劇場公開日 2008年2月23日

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トゥヤーの結婚 : 映画評論・批評

2008年2月12日更新

2008年2月23日よりBunkamuraル・シネマにてロードショー

土地と文化を掘り下げた民話のような物語

ワン監督の母親は、内モンゴル自治区の、この映画のロケ地の近くで生まれたという。その地域は砂漠化が進み、中国政府は環境を保護するために、牧畜民を強制的に移住させる“生態移民”という政策を実施している。ワン監督は、そんな現実を踏まえ、牧畜民の生活を映像に残そうとした。

だが、この劇映画は、彼らの生活をとらえるだけではなく、時代の流れに逆行する物語を紡ぎ出していく。牧畜民たちは映画の撮影後に移住させられたが、たくましいヒロインとその家族は、苦難の果てに土地にとどまる道を選択する。それは、映画のなかだけのささやかな希望を意味しているわけではない。

この映画で印象に残るのは井戸掘りだ。ヒロインの夫は、井戸を掘っていて事故に遭い、下半身不随になった。最後の求婚者となる隣人の男も、その気持ちを表すために井戸を掘り出す。井戸掘りは、土地にとどまること、文化を守ることを意味する。そして、ワン監督もまた、ただ目の前の現実を見るのではなく、民俗学者のように、土地と文化を掘り下げている。ヒロインの結婚をめぐる物語が、人々のなかに生きつづけていく民話のようにも感じられるのは、決して偶然ではないのだ。

(大場正明)

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