容疑者Xの献身のレビュー・感想・評価
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最愛の人を守ることとは
こんなに切ない殺人はそうそうだろう。
もちろん殺人を美化してはならないわけですが。
完璧なはずの方程式だったはずなのに
非論理的な形の象徴である愛によって覆されてしまう。
生きる意味を失ってた石神に生きる希望を与えた花岡母娘
ほんのささいなきっかけで人の人生は変わってしまう。
人生とはそんなものなのかもしれない。
それはいい意味であり、悪い意味でもある。
堤真一がこの役を演じてくれて本当によかったと思えた。
石神の、彼なりの純愛を見事に表現してくれたと思う。
純愛が生んだ、渾身のトリック
"ガリレオ(劇場版)" シリーズ第1作。
フジテレビでの地上波初放送を鑑賞。
原作は既読、テレビシリーズも視聴済み。
明るくポップな演出が光っていたテレビシリーズとは打って変わって、エモーショナルな静謐さが漂う重厚なミステリーとなっているのが本作の大きなポイントです。
原作の雰囲気がきちんと守られていて、とても好感が持てました。テレビシリーズみたいに、謎が解けたらめったやたらと数式を書くシーンは一切登場しませんでした。
天才物理学者・湯川学と、彼が唯一本物の天才だと認めた数学者・石神哲也。ふたりの天才が繰り広げる頭脳戦をスリリングに描くと共に、石神がひとりの女性を愛するが故に仕掛けた切な過ぎるトリックが止めどない涙を誘いました。
映像になった途端、石神の抱く想いが画面から溢れ出して来るかのように刺さりました。堤真一の演技も相まって、単なる推理物に留まらない豊潤な人間ドラマだなと思いました。
理論的思考を重んじていたはずの石神が非論理的な「愛」に突き動かされ、その天才的頭脳をトリック考案のために働かせてしまったと云う悲劇。石神の心中を理解しようとした湯川の姿に、推理機械ではない人間らしさを感じました。
福山雅治のファンなので、ファン補正が入っていることは否めませんが、彼の演技に強く心を揺さぶられました。
原作を読了時は予想を裏切る真相に驚愕したものの、テーマである愛に関してはまだまだ理解が足りていませんでした。
時が経ち、本作を何度も観る内に、石神の想いがだんだん理解出来て来たような気がします。これほどまでの純愛とは…
愛は人を強くする。良い方にも悪い方にも。そして、生きる力となる。想いが人をつくるのだと、しみじみ思いました。
ラスト、川からだんだんと遠ざかっていく画面と共に流れる「最愛」が切なくて、心に染み入って来るようでした。
石神の心情に寄り添うような歌詞の重みと悲しげなメロディーが、情感たっぷりに本作を補完していると思いました。
[以降の鑑賞記録]
2011/01/08:土曜プレミアム
2013/? ?/? ?:DVD
2013/07/06:土曜プレミアム
2019/09/09:Blu-ray
2021/07/18:Blu-ray
2022/09/24:土曜プレミアム
2024/03/23:土曜プレミアム
※修正(2024/03/23)
3度目の鑑賞ながら、いいわー。たまらんわー堤慎一。天才だけどコミュ...
3度目の鑑賞ながら、いいわー。たまらんわー堤慎一。天才だけどコミュ障ってひとの演技がうまい。
そして天才コミュ障ならではの言動。
彼女と娘を助けるため、何のためらいもなく人を殺し自分のすべてを犠牲にする。見返りは求めない、いや、これだけのことをする理由は充分にあると、当然のように思っている。
普通の人から見たらおかしいけれど、いるんだよね、こういう人。
唯一の誤算は、華岡やすこが普通の人で、その普通の人の心理をわかっていなかったこと。
最後の絶叫は、ほんとに心底「なんで⁉︎」だったと思う。
完璧に終わって、あとは幸せになるだけだったのに、なぜ?っていうのと、彼女が自分なんかを気にかけることが理解できない。
ちょっと前に流行った、「彼女がその名を知らないナンチャラ」なんかより、ずーっと激しくて全てを捧げた愛だと思う。
ガリレオとやらの劇場版だからしかたないけど、これ福山いなくても全然良かったよな・・・まあ説明要員としてはいてもいいけど。柴崎コウはもちろん要らないし。
堤慎一のための映画だよ。
全てのファクターが合致し相乗効果を生み出している。
隣人への想いのメタファーとして、数学者らしく四色問題を取り上げたことや言い回しが秀逸であった。
花岡の存在によって生かされていたから他人を殺めてまで庇った。言い換えるとそれ程花岡のことを愛していたということである。
後半から終盤にかけて石神の真意が明らかになり、このまま庇い続けて終わるかと思われたが、最後は報われない結果になりとても切ない気持ちになる。
主題歌である「最愛」の歌詞が石神視点で作られたものであり涙なしには観られないはず。
最高です
私が今まで見た映画の中で1番リピートした映画です。
ガリレオシリーズが大好きで全部見ているのですが、この作品はずば抜けて好きです。
