劇場公開日 2008年4月12日

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「どこをとっても息を飲む壮大なスペクタルシーンの連続でした」王妃の紋章 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0どこをとっても息を飲む壮大なスペクタルシーンの連続でした

2008年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 すごい!すごい!すごい!
 何から何までキンキラキンの絢爛豪華な舞台、衣装!
 【製作費50億円】
 ・黄金の衣装3000着
 ・金の円柱600本
 ・1万2千メートルの宮廷を300万本の黄色い菊の花
 ここで使われた金糸、金箔はすべて18Kの本物だそうです。(撮影終了後は金庫保管した。)
 もうどこをとっても息を飲む壮大なスペクタルシーンの連続。
 そしてクライマックスは、予想もしない展開に驚愕しつつエンディングへ向かいました。この映像は見ないと損です。ぐぅの音も出ないほど豪華でドキドキさせるストーリーでした。この春必見の作品でしょう。

 ただ豪華だけではありません。
 撮影監督出身のチェン・イーモウ監督は、シーンごとの絵作りにもこだわりを感じさせます。写真をやっている人なら、誰でも一度は折り重なる風景を圧縮してパターンとして描いてみたいと思われるでしょう。
 チェン・イーモウ監督にかかれば、例えば王妃が王宮の廊下を歩くところでも、黄金の柱が何層も重ねたように取り、フレームの中を黄金のパターンで敷き詰めたような撮り方をしていました。こんな写真が取れれば写真家としては本望でしょう。
 もう一つはカラーです。監督の作品はどれもすごく色鮮やかななんです。本作ではキーは黄金色と黄色ですが、それを引き立てる極彩色の衣装や壁の装飾を施し、一層の絢爛さを引き立てておりました。

 ドラマとしても練り込まれていて、設定からして面白いです。王、王妃、王子の関係が一筋ならでは行かないもので表面としては取り繕っても、裏側に回れば愛憎が蠢いているのです。それが王族が集い永久の繁栄を祈る重陽節の祝いの席が舞台になるのですから、何とも皮肉なものです。

 この黄金の王家の愛憎は、やがて国家をも動かす騒動になるのですが、このドラマの結末は、本当に意外の意外で、見てのお楽しみですよ。
 「LOVERS」では、少々ご都合いいところも目立ちましたが、本作の脚本面では、一つ一つのエピソードが丁寧にラストに繋げられて、スキがなかったです。

 監督の「初恋の来た道」などの人情ドラマ路線を支持している人(小地蔵も!)マーケットを意識したアクション路線に反発するひとも多くいることでしょう。
でも同じ50億円使って、例えばカドカワさんだったらどんな映像になっているか想像してください。アクション映画として見ても抜きんでて傑作です。
 「LOVERS」でも魅せた隠密軍団の空中殺法もパワーアップ。また王と王子の火花散らす殺陣シーンも圧巻!そしてどんなに大軍がぶつかり合うシーンでも、一定の様式美できっちり演出する監督の力量がどんなにすごいか思い知らされる作品です。

中国の映画には、CGよりも安上がりな人海戦術による実写がよく起用されますが、王宮を埋め尽くす大軍のぶつかり合いには息をのみましたね。そして内乱のあとの片付け、菊の再配置をするシーンも溢れんばかりの人海があっという間に何事もなかったような状態に戻していきました。

 演技面では、毒に徐々に冒されて、手元がガタガタ震えるときの王妃役コン・リーの演技が真に迫っていましたね。

 エンディングに流れる台湾NO1アーティスト、ジェイ・チョウの主題歌もなかなかいい歌っぷりですから、そそくさとお立ちにならないで最後までごゆるりとお聞きくださいね。

流山の小地蔵