劇場公開日 2008年3月29日

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悲しみが乾くまでのレビュー・感想・評価

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4.0【”善は受け入れろ”と凶弾に斃れた夫は常に口にしていた。夫を失った妻と、麻薬中毒の男が夫々の生き方を見つめ直していく姿を描き出した作品。ベニチオ・デル・トロの存在感が極まっている作品でもある。】

2022年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■家族と幸せな日々を送っていたオードリー(ハル・ベリー)は、最愛の夫・ブライアンを突然亡くす。
正義感ある夫はある場面に遭遇し、撃たれたのだ。
 夫の死から立ち直るため、ブライアンの親友でヘロインに溺れる元敏腕弁護士のジェリー(ベニチオ・デル・トロ)と共同生活を始めたオードリー。
 ジェリーは断薬会に通い、いつしかブライアンの父親代わりの存在となっていくが…。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・王道の、喪失から、再生の物語である。
 但し、再生を求めるのは、愛する夫を突然の凶弾で失った妻、オードリーであり、ヘロイン中毒になった後も、唯一親友という立場を貫いてくれた故、ブライアンに感謝しているジェリーであるという点が、物語設定として秀逸である。

・沁みるシーンは数々あれど、夫の死まではヘロインに溺れたジェリーを疎んじていたオードリーが、彼を自宅に迎えるシーン。
ー 正に、”善は受け入れろ”である。-

・夫を失ったが故に不眠になったオードリーが、ジェリーを愛する夫と共にしていたベッドに誘い”夫がやってくれていた”耳たぶを優しくなでる事を求めるシーン。
そして、ジェリーは彼女が眠りにつくまで、その行為を優しく続ける。

・ジェリーが家族構成を問われた時に応えた言葉。
”妻はいない。けれど、10歳の娘と6歳の息子がいる”
ー 勿論、亡き親友ブライアンの子たちである。そして、二人とも徐々にジェリーに懐いていくのである。-

・ジェリーが、親友ブライアンの書斎の戸を開け、書斎の風景を眺めるシーン。
ー 一級のディペロッパーであったブライアンの仕事ぶりや、写真立てに飾られた彼が大切にしていた家族の写真。
  それを、哀しくも優し気に見るジェリーの表情。
  彼は、このシーンで亡き親友の家族を守る決意をしたのだろうと、私は思った。-

・ジェリーが、ヘロイン禁断症状に苦しむ姿や、断薬会で知り合ったケリーの姿も、作品に趣を与えている。
ー ベニチオ・デル・トロの演技が圧巻である。-

・ブライアンの臨家に住むハワードの存在も良い。ジェリーをランニングに誘い、彼の姿を見ていたハワードはジェリーを住宅ローン仲介者として即決、採用する。
ー 妻との関係に悩んでいた彼も又、ジェリーにより、癒された男である。-

<“共依存”をテーマにしながら、今作では大切な人を突然亡くした人々が、徐々に再生していく姿を丁寧に描いている。
 ハル・ベリーは勿論だが、ベニチオ・デル・トロの深みある演技に魅入られる作品である。>

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NOBU

4.0アレハンドロ・G・イニャリトゥ作品を見た後の様な感情

2018年11月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

個人評価:4.0
亡くなった人の悲しに耐える辛さと、ヘロインを断ち切る辛さの過程を対比させ丁寧に描けている。
まるで主人公の心に細いスポイトを差し込み、大事な何かを取り出したかのような心理描写。
アレハンドロ・G・イニャリトゥや河瀬直美のように、きちんと魂や生命などに向き合うような、大事なテーマをもって描かれた作品。
それだけに邦題がストレートで解りやすいが、やや軽い印象を受ける。
河瀬直美の「殯の森」のような深い意味合いが乏しい。
殯(死者の霊魂を畏れ、慰め、別れを惜しむ期間)
しかめっ面が多いベニチオ・デル・トロのお茶目な表情が、なんだか可愛い。

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カメ

4.0デル・トロの演技が見事

2015年3月31日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

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松井の天井直撃ホームラン

4.0いつか互いに感謝する。

2008年9月15日

泣ける

悲しい

難しい

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ハチコ

4.5原題の「Things we lost in the fire」の方が作品の趣旨に合ってます。

2008年4月9日

泣ける

<ストーリー>
オードリーの夫が突然争いに巻き込まれて殺されてしまう。葬儀の準備をしていた彼女は、夫の親友で麻薬中毒から立ち直れないジェリーに連絡していないことを思い出す。いつまでも立ち直れないジェリーを、夫が生前周囲が見放す中で、一人見離さなかったことを、オードリーは理解出来なかったが、夫の意思を引き継ぐように離れの部屋を彼に貸すことにする。

<個人的戯言>
いつも「ありえない」シチュエーションからの再生を描いてきたスサンネ・ビア監督。今回は比較的「さもありなん」な状況ではありますが、その分時間を掛けて突然夫を失った妻の悲しみを、時間軸を何度か入れ替え、また得意の表情への接写を駆使しながら、丁寧に描いていきます。主役のハル・ベリーもそのゆっくりとした展開に合わせた、徐々に心境が変わっていく様を見事に演じています。またも個人的弱点、「近しい人の死をどう受け入れるか」系ですが、沁みわたるようにその悲しみが広がっていく感覚は、この監督独特のもののように思います。

最初の辺りは、夫の死、それまでの幸せな日々、親友との関係、事件が起こる日等が目まぐるしく時間軸を変えることで、今の悲しみとのコントラストを強調するのに成功しています。親友が離れに住むようになると、妻は最初は彼を救うことで自らも救いを求め、しばらくすると親友の存在によって、夫が亡くなったという状況を受け入れられないことが浮き彫りになり、「夫がいた頃の生活」に固執しようとします。この辺りの苦悩を、得意の表情への接写と、ハル・ベリーの徐々に変わりゆく心情を表現した演技が、「近しい者の死」を受け入れられない様を、時間をかけて沁みわたるように表わしています。突然大きな展開があるわけではありませんが、それだけに説得力を持って心に迫ってきました。

やがて親友への誤解に気付き、再び彼を救おうとする中で、彼女は夫と自分以外の人との間に築かれた過去の時間を知り、更に夫と彼女が築いた時間も既に過去になったことに気付き、それを受け入れざるを得なくなります。とてもつらい瞬間ですが、どこか救われた感じを、うまく主役二人が表現しています。

最後は次なる生活を歩み始める主人公たち。今までの監督の映画の中では、最も明快に希望を示した作品で、この辺りはハリウッド的?でも悪くはないです。

過去の作品も「ありえな~い」シチュエーションで表現する心のひだ的作品ばかりです。

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ジョルジュ・トーニオ