「脚本に脱帽」おくりびと shikahikoさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本に脱帽
この作品の「発案者」たる本木雅弘の演技は、
テレビドラマの「徳川慶喜」や、映画の「スパイ・ゾルゲ」で、
その実力は感じていたのだけれど、
今回のシャシンでも、彼独特の、静かな中に滲み出るような、
ゆったりとした存在感を作りだしていました。
広末涼子の演技は、このシャシンで初めて観たのだけれど、
アイドルの域を脱して、自然な輝きを発し、
作品にふんわりとした暖かさを醸し出していました。
そして脇役陣の素晴らしさ。
山崎努、吉行和子、余貴美子、笹野高史・・・
中でも山崎努の存在が、作品構成上でも際立っていました。
彼の役柄設定と、彼の演技がなければ、
この作品が成立しなかったと言っても良いと思います。
そういう意味では、隠れた主役でしたね。
何よりも本木雅弘の「発案」を取材によって膨らませ、
脚本として完成させた小山薫堂は素晴らしい!
更に作品に奥行きを与えた音楽の久石譲。
彼は彼自身が監督した映画「カルテット」でも
チェロを多用していたのだけれど、
そのチェロの深い音色が、作品に奥行きを与えていたと思います。
山形の自然を美しく切り取ったカメラも良かった。
これらをタクトでまとめ上げた滝田洋二郎監督に拍手ですね。
映画というものが、
ほんとうに総合芸術だということを感じさせてくれる作品でした。
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