「秀作!」ハッピーフライト U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
秀作!
コメディと言われればコメディなのだろうけど…技アリな作り方だった。
なんちゅうか誇張満載のバタバタコメディなのだろうなと思ってたのだけど、全然違う。
出だしこそ、そんな匂いがプンプンするのだけれど、終わる頃には手に汗握る展開になる。
かなり秀作だと思われる。
時任さんとかいい仕事してたわー。
物語というよりは、群像劇なのだろうな。それにまつわる様々な人達が楽しい。
まぁ、主要キャストが多い。
主軸は田辺氏なのかなと思うのだけど、彼の持ち味なのだろうか主役に見えない。いとも容易く群衆に溶け込んでしまう。なので…バランスというウェイトというか突出しない事に驚きだ。
勿論、個々のエピソードはふんだんに盛り込まれていて、ちょっとぶっ込み過ぎじゃないのかと思うけど、案外綺麗にまとまっていく。
監督の演出力の賜物なのだろうと思う。
その物語とは別路線くらいの勢いで、航空会社の裏側がいっぱい挿入される。タイアップする上での条件なのかもと思うのだけれど、これがまた興味津々なのだ。
普段は見れない業界の裏側。
前奏としてはすこぶる長いのだけれど、結構見てしまえる。コレはコレで楽しかった。
公開当初は綾瀬さんの印象が強かったのだけれど、綾瀬さんのエピソードはほぼほぼない。
ないが…やっぱ華なのだろうなぁ。
その華があるが故に、そんな状態でも霞む事はなかった。監督のバランス感覚は見事だ。
ライトな感覚ではあるものの、飛行機の不調ってのはそれだけで恐ろしい。きっと本能が感じるのだろう。
その本能が感じる恐怖を知性と経験で克服していく空港スタッフ達の頼もしさ。岸部さんも素晴らしい。
物語の筋は単純なのだけれど、そのデコレーションが秀逸といおうか…技アリな作品だった。