見ている側がバラバラに知り得た情報が、最後の最後でぴったりとパズルのピースのように重なって、最高にスッキリしました。
見終わった後にこの映画のタイトルの意味がわかるところも好きです。
個人的には、他のどのサスペンス映画よりも心に響きました。
堤真一さんの演技もさすがという感じです。
結末を知っていても何回も見たくなる映画です。
思った以上の良作
テレビシリーズとは違うと言う前触れ通りでした。
クライマックスのシーンでは感情が論理に勝る瞬間を感じます。
湯川、石神、花岡の3人が、それぞれ幸せを考え、自分の正解を行動で表すものの、すれ違う姿からは、何が幸せなのかを考えさせられました。
とても良い映画です。
作品の季節に合った時期に、もう一度じっくり見ようと思います。
不器用な男の不器用な物語
東野圭吾原作「探偵ガリレオ」シリーズの最新作で直木賞受賞作『容疑者Xの献身』の映画化作品であり、フジテレビ系列の月9ドラマ『ガリレオ』の映画版です。
とは言え、どこかコミカルだったテレビ版とは違い、映画版『容疑者Xの献身』はかなりシリアスな話で、ドラマとは一味違う物語が楽しめます。
大学の准教授で「変人ガリレオ」と呼ばれる湯川学と湯川に捜査協力を依頼する刑事・内海薫が数々の難事件を科学的実証に基づいて解決していく「ガリレオ」シリーズ。
この『容疑者Xの献身』は、テレビ版では描かれなかった湯川の人間的な部分が湯川の親友であり、唯一「天才」と認める数学者・石神哲哉との物語を通じて描かれていきます。
というよりも、今回の話の主役は湯川と内海ではなくて、石神と石神の隣室に住む花岡靖子・美里親子ですね。
執拗に付き纏う元夫を殺害してしまった花岡靖子と、それを知ってしまい、献身的に靖子と美里の完璧なアリバイ作りに協力する石神。何で石上は花岡親子に対して、それほどまでに協力をするのか?
石神を演じる堤真一の抑えた演技が素晴らしくて、ストーリーにどっぷりと惹き込まれてしまいました。
それだけに最後の「どうして!」と感情を爆発させる場面は感動しました。
僕は、ずっと石神に感情移入して観てたので尚更でしたね。
恋愛や人間関係に不器用な石神の気持ちが何だか判る気がします。
正直言って、邦画でしかもテレビドラマからの映画化作品ということで、あまり期待はしてなかったし「どうせテレビと同じでしょ。」と思ってたんですけど、いい意味で裏切られました(笑)
この作品は、推理物・ミステリーの形を借りた、とても切ない「ラブストーリー」ですね。
僕はそう思いました。
ハラハラと崩れるように鳴き落ちる堤真一の演技に鳥肌がたちました。
本作は、テレビドラマ『ガリレオ』の劇場版です。小地蔵は、テレビ版は全然見ていません。それでも楽しめましたからこれから見る人もご安心を。
本作は、推理ドラマとしては異色の犯人と犯行を冒頭で明示してから進行します。しかし犯人には、完璧なアリバイがあり、捜査は行き詰まりますが、見ている方もアリバイに捕らわれすぎました。
本編を支配する数学的ギミック。簡単に言うとある面ばかりしか考えない思い込む人間の習性にギャフンとさせられるのは捜査陣ばかりではありません。
容疑者の数学教師・石神は、観客にも数学的思考を要請しているように思えました。そしてストーリーテーラーとなる物理学者の湯川学の解説を通じて、本作の事件を別な視点で推理する必要を痛感しましたね。
頭脳派二人がぶつかるとき、無言に近い以心伝心の対決が見物でした。そして数学=最初に真相回避の命題を開示して、それを実現する公式を次々編み出していく発想法に対して、物理学はひたすら実証と推論を繰り返して、真相に近づいていくという二人の立場の違いが鮮明になったと思います。
さて、犯人の花岡母子は、別れた夫にアパートを突き止められ、二人ははずみで前夫を殺してしまいます。隣の住人だった石神は犯行を察知して、花岡宅に乗り込みます。てっきり脅迫するのかと思ったら、共犯のリスクがあるのに石神は、事件の隠蔽とアリバイ作り、そして警察への対応を完璧に母子に指示し、捜査を攪乱してしまうのです。
観客にとって大きな謎は、冒頭に元夫殺しを見せつけているのに、警察の特定した死亡推定時間には、親子で映画を見ていたという完璧なアリバイが出来ていたことです。石神はどんなトリックで、アリバイを作り上げたか。
この謎はラストまで引っ張り、犯人母子も知らなかった容疑者Xの常識を越える献身ぶりが、明らかになって行きます。
真相がわかったとき、思わずそんな手があったのか!と思われるでしょう。
そしてホームレス街にポツンとベンチに取り残された荷物が意味なくアップされる、中盤のワンシーンに隠された重大な意味に気づかれて、あっと驚かれるのに違いありません。
もう一つの謎は、なぜ容疑者Xは見返りを求めず犯人母子に献身しようとしたかです。これもドラマとともに次第に明らかになります。単なる恋心でなく、母子に出会ってもたらされた生きるための意味が、彼にとってどれほど大きなものであったのかしれなかったのです。
