劇場公開日 2008年2月2日

「女性の方が、この映画の良さを理解できるかも」ラスト、コーション あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5女性の方が、この映画の良さを理解できるかも

2008年10月9日

泣ける

悲しい

怖い

今年の2月に劇場で観て以来、この映画のことは度々思い出すが、今一つどう評価したらいいのか分かりません。個人的に、この映画は実際の所、どのようなメッセージを自分に語りかけているのかを今だに掴みかねる始末。

 時は、日本軍が満州を侵略した時代。(←「そうでない」というお方もいらっしゃいますが。)反日秘密結社に仕える一人の若き女が、日本軍に加担している一人の男を暗殺せよと指令されます。猜疑心の塊の男(トニー・レオン)に近づくために、愛人となる過程が、過激なベッドシーンを交えながら描かれていきます。

 最後の宝石店でのタン・ウェイの演技が見事。ある意味、女性の本質というものはあのシーンに詰まっているような気がしました。自らの青春を放棄し、恋心を抱いていた男とも結ばれず、ひたすら時代に翻弄されながら自分を欺き続けた女性。最後の悲劇は、いかなるリスクも省みずに解き放った本当の乙女心だった。ということになるのでしょうか。そう考えれば、あれで良かったのかもね。

 まぁ、気の重くなる一作です。末筆ながら、本作でのトニー・レオンにはもはや演技の神様が降臨しております。あんな眼で見つめられたら、そりゃ情は抱いちゃうよね。

あんゆ~る