JUNO ジュノのレビュー・感想・評価
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観客を心地よく裏切ってくれる快作
自ブログから抜粋で。
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軽妙な会話のやりとりとポップな音楽で綴れられるキュートな青春ドラマ。
こんな素敵な映画に出会うと自分が英語ができないことにはなはだ歯がゆくなるのだが、しかし本年度米国アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞し、さらに作品・監督・主演女優賞にもノミネートされただけある本作は、活きのいい会話だけにとどまらない気の利いたハートウォーミングな青春映画として高い完成度を誇り、言葉遊びのニュアンスが多少スポイルされたところでその魅力が失われるようなことのない快作。
とかくスラングを駆使した会話のセンスの良さが持ち上げられる本作だが、映画が始まってすぐの低予算作品なりにセンスよくまとめられたイラストタッチのタイトルバックに続き、評判通りの小気味よいセリフの応酬の合間に見せるジュノの感情を押し殺した微妙な表情に、この映画&主演女優エレン・ペイジがただものでないことを思い知らされる。
妊娠検査薬の結果で妊娠が決定的となったジュノの、周囲には強がって見せても動揺を隠せず、まさかの自殺なんてことが頭をよぎる、が、でもそんなの一瞬で、マイペースにことを打開しようとする流れとか、彼氏に妊娠を伝えたときの、相手の困惑を瞬時に読み取って、えも言われぬ表情でその場を立ち去る潔さとか、言葉少ないシーンにいきなり魅了された。
確かに字幕を追いながら「英語が理解できればなあ」と思う瞬間は少なくないが、限られた文字数の中でアメリカでの今どきの風俗・文化的知識の乏しい並の日本人に最大限その魅力を伝えようとする松浦美奈女史の翻訳は充分要求を満たしてくれていたと思う。
本作の脚本を評価できるのは、正直なところその魅力の半分も理解できていないであろう会話そのものより、ほんの少しずつこちらの予想をかわす展開・構成の巧さ、優しさに満ちた青春賛歌、人生賛歌の方にある。
前向きに
重いテーマをあえて明るく前向きにそれがジュノ。
まず、最初に言いたいのは主演のジュノ役、エレンペイジの演技力、素晴らしい。
どんどんジュノに引き込まれていくのはあの演技力があればこそ。家族や友達の描き方も凄く好感がもたれるし観ていてハッピーな気持ちにさせてくれる。
しかし、彼氏の役所、設定には疑問。あの彼氏のどこに魅力を感じるのか、ジュノはどこに惚れたのかがもうひとつ。後はどの出演者にも魅力を感じた。特に父親は素晴らしく言葉ひとつに重みをもたせながらしつこくなく、家族を心から愛している。
ジュノは重いテーマながらも前向きにどんどん進んで行く、そんな素晴らしい作品でした。オススメです。是非!
重いテーマに、清々しい爽快感
まず、薀蓄(うんちく)から。
ジュノという名は
数多くの愛人が持ったゼウスの
唯一の奥さんから名付けられた名前です。
16歳の高校生が妊娠そして出産という
普通の高校生とはまるで違った経験をすることによって、
等身大通りの生き方を送っている人々との違いや、
彼らの生き方を知り、
成長していく姿を、
爽やかに、
実に爽やかに描いています。
観終わった後、
女子高校生とその母親とおぼしきの二人連れが
楽しそうに話していました。
この問題ストーリーなのに、
それ以上の感動が二人にあったのでしょう。
そう、私には思えました。
暖かい友だちや家族を持っているジュノって幸せな子!
映画を観ている間、エレン・ペイジって「プリティ・イン・ピンク」のモリー・リングウォルドに似た雰囲気だなと思っていた。後でプログラムを読んでいたら、同じことが書いてあってニヤリとした。彼女はあれだけ一世を風靡したのに大成しなかったので、エレン・ペイジにはがんばってもらいたいと思う。ふくれっ面が魅力的だったモリーだが、エレンはそれとは違う何だかしらけた感じがある。しらけていても、結構冷静に事に対処するところがすてきだ。日本では考えられないシチュエイションの話だが、両親の態度も友だちの態度もボーイフレンドの態度もみ~んな立派でびっくりした。ジュノを責めるわけでなく、実際にこうしたらどうなるかを説明し、彼女の決断を応援してくれるからだ。今、日本では子どもが親を殺傷したり、親に迷惑をかけたいといった事件が多発しているので、こんな映画を観られてとっても幸せな気分をもらえた。
勇気をふりしぼって
男1人で観に行くには相当の気合が必要でした。
ただ、予告編が面白そうやし、ミニシアターからここまでになって、面白くないわけないでしょと。
映画館に入ると案外ガラガラで(おっさんやけど)男1人の人もいたんで安心しました。
同じ境遇になったことがあるって人はかなり少ないでしょうけど、あまりにもJUNOと自分との共通点がなくて入り込みづらかったです。
ただ見ていて飽きはしなかったから、女の子にはウケが良いんでしょうか?
