勇者たちの戦場のレビュー・感想・評価
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戦争のトラウマに悩まされる人々
てっきり、戦闘映画かと思ったら、戦争から帰還した兵士たちのその後を描いた映画でした。
イラク戦争でアメリカ兵士たちが帰る日を楽しみに最後の任務に就くところから始まります。しかし、帰国直前に敵(反勢力か)から襲撃を受けて、仲間の一人が亡くなり、女性一人は右手首を失ってしまいます。それぞれ、家に帰れたものの、戦争のトラウマ(PTSD)に悩まされて、苦悩の日が続きます。
戦争体験のトラウマと聞いても、想像しにくいですが、アメリカでは実際にカウンセリングなどを受けて苦しんでいる人がたくさんいるのでしょう。この映画ではそれが群像劇となっています。
サミュエル・L・ジャクソンが感謝祭の日に酔っ払って運転して、知らない人を3人自宅につれてきて、乱れ騒いだりするところが何ともよく雰囲気が伝わってきました。また、最後に戦場に戻っていく青年もおり、これも選択肢の一つかなと考えさせられました。
エピソードが紋切型過ぎ
2008年公開か。そのころに観てたら印象違ったかもしれない。個人的にこのテーマ(帰還兵のPTSDと後遺症)を扱った作品の中では高い評価とはならないかな。
これはイラクだけどベトナム戦争やアフガニスタンでも常に描かれてきたテーマ。
エピソードが紋切型過ぎて心に迫ってくるものがない。ただこれは先で言ったように後回しで見てしまっているからかもしれないが。
とくに、先生になる女性と50セントの帰国後エピソードはスベっている。医者と再度戦場に行く若者中心で内面を深堀とかでよさそうな気がする。このテーマでオムニバスにされてもね。。
勇者たちの戦場
毎日20人の退役軍人がPTSDで自死しているのがアメリカ現状である。
えっ?と驚くか、知らなかったことにするかは自由だが、これはPKO活動や集団的自衛権の行使を宣言した日本のことでもある。
イラクから帰還した米兵達が周囲に馴染もうとしながらもどうしょうもない違和感に苛まされる恐怖体験。やり場のない思いを暴力に求め、あるいはアルコールや薬物にすがり犯罪に走る。人を殺した瞬間や仲間が殺された瞬間は、これからも見続けなければならない悪夢として襲いかかる。
政治家は若者を戦場に行かせるが若者はこれを断れない。
人は戦場に行ってはならない。戦争に勝者は居ないと改めて認識させられる深い映画だ。
監督:アーウィン・ウ
戦争の現実をとても丁寧に描いている。戦争の現実と一言で言ってもそこ...
戦争の現実をとても丁寧に描いている。戦争の現実と一言で言ってもそこには様々な現実がある。現場で戦う兵士の現実。戦場を生き残り本国に帰還したものの生きるのをやめた者の現実。生き直そうとしたものの現実。
内戦状態のイラクを解放するという大義と、石油利権のための占領という欺瞞。政治的思惑は別にして、現場の兵士の思いと、戦争に反対する反戦主義者の思いは、どちらかが間違っているという話ではない。だからこそその衝突が見ていてつらい。
無視できない小さな正月映画でした
この作品の原題は「勇者の故郷」。戦場という言葉はどこにもない。しかし、この作品を観た人なら、戦場という言葉の重さを感じずにはいられなくなる。それほどに、この作品で描かれている兵士たちを迎える故郷が、兵士たちにとっては戦場のように冷酷であることに、観客は愕然とさせられる。
「勇者たちの戦場」は、今も行われているイラク戦争に参加したアメリカの兵士たちが戦地で肉体的にも精神的にも傷つき、帰郷してからもなお普通の暮らしができないこと、そして一般の人々にイラクでの戦いを理解されないことの苦悩と怒りを描いている。アメリカでは過去にも、傷ついてベトナム戦争から帰還した兵士を描いた映画がいくつも製作されてきたが、この作品の場合は、まだイラクに多くの兵士たちが赴任して困難に立ち向かっているだけに、役者が演じているとは言え、登場する兵士たちの姿は、ベトナム戦争当時を描いた作品とは比較できないくらいに真実味や現実感に溢れている。
この作品のテーマは、アメリカ国内にあるイラク戦争に対する思いと、実際に戦地を経験した兵士たちの思いとが、あまりにかけ離れていることだ。今のアメリカには、この戦争は間違っているという思いがあるせいか、戦争そのものの現実を見ようとしない人が多い。しかし傷ついた兵士たちにとって、今も続く戦争という現実は一般のアメリカ人よりも重くのしかかっている。この作品の製作者たちは、一般のアメリカ人とイラクに行った兵士たちとの心の断層の大きさを、観客に問題提起するかのように、迫真の演出で見せ続けている。
イラク戦争が正しいかどうか、ではなく、現実に起きて参加している戦争に我々はどう向き合うべきなのか、ということを、この作品を見た後に真剣に考えさせられた。華やかな正月映画の中でひっそりと公開されたことが、あまりにももったいない秀作だと思う。
難しいテーマを退屈させる事無く見せてくれる
観終わった後、誰もが考え込んでしまうでしょう。
「ある愛の風景」も帰還兵とその家族の苦悩を描いていた作品ですが、私にはこの作品の方が、受け入れ易かったかな。
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