタ感ばかり募って せっかく監督が意図したという「突然歌いだすミュージカルに抵抗感を持つ日本人にも 合唱ならわざとらしくなく自然に歌も出せるから・・・」というつくりが全て裏目に出て ただ退屈で 別の意味でのわざとらしさばかりが目立ったままで終わってしまうという結果になっています。
とにかく編集がヘタ過ぎる! そのシーンごとに観客は飽きてしまっています。
バスを追っかけるシーンもそう。モタモタしすぎ!
七浜高校合唱部の彼女たちの はつらつとした演技はそれなりだったものの 周りの助演者たち・・・特に年上の中堅俳優たちがまったくいけていない!うきっぱなし!夏帆の両親もそうだったけれど 地元のケーブルテレビの面々といい特に 間 寛平 のおじいちゃんのエピソードは 全く意味がない!孫に例えた しゃけが熊にかぶりつく置物をラストでピアノの上に置くためだけにつくった役ですよね?全く必要性を感じない役でした。
田中監督は 合唱のシーンだけに拘っていたようで 他のシーンはとにかくもたつくばかり。それに輪をかけて ゴリの大げさなエピソードは合唱が持つ清楚で 驚くほどの歌の輪の素晴らしさに素直に感動するという大前提をぶち壊しただけ。
選曲にポップスを加えたのは 固苦しいクラシツク的な曲では 観客がのれないと判断したのでしょうが尾崎 豊の曲なら誰が歌っても それなりに感動するわけで 湯の川学院高校合唱部のガキたちは どうみてもかっこうだけがヤンキーで 中身はおぼっちゃまにしか見えないから感動とは程遠いわけで・・・さらに ゴリだけが浮いたようにいい子ぶってしゃべりっぱなしで 後ろのガキたちは合いの手を入れるばかり。特にゴリが喋っている間は 待ちの演技どころか身動きひとつせず ゴリが喋り終わると 防波堤をゾロゾロとついて来るか 周りを取り囲むだけの動き。そういう意味で 今回のオバカなギャグ集団合唱団の あれでは観客はどうみても 感情移入できるわけがない!ゴリは普段のテレビのバラエティでは見られないようなマジな演技を魅せたほうが絶対良かったはず。
さらに予告編では面白そうに見えた 彼らの海岸でのヒップホップ風な振り付けによる練習シーンも本編ではただ退屈なだけ。
なんのことはなく 「合唱」という歌う喜びを明るく楽しく見せるのだからあそこだけは 軽快な曲に載せてミュージカル風に練習風景をつないでいけばいいものをあれだけで終わってしまっているではないですか!
この監督はカットの一部分のカメラアングルには凝るものの そのシーンを入れる前後の流れとかを計算していないから もたつくばかりで逆に作品のもつテーマとは裏腹にスラスラと流れるようなつなぎがされていない分 観客は飽きてしまうのですよ。
薬師丸のエピソードもちょっと無理しすぎてはいませんか?
それでも誰もが予感して期待しているラストの感動の地区予選のシーン。
アンコールでの七浜高校合唱部の歌声に 客席の他校の合唱部が そのユニットごとに感動しながら 順番にスタンディングオベーションで立っていき ラストは全員立ち上がって拍手の嵐・・・となるはずが、ここまでくると 笑いを通り越してただあきれかえるばかり・・・なんだ ありゃあ?????
彼女たちが歌っている曲はいいのだから それに感動して心から湧き上がる感情をおさえきれず ついカラダが席から離れて立ち上がる設定なんだから 普通は席をたつ前に 感動して身震いしながら「うん!うん!」と隣り同士顔を向かい合わせて うなずき合って自分も思わず歌いだして・・・・通常ならそんな感激の顔をアップにしてから席をたたせるのに ここでは次々にリハーサルどおりに 無表情なエキストラの合唱団たちが グループごとに指示されたとおりに順番に きれいにただ立ち上がっていくという・・・・あれでは感動もヘチマもないわけで!
ど素人でも高校生の合唱団を使っているんだろうから表情を作るのはお得意のはず!この監督は何を考えてるんだあ?コーラスの輪が生む 自然な「感動」を損なうだけで終わった感じがして仕方がなかったのです。期待していた作品なのでそれに裏切られると余計に文章が長くなってしまいました!(笑) 合掌。