愛すべきキャラクターたち。
16歳で高校生のジュノの予想外の妊娠。
望んでいなかった妊娠でも、自分らしくキュートにポップに、
人の波を掻き分け歩いて行くジュノが大好き。
女子高生のジュノ(エレン・ペイジ)が
バンド仲間のポーリー(マイケル・セラ)とのたった一回のセックスで
妊娠してしまい、中絶しようとしたものの思いとどまり、
里親となる夫婦を見つけ出し、家族の協力を得ながら、
出産に挑戦していく。
アメリカでは小さな公開規模から徐々に面白さが広まって大ヒット。
そんな情報があって期待度も高くなっていましたが、素直に面白かった。
ジュノは普通に見ればちょっと変わった女の子。
性格も行動も普通じゃないと言えば、普通じゃない。
子供が出来てしまい、中絶しようとしたものの、すぐに心変わりし、
里親を探して一生懸命になる。その重そうな話を実に軽妙に描いていく。
が、決して軽いだけではない、上っ面をなでただけの作品にはなってない。
エレン・ペイジが作り上げたジュノのキャラクターは素晴らしく魅力的。
軽いだけじゃなく、真剣さを、深刻さを十分に感じさせるけども、
趣味も独特で、十代らしい振る舞いで、ユーモア溢れる言葉遣いで、
周りを振り回し、どこかつかみ所のないようなキャラクターが、
作品を明るくし、温かくし、大人で子供なジュノを笑いながら、
涙しながら、見守りたくなる。
残念なのはリアルだと思われる現代的な言い回しだったり、
ポップな世界観だったりがおそらくアメリカの人々が感じたようには、
僕には全ては分からないのだろうなというところだろうか。
アメリカ特有の文化や社会を理解できていない僕には、
労働者層や富裕層の描き方や、
十代の友人関係の描き方を全てを理解出来ない僕には、
皮肉を込めた描きかと分かってるようで、存分には味わえてないでしょう。
ジュノだけでなくポーリーだって、両親だって、親友だって、
里親に選んだ夫婦も、魅力的で、この作品のキャラクターたちは、
みんな大好きで、冒頭から引き込まれる演出で、
印象的な人波に向かっていく場面や、何気ない描写が心地よく、
軽いようで、ただ軽くなっていない家族だったり、親友だったり、
ポーリーに対する愛も、十分に感じられる。
これで今年のアカデミー作品賞ノミネートの作品は全部観たことになる。
僕がノミネート作品から選ぶと作品賞は
ゼア・ウィル・ビー・ブラッドだけど、
すると当然のように次点はノーカントリーであるが、
ジュノも大好きな作品となりました。
深刻じゃないけど…
暗くなりがちな10代の妊娠が、予想に反して軽いタッチで描かれていて、しかもホロッとさせられるシーンもちりばめられている。凄くバランスのいい作品です。
赤ちゃんを養子に迎える予定の奥さんが主人公のお腹をさするシーンや出産のシーンなどには思わず涙が。。。実は“人の誕生の”尊さをしっかり描いている映画なんだな~と思いました。
センスのある映画
「14才の母」的な感じかと思ってたら全然違った
お国事情ですね
妊娠してから出産までの過程を淡々と描いた青春映画
軽い感じでセックスして、軽い感じで生むと決めて、軽い感じで里親探し、何もかもがライトな印象を受ける
主人公1人称の物語で登場人物に深入りしないせいもあって、ものすごくシンプルな仕上がり
でもやっぱり最初に言ったように、舞台はアメリカ、日本と価値観がまったく違うわけだから里親制度がなんじゃら、子供の父親のボーイフレンドはなんと無責任か、とまぁいろいろでてくるはず、そういうつっかえもあって、純粋には楽しめなかった感じでした
でもアメリカ風ハッピーエンド、登場人物みんなが納得をして最後を迎えられたところには拍手を送ってもいいかな
バーガー電話と肘掛け椅子
