「映像はきれい」潜水服は蝶の夢を見る たけだけさんの映画レビュー(感想・評価)
映像はきれい
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本作は「ELLE」編集者のジャン=ドミニック・ボービーの小説?自著伝?の「潜水鐘と蝶」を原題としたもの。
脳溢血により体も動かず声すら出せなくなった主人公が病院で目を覚ます場面から始まる淡々とした日常を彼の視点から描いている。
ほとんど主観アングルでの「現実/現代」と第三者アングルでの「過去・妄想」で構成されている。
・とにかく主演のマチュー・アマルリックの演技がすごかった。
全身マヒ患者の演技は本当に全身マヒの人間がやっているのではないかと思えた。
そう思っていたからあるシーンで車いすから颯爽と立ち上がるのだが、そうかこの人は健常者なのかとハッとさせられた。
口元などは入れ歯で、というのはインタビューで聞いたがそれよりも目の演技がすごかったと思う。
・映像は美しい。たまに画質の荒い「これ資料映像?」という場面も出るが気にならない。
・ストーリーもだがこの映画の流れ自体淡々としてドラマチックではないのでつまらない、という人もいるかもしれない。
しかし、その淡々とした日々の中でひねくれ者の主人公がささいな幸せを見つけていく過程はとてもいい、ほっこりする。
脳溢血患者の話なのに暗くなりすぎずセリフも面白いので私は投げ出さずに見れた。人に勧めるかと言われるとNOだが。
・このひねくれ者の主人公だが味があっていい、はっきり言って嫌味な奴だが不思議と憎めない。
話が暗くなりすぎなかったのは彼のキャラ性のおかげだと思う。
ちなみに気に入ってる会話がある。自分の世話をしている女性療法士にあるシーンで「メルシー」と言う、女性も「ありがとう」と返す。心の声で「女性は単純だね」…。お前というやつは!
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