「ホームビデオ風の怪獣映画というのも斬新だが、「強いアメリカ」ではなくなった点も新しかった。」クローバーフィールド HAKAISHA あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)
ホームビデオ風の怪獣映画というのも斬新だが、「強いアメリカ」ではなくなった点も新しかった。
アイデアがいい。
舞台はニューヨーク。日本に転勤が決まった青年を祝うパーティ会場を撮影していたが、突如物凄い音が響き渡る。様子を見にいくと、なにかが街を破壊している。身の危険を感じた人々はとにかく逃げることにする。
いわゆる怪獣映画だ。ただし、ブレアウィッチプロジェクトのようにホームビデオ風に撮影されているところが新しい。ただし、予算がなかったブレウィッチプロジェクトと違い、本作は製作費27億円。映像も計算されたものになっている。
登場人物がホームビデオを持って逃げ惑う人々を撮影しているスタイルなので、怪獣も人間の目線だけになる。人間の目線だけ、というのはリアルな感じがする。「シン・ゴジラ」はホームビデオ風の映画ではなかったが、目線に関しては本作を踏襲しているのだと思う。
そんな斬新さもあって、興行収入240億円を稼いだ。
ニューヨークがなんだかよくわからないものに襲われる、という状況は911を想起させるし、実際にそういうセリフもある。
日本のゴジラは原爆のモチーフで、アメリカの「なにか」は911、すなわち外国から来るテロリストがモチーフなのか。
wikiの解説を読むと、最後のショットがかなり重要なヒントとなる。
敵はどこからかやってきて、潜入し、突然攻撃してくる。
善良な市民はただ逃げ惑うばかり。
興味深いのは、ハリウッド映画は外部からやってきた敵を英雄的な人々が命がけで倒すのがセオリーだった。「インデペンデンス・デイ」や「アルマゲドン」がいい例だ。
しかし、本作は普通の人々がただ逃げ惑うばかり。撮影方法や、怪獣の姿がよくわからない、といった部分も新しいが、主人公がずっと逃げているというのも本作の斬新なところかもしれない。
おそらく先述の911によって「強いアメリカ」が揺らいだのではないか。
怪獣映画とはいえ、よくよく考えるといろいろなことが見えてくる。