ジュノ。16才。一度の「過ち」(あえて、このコトバを使おう)で予定外の妊娠。それを他人事のようにしか振舞えない相手の男子。それにいらだつジュノ。16才の妊娠にそこそこの驚きは示すものの、周囲はそれなりの理解をもってジュノに接する。ジュノは迷った挙句に出産を決意。祝福されない出産、それでも祝福を得ようとしてジュノは走り出す。
この映画には、いかにも未熟な女性がとびつきそうな可愛らしい「バーガー電話」と、円熟した大人のための「肘掛け椅子」が登場する。個性的だが、あまり実用的ではない「バーガー電話」で同級生に自分のイライラをぶつける一方で、庭の「肘掛け椅子」に腰を落としてパイプをふかし物思いにふけるジュノ。つまりは、自分の中の不安に揺れる未経験な少女を前者が、自己責任を果たそうとして大人ぶる少女を後者が象徴している。
ちょっと大袈裟な言い方をすれば、この映画は妊娠への責任を安易に取ることで決着する近頃の「できちゃった結婚」へのアンチテーゼという見方もできるだろう。一度の「過ち」の共犯者である男子は、のほほんとして相手の女性の妊娠に責任をとろうとはせず、勿論とる甲斐性もなく、当事者意識にも欠けている。だが、だからといって不誠実なのでは決してない。やがては誠実さが伝わるシーンに軽妙な楽曲が流れ、ランニングをする集団が二人の前をいつものように駆け抜けて、あっという間のジュノの一年が終わるのだが、大きな問題が一つ。この映画は、レイティングの付け方がホント、難しい!
主人公はもちろん、周りの大人たちに共感!潔ぎいい!
<ストーリー>
ジュノは16歳の高校生。興味本位で友達のブリーカーとした、一度だけのSEXで妊娠してしまう。最初はすぐに堕ろそうとするのだが、産婦人科で待っている間に考えが変わり、出産後養子に出すことにする。すぐに子供のいない、感じのよさそうな夫婦と養子縁組の話も進むのだが・・・
<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
アカデミー脚本賞や、
わずか4館での上映から全米に拡がった等の冠にも、
その予告編を観た後も全く食指が動くことはなかったのですが、何かの解説で読んだ、
未成年の妊婦を持った親が、決してその事で娘を卑下しない態度を見せる・・・
というのに惹かれ鑑賞。
まずは70年代中心の渋い選曲と、絶妙にチープな楽曲に乗せて、
軽快な台詞を連発する主人公が超魅力的!
また周りの大人たちがかっこいい!
主人公の「相手」だけが・・・
【ぐだぐだ独り言詳細】
楽曲は70年代の既成曲と、いい感じで力の抜けた楽曲のバランスが実にいいです。
古めの曲は、
ザ・キンクス、
バデイー・ホリー(懐メロか・・・)、
モット・ザ・フープル、
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、
更にカヴァーで、
カーペンターズ(byソニック・ユース)、
♪シー・オブ・ラヴ♪(ハニー・ドリッパーズのカヴァーで有名な曲)
が流れるのとともに、
ベル・アンド・セバスチャンと、
これは私は初耳の、
キミヤ・ドーソンなるアーティストの曲が7曲も使われてます。主演のエレン・ペイジが好きなアーティストとして挙げた彼女を、監督が気にいったようですが、
かなり力の抜けた感じは、この映画にピッタリ。
この楽曲のリズムに乗るように、
主人公は結構スラングや際どい言葉の連続ですが、
汚い言葉を吐いているいうよりは、
あっけらかんとしたキャラクターを表し、
むしろいい印象です。
またそのスタンスはどんなときも変わらず、
自分の身に起こった一大事を、
悩んでオロオロするのではなく、
何とか解決しようと超前向きで、
ユーモアと潔さを感じます。
周りの大人たちがこれまた魅力的で、
特にジュノの継母がかっこいい!
