「【”画竜点睛を欠く人生に、自ら眼を入れる覚悟をした若き女性の壮烈で、破天荒な生き様を描いた作品。”若き、吉高由里子さんのど根性女優魂が炸裂している作品でもある。】」蛇にピアス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”画竜点睛を欠く人生に、自ら眼を入れる覚悟をした若き女性の壮烈で、破天荒な生き様を描いた作品。”若き、吉高由里子さんのど根性女優魂が炸裂している作品でもある。】
■20歳で芥川賞を受賞した金原ひとみさんの”蛇にピアス”を読んだ時の衝撃は忘れ難い。
で、今作は鑑賞をスルーしていた。
だが、今作を初めて鑑賞すると、舞台劇で鬼以上に怖いと言われた、故、蜷川幸雄監督が若き僅か20歳の吉高由里子さんに身体を張った演技を要求し、彼女が見事に応えた作品であると思った。
ー 蛇のように舌先が割れた“スプリット・タン”を持つ男・アマ(高良健吾)と出会った19歳のルイ(吉高由里子)。
アマの紹介で全身にピアスを入れ、入れ墨も半端ない彫り師のシバ(ARATA:井浦新)とも知り合った彼女は、自らの舌にピアスを開けて貰い、背中には竜の入れ墨を彫ってもらう。
痛みと快楽に身を委ねるルイだったが、どこか満たされぬ思いを抱え…。ー
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・ルイが満たされぬ思いを抱えつつ、死んでいるように生きている時に出会った全身にピアスを入れ、蛇のように舌先が割れた“スプリット・タン”を持つ男・アマと出会った時に感じた生きる実感。
ー それは、劇中でも描かれているようにSM要素も絡めた、妖しき世界に生きる男達の魅力であった。
それにしても、僅か20歳の吉高由里子さんの、身体を張った演技には驚く。
物凄い、女優根性を感じる。(相当な、葛藤があったであろうと推察する。)ー
・彼女が、シバ(ARATA:井浦新)に頼み、彫り物をしてもらうシーン。
ー 赤江瀑の名品、”雪華葬刺し”を想起させる。彫り物に魅入られた女性が、痛みを耐えるために、男に抱かれながら、針を肌に入れていくシーンが、”雪華葬刺し”では描かれているのであるが、今作も引けを取らない。-
<監督が、独特の美学を持っていた故、蜷川幸雄監督ですから、この展開は想像できたが、まさか、吉高由里子さん始め、ARATA:井浦新や高良健吾が、あのような異形の姿を晒すとは・・。
業が深いなあ・・。
”今作が気に入ったと思われる、貴方は変態ですか!””はい、変態です。”
幽玄妖美な、独自な世界観が屹立している稀有な作品である。
若き吉高由里子さん、頑張ったなあ・・。益々、ファンになったよ。>