容疑者Xの献身のレビュー・感想・評価
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犯罪の謎解きと人物像の両方がちゃんと描かれていた
総合75点 ( ストーリー:75点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
この手の作品は、犯罪の謎解きと犯罪者の人物像に迫ることの2つが重要になってくると思うが、本作ではそれがいい感じで両方うまく描かれていた。ただの数学者がどうやって男一人をそれほどうまく殺すことが出来たのか、もしそこで失敗したら全体計画をどう修正するつもりだったのだろうかとか、アパートでの死体処理をどうしたのかというような、犯罪行為の描写のほうはあっさりとして具体性に欠ける部分もあって必ずしも満足出来たわけではないのだが、それほど悪いものではない。
人生に絶望していた孤独な男が勝手に唯一の希望として崇めて人生を捧げるというのは面白い。誰も聞いていない授業を一人で勝手に進めるほどの荒涼とした彼の心の、たった一つの潤いのために全てを捨て去り彼女のために一人で勝手に尽くすというのは、傍から見れば異常だとしても、とても彼らしい生き方のように思える。
福山雅治の演技を今作で初めて観たが、他の人が普通の演技をしている中で、一人でいい男を演じて普通ではない科白の言い方をしているのが浮いていた。堤真一や松雪泰子が犯罪に巻き込まれて深刻な演技をしている横で、かっこいい男を貫いているのが違和感がある。もっと真面目で現実的な演技のほうが作品に合っているのではないか。
美しい景色は頭の中にある
面白かった。
冒頭の磁石のアップでガリレオがしゃべっているところから、でっかい実験装置の俯瞰ショットをワンカットで見せるところから引き込まれた。
犯人が雑居房の天井のシミから四色問題のビジョンを想像するシーンがよかった。それだけに登山のシーンは蛇足に感じてしまった。「僕の人生は充実している。この景色を見て美しいと感じる事ができる」的なことを言うのだけど、美しい景色は頭の中にあるからいいんじゃないか?と思ってしまった。
間違えるな!愛ではなくなってしまい、悪は空しく綻びる
巧妙な東野圭吾ワールドが堤真一によって鮮やかに!
これ、もう3、4回は観てる気がするんですが飽きませんねー。テレビ局製作の邦画だとかなり上位に入るんじゃないでしょうか。
いつ観ても初めて原作を読み終えた後にまたすぐ読み返した時のことを思い出します。「不思議に思っていたでしょう」で鳥肌がたったことも。
東野作品は初見で唸るのはもちろんのこと二回三回と伏線を確認しながら答え合わせのように楽しむのも醍醐味の一つ。
“飽きさせない”の功労者は監督や脚本ではなく原作の東野圭吾さんの構想となんといっても堤真一さんでしょう。
湯川先生「実におもしろい」とか言わない〜と思ってドラマは観てなかったんですが、常人の一歩も二歩も先を行く天才二人の対決の温かい切り口が新鮮でせつなくて見事に手の平で転がされた『容疑者X』は特に好きということもあって不安を感じながらも試聴。
堤さんじゃイケメンすぎない?と思ってたけど見事にいい感じに“石神”で(欲を言うならデ・ニーロみたいに髪まで再現して欲しかったw)、回想〜護送までの堤さんの演技には原作以上に涙が止まらなくなりました。
あと東野さんの文章ってすごい情景がイメージしやすいから実写化もスムーズに楽しめるし(『真夏の方程式』はしてほしいくらい!)、改悪も多いけれど小説ならではの「上手いなぁ」という部分や原作のページをめくる手が止まらない感じも活かしてあるしこの映像化は大成功と言っていいと思います。
本音を言うならテレビ局製作じゃないのがみたかったけど、テレビの延長って感じも極力抑えてあって好感が持てました。それに結局本当はもっと可愛いげのない(いい意味で)イメージだった湯川先生たちも今ではもう本を読みながら福山さん、コウちゃん、メガシャキwで勝手に再生されちゃうようになりました。
でも本作では内海はいなくてよかったかな。なんか商業的なだけの配役や演出はがくっときます。
そしていくらなんでもダンカンは違うでしょ〜!w
あとは爆発とか雪山とか変な付け足しをせずにもっと最初と最後の娘のくだりなんかに時間を割いたら更に良かったかなと思います。
あ、牢屋の天井の演出は素晴らしかったです!堤さんの表情も相まって。ああいう、文字を素直に起こすだけじゃない映画ならではの工夫はうれしくなります。
とにもかくにも原作ファンも充分満足できる良作です。
愛の証明
まずストーリーについて