そのために決定的なのは、石神という人物のキャラクターです。堤真一はこれまでのネアカで活動的なキャラを覆し、陰の深い数学オタクの教師役をリアルに演じていました。クライマーズ・ハイとの余りの違いに、当初は別人だと思ったくらいです。
そして圧巻は、東野圭吾作品のヤマ場。仕込んだトリックが崩壊して、犯人が号泣するお約束のシーンで、ハラハラと崩れるように鳴き落ちる堤真一の演技に鳥肌がたちました。犯行が張れただけでなく、全知全能を尽くして仕立てた自分の献身が音立てて脆くも崩れてしまった刹那だったのです。
反面福山雅治は、湯川という役柄を作り込みすぎている感じがしました。石神と心を通わせる後半は、ずいぶん馴染んできたような落ち着いた演技になっていました。
それにしても、伝わってくる思いメッセージは、真実を暴くことが正しかったかということです。それでは誰も幸福になれないではないかという石神の言葉が、湯川を追い込んでいきました。
物理学者は、立証してなんぼの商売。聡明な湯川でも、論理を超えた情という不確定因子の前には、自分の信念が揺らいで、後味の悪さばかりが残ったことでしょう。
映画『ビック・フィッシュ』のテーマでもありますが、事実よりも作られた記憶の方が重要な意味を持つことも考えなくてはいけませんね。
トリックに絶賛♪キャストに魅了^^
TVドラマは、まともに観てはいませんでした^^;
なので、TVイメージも先入観もないままに観れたのが、返って評価を高くしたのかもっ♪
ゴチャゴチャとややこしくない単純なストーリーが良かった^^
トリック・・・タネを明かせば単純なのにっ、見事にしてやられた感じですっ(笑)
完璧に天才物理学者:湯川教授の世界に引き込まれましたね。
それに、なんつったって堤真一さん♪
彼はイケメンなのに、この地味な天才数学者の役が似合うことといったらっ^^
キャスティングもバッチグ~☆です\(^o^)/
10月6日109シネマズ高崎にて観賞
ドラマとは別物かな(いい意味で)
公開前日のスペシャル版を見てから映画館に行きましたが、見てなくてもOKかな^^;
ドラマで見られる軽いノリは影を潜めていて、キャストは同じだけど別の作品のようでした。ホント良かったです。
ドラマはガリレオのキャラを作るための準備だったのかなぁ。。
報われない
誰一人として報われない結末
天才石神自身も彼が守ろうとした家族もそんな親友のトリックを破ってしまったガリレオも
もちろんなんの罪もなくなり殺害されることとなった浮浪者も
推理モノではあるけれども人間心理の葛藤が素晴らしいと思った作品です。
純愛が故の結末…
2024
50本目
TVにて。
何度か観たが、やはり辛い。
最後は涙が出てしまう。
当時、TV版のカジュアルな感じとは違う雰囲気に違和感を覚えた記憶がある。
しかし考えられたトリックと人間の愚かさや優しさを表現していてガリレオ映画は好きで全て観た。
石上は花岡に生かされていた。。
なんとも心苦しくなる。
謎のままが良いということもある
脚本が素晴らしかった。
ガリレオ(福山雅治)が余計なことをしてしまい、Xの正体が解ってしまう。
マルチエンディング希望したくなるほど悲しい。
ガリレオ先生シリーズの中で最高傑作。
「なぜ言わない?」「君が友達だからだ」
途中印象的だったシーンは石神の家に湯川が訪ねてきた時、刑事から伺って来たという湯川の発言から石神は警戒をしていたにも関わらず寝入った湯川に対して布団をかけてあげるシーンを見たとき、単に数学だけではないのかなと石神の心の暖かさ?を見た気がしました。
そして自分はこの映画のタイトルにも惹かれました。
石神の匿い方は献身という表現にふさわしいと終始感じ、それ故に愛を超えて人の温もりに飢えた人間の末路だったのではないかなと思いました。
ちなみにゾッとしたシーンは湯川と朝の出勤時に途中すれ違っていたホームレスがいなくなっていたところですね。
そして石神がわざと花岡へのストーカー的な行動をしたことにより花岡に石神への私情を持たせない為とわかった時は、切なかったです。
邦画史に残る傑作
ガリレオ最新作が公開されたため何度目かの鑑賞…
いやぁ、傑作ですね。
愛の証明は時間の無駄、という冒頭から数学、四色問題と絡め、それら全てを美しく繋げた石神の計画と、至上の献身。
そして天才数学者石神ですら(勿論湯川ですら)計算できない、「愛」によって突き崩された石神のロジック。様々な事柄が連立的に作用して、映画として余りにも美しい…
特に獄中での「隣同士が、同じ色になってはいけない…」のパワーたるや。絶句ですね。
無辜のホームレスが犠牲になるのが胸糞だの、最後の石神の慟哭は「なぜこの美しい計画を突き崩したのか理解できない」からでしかない、とかいう意見も散見されるが、今ひとつ理解に苦しむ。
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