「恋は、女の身体の機微に触れたときにはじまるものである」ラスト、コーション asymmetryさんの映画レビュー(感想・評価)
恋は、女の身体の機微に触れたときにはじまるものである
第二次世界大戦時の日本が上海に傀儡政権で入り込んでいる頃。
彼女が抗日運動に参加したのは、好意的に誘ってきた学生劇団員が素敵だったから。
それは淡い恋のはじまりかと思えた。
劇団らしくストーリーを企てストーリーに沿ったスパイをつくりあげる。
設定はある企業の社長夫人。貿易で色々なモノが手に入る。
対象となる抗日組織の特務機関夫人に接近するために。
スパイに抜擢された主人公ワンは、劇団に好意を寄せている人がいながらも男性経験のないため、ハニートラップとして劇団員と肉体関係の練習を積む。
こうした地味な準備をしていたなかで彼らのなかで計画を阻むような事故が起こる。
危険を感じ、ワンは、この場を去る。
時は流れ、彼らは、再会し、立ち消えになったスパイ活動の抗日組織の特務機関トニー・レオン演じるイーの暗殺計画を遂行するために今度は、大胆に活動する。
恋は妄想ではなく、女のからだの機微に触れた瞬間から起こるのである。男性はこのことは知らない。この映画では、それを描いた映画だと思った。
目では、劇団員の青年を好意的に見る。でもそれは、愛を引き起こすほどに彼女を揺さぶるものではなかった。
前ぶれもなくいきなり男性に抱きしめられるときに平静を維持できなくなるような女の女である部分が踊りはじめ抑えきれないほどに込み上がってくるのだ。
彼女は、それを感じてしまったんだ。
男性のスーツに顔をうずめるとき、外気のにおいに仕事を向いている横顔を見、女をよこせつけられない鎧のような堅さを感じる。スーツを脱ぎ、鎧が解け仕事も何もかもを忘れ女にまっすぐに向き合ってくれる瞬間がセックスだと思う。それが描かれていた。
最期に彼女との関係を告げるように哀しく響く10時を知らせる時計の音が。