テレビ版も楽しんで観ていたが、今作も面白くガリレオシリーズは面白いなぁと思った。
冒頭の内海が湯川に愛について尋ねることが全体の振りになっており、今回の事件がそれに対する証明となっている、というのがこの映画の構成である。
最後に内海が石神にとってあの親子の存在が生きる理由だった、というのが印象的である。
あの親子への恋心が生きる活力だったのであろう。(あの親子が石神にした挨拶などは大したことのないものだが)
常に論理的で私情を挟まない湯川は苦しむことになる。それは石神に対する愛である友情があるからである。天才として分かり合えた友情が。
論理的・科学的には説明がつかない愛の存在を一つの例として証明したのが今作であると思う。
非常に悲しい物語だ。確かに誰も幸せにならない。真実は時に残酷なものだ。
最初から死体を捨てればよかったという意見があるが、日本の警察をなめてはいけない。宿からの失踪届けから花岡の存在を突き止めかならず死体が引き揚げられたであろう。
映画について
なんといっても堤真一だろう。最後に泣くシーンは俳優ってスゴイなぁと感じさせられた。
邦画も捨てたもんじゃないな!…
タイトル通りに思えた数少ない邦画鑑賞の中でもトップクラスの作品になった。
とても感慨深い内容で、ラストのやられた感はとても気持ちが良かった。
久っ々に日本映画で泣いた。もしお勧めの邦画は…と聞かれた時は是非薦めたい作品の一つです。
人の感情をうまく描けている作品である。結末が・・・
なぜ新品の自転車である必要があるのか等、石神(堤)による謎がちりばめられていて引き込まれる。
その謎を明らかにしていく湯川(福山)に対してさらに謎をかけてくる石神との攻防が楽しい。
しかしながら、作品のテーマが重く、後味が悪い。花岡(小雪)のきれいな人でなくて明るい人を使う、笑いをもう少し入れる、ともう少しライトになったかなあ、と思う。
それにしてもよくできている作品である。人の感情をうまく描けていて、素直に共感できる映画になっている。
*1 「幾何の問題と見せかけて代数の問題だったりする。ひっかけですよ。」という石神の言葉が印象的。
*2 他人のコメントで印象的だったのは、「湯川、石神、花岡の3人が、それぞれ幸せを考え、自分の正解を行動で表すものの、すれ違う姿からは、何が幸せなのかを考えさせられました」
→幸せはおしつけでは成立しないのかもしれない。
お、重い・・・・
TVとは、別物!
原作読んでません。TVドラマも、チョこっとかじったくらいです。東野圭吾原作「ガリレオ」シリーズの映画化。事前に観た人から『泣けるで~』と聞かされ、吾輩『???』このシリーズって確か、福山雅治の軽妙洒落な“なりきり演技”がウリの、少し軽めのお話じゃございませんでしたか?
はい、TVとは全然テイストが違います。ハッキリ言って“別物”です。湯川先生ハジけてません!かなり抑えてます。そこが『実に、面白い!(^^;』確かに今回、タイトルのどこにも「ガリレオ THE MOVIE」とは謳われておりません。そう、あくまでもコレは東野圭吾原作の「ガリレオ」シリーズの映画化作品であって、月9ドラマの映画化作品ではないのです。そこら辺が、これまでのフジテレビのドラマの映画化作品とは、一線を画す仕上がりとなっています。何よりこの映画、“福山雅治 主演”ていうより、堤 真一と松雪泰子が演じる、石神と靖子を中心に描かれてます。更に言うと、柴咲コウ演じる内海なんて、大した役目を果たしてない…って言うか、別にいてもいなくても一緒!くらいのキャラになりさがっております(今回一番オイシイ思いをしたのは、ひょっとして北村一輝かも…)。ですから、あのドラマのテイストが好きで、ソレを期待して観に行かれますと、相当な肩透かしを喰らうことになります。吾輩は映画の後半、まるで同じ東野圭吾 原作の「手紙」を観ているような錯覚に陥りかけました。
それでは、作品としてのデキはよろしくないのか?答えは『NO!』推理サスペンス物としては、一級品の出来だと言えるでしょう。天才・石神が実践した完全犯罪に、その明晰な頭脳で果敢に挑む湯川…。この静かで緊張感溢れる対決は、観ている者を決して飽きさせません。ただ、そのかわりに大スクリーンで観るには、非常~に地味です!予告編で流れている“大爆発の実験シーン”が冒頭で流れますが、それ以降ハデな映像は、一切なし!吾輩観ながら『カネ掛かってへんな~(^^;』と思っちゃいました。そう、デキはともかくスケール的には『TVでも出来そう…(爆)』って、思っちゃいました。あ、決してヒドイ映画じゃないですよ。それは重ねて申し上げておきます!
