「『燃えよ!ピンポン』では見られなかった鏡の間が・・・あぁ」少林少女 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
『燃えよ!ピンポン』では見られなかった鏡の間が・・・あぁ
“気”が強すぎて、心まで感じられなかった。どんなスポーツにおいても心技体が良い結果を出す。カメラアングルは面白いし、技術面は問題ない(しょぼい部分も多かったけど)。スタントなしの体当たりアクションもいい。だけど、この映画においても「心を教えている」などと江口洋介に言わせているのに、映画そのものに心が感じられないのです。まぁ、コメディには必要ないのかもしれないけど・・・
設定そのものは面白い。チャウ・シンチーがクレジットされていることや予告編によっても期待度は高まるばかり。主人公の凛(柴咲コウ)が日本に帰って少林拳を広めたい、かつて学んだ道場が廃墟となった、そこの中国人留学生ミンミン(キティ・チャン)とともに再開することになり、交換条件として大学のラクロス部にも参加する、と、ここまでは良かった。コメディ部分としても『カンフーハッスル』の2人がいい味を出していたのに、製作側は岡村隆史に頼り過ぎた感があるのです。
ストーリーもカンフーが中心かと思っていたのに、前半は9割くらいがラクロス。まさしく少林ラクロスだった。『ドラッグストア・ガール』でラクロスなるスポーツを知ったのですが、日本での競技人口も25000人と、人気があるようだ。それはそれでいいのだけれど、カンフーとしてクライマックスの対決に向かうには意味がない・・・「戦うな」などという台詞には深い意味がありそうなのに、それが全く活かされてないし、動機づけそのものが弱すぎる。なぜ仲村トオルが柴咲コウと戦いたかったのか、それすらわからなかった・・・道場破りというより、単に看板コレクターだったようだし・・・
『燃えよドラゴン』のパロディというか、ブルース・リーのモノマネには驚かされた。だけど、笑いがなかったところをみると、誰も『燃えよドラゴン』を知らないのか・・・。どうせ色んなカンフー映画のパロディを取り入れるなら、もっとわかりやすくしなければならないと思う。そして、オリンピックイヤーということもあって、競技にはないラクロスや少林拳の代わりに聖火トーチを目立たせるとはなぁ・・・それもこれも1年後には忘れてしまってるに違いありません。記憶に残るのは「社長」と「タマゴ」だけなのかも・・・
【2008年4月映画館にて】
MAKOさん、コメントありがとうございます!
この手のパロディ映画なんてのは、根本に映画愛がなければ成り立たないですよね~
パロディだけどオマージュ!みたいな。
そんな映画愛が感じられればストーリーがしょぼくても納得できるんです。