「蝶は浮気の象徴。」潜水服は蝶の夢を見る ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
蝶は浮気の象徴。
まさかこの作品を、こんなに早く観られるとは思わず(汗)
まぁ~名画座だろうな…なんて諦めていたのですよ、ホント。
そしたら近所のシネコンで上映が決定!?していてビックリ!
もちろんすぐさま観に向かいました…!
今年のアカデミー賞でも4部門にノミネートされた本作ですが
(どれかひとつでもとって欲しいな~)期待通りの素晴らしさ☆
とりあえず今のところ、文句なく一位にするだろう作品です。
あ、おすぎと一緒?^^;
ファッション誌「エル」の編集長として活躍する人生から一転、
脳梗塞で倒れ、昏睡状態だった主人公。物語は突然、
彼が目を覚ましたところから始まります。…このアングルが見事!
唐突に左目しか機能していないことを露呈させ、主人公と同様、
観客までが状況を掴むまでに時間をかけることになります。
やがて医師や看護師、博士などの説明から、彼がまばたきしか
出来ない状況であることが判明し、リハビリが開始される。。
すでにこの時点で、ものすごく悲壮感が漂っても良さそうなのに、
本作にはそれが全くない!それどころか、ユーモア満載で
詩情に溢れ、ただただ観ているこちらが驚くばかりなのです。
二進も三進もいかない状況で、こんな表現が果たして出来るか?
そこにこの主人公の人間性と、監督の人生観が投影されています。
実際にこの後、まばたきのみで自伝を完成させた主人公の過去、
いろいろな問題も暴露されますが、これぞおフランス主義♪か?
とにかくチャーミングというか、多分女がほっとかないタイプ^m^
彼が有名誌の編集長だったことが頷けるような生き方をしている。
彼のワガママに付き合い、彼の世話を焼き、彼に(目で)語らせ、
旅までさせたりするのが、ぜーんぶ美しい女達でっす。^^;
アンタ、潜水服なんて着なくたって周りが蝶だらけじゃん♪なんて
思ってしまった。そして彼本人にまったく嫌味がないのも素晴らしい。
この物語は彼の身に起きた不幸。を描いているようにみえて実は、
素晴らしき哉、人生!を地でいっている人生賛歌なんだと思います。
どんな状況にいたって、僕は僕である。それをしっかりと踏まえた
男の末路は生であろうが死であろうが、幸せなものだと感じられる。
鑑賞後に、これほどスッキリ感が残るとは思っていませんでした。
彼のとった選択、確かに妻なら寂しい部分はありましたけどね…(-"-)
監督:J・シュナーベルと、M・アマルリックの演技に大拍手!!
(夜の蝶と昼の蝶では、たぶん彼にとっても?違うよね…なぁんて)