前述しましたが、今回の手法はこれまでの“TV→映画”という少々安直になりつつあった制作の流れに、一石を投じるような作りになっています。そういう意味では、コレが大ヒットして、一つの新しい流れが作られれば…、ソレは今後の映画業界にとって、大いに意義のあることだと思います。ドラマを観てなくても、原作未読でも充分理解出来ますので、変な予備知識を持たずにご覧になることを、お薦めします。但し、ドラマが好きだった人!何度も申しますが、“シリアス”ですよ。主題歌は同じ“KOH+”でも「KISSして」ではなく、「最愛」です。このテイストの違いに戸惑われぬように…。
石神役は温水洋一のイメージ
ミステリーやサスペンスが好きで、
前から「容疑者X」を観たいと思っていましたが、
原作を読んで、
ますます、その思いが募り、
とうとう、今日観てきました。
殺人事件の発端となる、花岡靖子の元夫と
靖子を助ける天才数学者の石神
そして、
靖子が思いを寄せる男性
この三人がこの物語のキーマンだと思っていましたが、
元夫はもう少し容姿端麗の男じゃないと、
何故、一時にせよ夫婦になったのか
説明できないし、
松雪さんとも釣り合いが取れません、よ。
直ぐ殺されるからといって、手抜きはいけません。
石神役は堤真一じゃカッコ良すぎますよね。
人と上手く付き合えずに、外界と遮断されて
世の中に絶望するには、やっぱり、ぶおとこ
の方がよいのです。
私的には、温水洋一が原作を読んだときに
温めていたキャラクターです。
そして、この人物こそ実は、この作品で
最も重要な人物だと思っているのですが、
靖子が思いを寄せ、石神が痛烈な嫉妬を燃やす男性。
ダンカンじゃ、絶対駄目です!
もっとカッコ良く、誰からも愛されるような
キャラクターじゃないと。
関口宏みたいな感じの人じゃないと。
ちょっと違った観点から語ってみましたが、
作品自体は、
湯川学役が、少しダイコン臭(しゅう)はするものの
原作が東野圭吾の中でも傑作の部類に入ると
呼び声の高い作品なので、
とても楽しめました。
原作のイメージ通りの映像が次々と現れ、
このシーン早過ぎない?と思えるほどの
テンポにしつつ、
しっかり、湯川と石神のつながりを際立たせる
そんな登山のシーンを作ったりして、
奥行きもあったと思います。
この辺が、(原作の無かった)
「HERO」や「相棒」と違ったところだったと思います。
是非、シリーズ化して欲しい作品です!
人間は時計から解放されると、規則正しい生活になる
映画「容疑者Xの献身」(西谷弘監督)から。
さすがに、東野圭吾さん原作だけあり、私のメモも溢れた。
そんな中から選んだのは、ちょっとストーリーと関係ないが、
「人間は時計から解放されると、規則正しい生活になる」。
たしか、ホームレスが生活している場所を眺めていて、
口に出た台詞だったと思う。
毎日、その場所を通勤で通るからこそ、気付いた視点だろう。
この視点、実はいろいろなところで必要かも知れない。
人間の生活に必要だ、と思っていたものが、
実は、いらなかったりすることがよくある。
今、私たちが使っているものの大半は、
この100年くらいに発明されたものばかり。
ということは、便利な道具ではあるが、
どうしても必要なものでもない、ということもできる。
町中に、これでもか、と時計が溢れているが、
実は、表示されている時刻が微妙にずれていても、お構いなし。
人間の生活には、正確な時計は要らないのかもしれない。
ねじれた献身。
TVドラマ版は、まったく観ておりません^^;
原作&福山人気の相乗効果でかなりの視聴率だったようで。
これは公開前のトーク番組で、福山&堤真一が語っていた
内容が妙に面白かったおかげで、観る気になりました(爆)
…で。映画も面白かったです!
