劇場公開日 2008年9月13日

「脚本に脱帽」おくりびと shikahikoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0脚本に脱帽

2009年4月2日

泣ける

笑える

楽しい

この作品の「発案者」たる本木雅弘の演技は、
テレビドラマの「徳川慶喜」や、映画の「スパイ・ゾルゲ」で、
その実力は感じていたのだけれど、
今回のシャシンでも、彼独特の、静かな中に滲み出るような、
ゆったりとした存在感を作りだしていました。
広末涼子の演技は、このシャシンで初めて観たのだけれど、
アイドルの域を脱して、自然な輝きを発し、
作品にふんわりとした暖かさを醸し出していました。
そして脇役陣の素晴らしさ。
山崎努、吉行和子、余貴美子、笹野高史・・・
中でも山崎努の存在が、作品構成上でも際立っていました。
彼の役柄設定と、彼の演技がなければ、
この作品が成立しなかったと言っても良いと思います。
そういう意味では、隠れた主役でしたね。
何よりも本木雅弘の「発案」を取材によって膨らませ、
脚本として完成させた小山薫堂は素晴らしい!
更に作品に奥行きを与えた音楽の久石譲。
彼は彼自身が監督した映画「カルテット」でも
チェロを多用していたのだけれど、
そのチェロの深い音色が、作品に奥行きを与えていたと思います。
山形の自然を美しく切り取ったカメラも良かった。
これらをタクトでまとめ上げた滝田洋二郎監督に拍手ですね。
映画というものが、
ほんとうに総合芸術だということを感じさせてくれる作品でした。

shikahiko