謎解きがメインなので、そこに絡むドラマが問題なんだけど、
しっかりした俳優陣を使っていたので、違和感はありません。
だいたい有り得ないくらいにカッコいい物理学者ですので^^;
(寝姿でさえもイケてました。格好悪かったのは雪山くらいか)
こんな人が変わりモノというのもドラマの格好の材料ですね。
ちょうど期を同じくして、日本人物理学者3名がノーベル賞を
受賞され、なんだかヲタク研究心に火がついた気がしました。
物理学者も数学者も、天才がつくと凡人とはまるで違う(爆)
そんな違和感をとても上手に表現していた堤真一の演技が
素晴らしく(疲れていて)こちらまで鬱蒼となりましたねぇ。
役作りの為に前髪を剃り落として(!)デコを広げたそうです。
原作イメージと比べるとかなりカッコ良すぎるそうなので^^;
そのせいだったかもしれませんね。(福山は変わらずですが)
ラストの泣き方までもしっかりとイメージを醸していました。
冒頭で犯人はアッサリと判明するものの、事後処理の方法と
アリバイ作りのからくりの謎がまったく分からない警察軍団…。
思えば確かにヒントがちょろちょろと映し出されてるのですが、
それが見事に一つの線で繋がるラストはお見事!で、あまり
オカルトじみていないところが私にはかえって良かったですね。
ただ、その真実がこの「Xの献身」を無駄にしてしまうことが
ガリレオ福山には分かっているため、それを言い出せない。
男同士の友情(といってもかなり非凡な)が切なかったですね。
しかしどうして彼らが雪山を登らなければいけなかったのか
あのシーンの意味だけはサッパリ分かりません(爆)
思わずあそこで「クライマーズ・ハイか?」と思いましたもんね。
堤さん、ここでも大熱演です。
彼が想いを寄せる隣人・薄幸だけどファンデが濃い松雪泰子、
このヒト、なにをやってもハマってるなぁ~の北村一輝など、
脇も豪華で良かったですし、中でも殺されてしまう元夫?の
富樫役・長塚圭史は、お父さんと声がソックリ♪でしたねぇ。
あとダンカンはどうしてもイイ人に見えなくて(スイマセン^^;)
また騙されてるんじゃないかと心配で仕方ありませんでした。
やたら俳優陣にばかり目がいってしまっていますが^^;
原作&脚本が良いおかげで、単なるドラマのオマケ延長化
していないところがとても新鮮な感じがしました。
(家のこたつは、ねじれコードか?と気になった人いるだろな)
TVとは違う
面白かったけど・・・
和製サスペンスの傑作
見事にやられた!これはガリレオであってガリレオでない!
テレビシリーズのガリレオを観ていた自分にとっては、まさしくその延長線上のものでしかなかったこの劇場版。良くも悪くも、まあ、その、平均点?というか…まあ…度を越した期待感などはなく、普通に劇場へ…
見事に予想を裏切られました!
ガリレオという媒体を借りた、普通(?)の、真っ向勝負のヒューマンドラマ!そしてサスペンス!に仕上がっとりましたよ!ビックリ、驚嘆…
劇場版だからと気負わず、淡々と進む話、人間模様、トリック…ニ分割画面…
下手すれば観客に飽きられる場面のオンパレード…あれあれ?フジテレビどうしちゃった?と思わずにはいられない普通の物語進行…それすらが全て伏線だったなんて!やられた!クライマックスのあのシーンに全て集約されてたなんて!憎い!憎すぎる!いつの間にか自分の頬を伝う涙…涙…なみだ…
フジテレビさん…一皮むけましたね…兜を脱ぎましたよ…私………
劇場で鼻を啜る観客の多いこと多いこと…(自分もその一人)…今年、一番泣ける映画はこれだと、胸をはって宣言できますね!私は!いやあ、びっくり…感動…
月並みですが…実におもしろい……
献身る(まもる)
まず、好きだったドラマ(ガリレオ)のキャスティングをそのままでまた...
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