継母という立場ながらとても娘のことを思っていて、
妊娠してもその事を卑下することなく、
妊娠することがとても素敵であることを伝えるところ、
むしろ無神経な外からの目から守ろうとする態度、
大人になって夫婦関係を築いていくことの難しさを説くところ等、
こちらもユーモアを持ちながらも、
凛とした姿勢にジ~ン・・・
父親も少しの戸惑いはあるものの、
自分の仕事のことも、
夫婦関係を築いてきたことも、
そして娘のことも、
誇りに思っていて、こちらもかっこいい!
里親の夫の方も、
ちょっと大人になりきれない感じが、
逆に素直に出ている役どころは、
養子を迎えることにはやるばかりの妻との対比の中で、
好感が持てる感じでした。
米映画の流れで行くと、ありがちな結末に行きそうな流れでしたが、
その流れに行かないところもかなりの好感度です。
一つわからなかったのは「相手」のブリーカー。何でこいつ・・・まあ趣味の問題と言われればそれまでですが・・・
主人公のジュノがキュート
主人公の高校生ジュノの妊娠が発覚してから、出産までの騒動。テーマとしては新しくないのだけれど、ジュノの独特な表現やボーイフレンドや友人、両親との関わりかたがとっても愛らしい。
お気楽志向に突っ走りすぎず、「常識」へのシニカル加減も適度。それと脚本を書いたのがエリートじゃないから、登場人物がそれぞれこういう人だといいな、と思うような言動で拍手を送りたくなる。それにハッピーエンドだから、アメリカでヒットした理由はここあたりかも。
描き方として
この作品は妊娠の苦しみを描いていない。
しかし、今回それは正解であった
妊娠、出産、新しい命、
その全てを肯定的で明るい視点から切り取った描写は観客を十分楽しませる力がある。
そして何より、見終わった後に笑顔になれるはずです。
JUNOのキャラクターはおもしろい
主人公のジュノのキャラクターはおもしろいし、ジュノの考え方には共感ができた。
何よりも印象的だったのは、映画の中で使われている音楽がとてもよかったこと。サントラだけでも楽しめる!
映画は面白い、結構笑える。でもこれが現実に自分に降りかかったらとても笑えないでしょう。なので現代のおとぎ話なんだな。
確かに「日本の作品にありがちな後ろ暗さは微塵もない。ただ事実を事実として受け止め、あっけらかんとした明るさ」が印象に残りました。
あくまで当事者のティーンズの目線で、興味本位のセックスやその後の妊娠にいたる顛末に対し、一切批判的もせず肯定もせず、ただこうなったという傍観者の視点からカメラはJUNOを追い続けていたのです。ギャグも交えて。
そのライトな感覚が同世代の共感を得て、ヒットに繋がった要因でしょうね。
でも、妊娠しても前向きにケロッとして、すぐさま養子縁組を希望している夫妻を見つけて、会いに行くような肝の据わった女子高生っているものでしょうか?
夫妻にあっても、JUNOはまるで赤ちゃんを自分の体内で「製産」し、「チューブ」から絞り出すような感覚で、ポンと渡す感じなのです。そこには微塵も出産に対する母性を見せないのですよ。
あれでは、熊本の赤ちゃんポストと対して変わりはしないのです。
同じ年頃のマイミクさんやコミュの人にも聞いてみたいです。
相手の男の子も全然責任感を感じず、他のガールフレンドをデートに誘おうとしているのです。実際問題、そんなのアリ~でしょうか。
普通のカップルはできちゃったとき、愛が深まるけれど、JUNOとポーリーの関係はその逆なんです。ネタバレになるから、うまくは言えませんが。
映画は面白かったけれど、こんな結末でホントにいいのか、すごく疑問に思いました。
ただ彼女自身台詞でも語っていましたけれど、こんな信じられない話をさもありなんと納得させるだけのキャラなんですね、彼女は。
『JUNO』という名前は、ギリシャ神話のゼウス妻の名前から付けられたそうです
。ちなみに6月のJuneは、ローマ神話に出てくる女神Juno(イタリア語でユノ、英語ではジュノ)からきており、ジュノは、全知全能の神ジュピターの妻で女性の守り神、婚姻を司る神様とされていました。ジュノは、別名ヘラといい、ジュピターは、ゼウスのこといいます。
ゼウスとヘラの結婚は 、聖婚と呼ばれとても神聖な結婚であったのですがゼウスは、浮気ものでした。浮気に対するヘラの壮絶な復讐劇は、相手の女性やその子どもにまで嫌がらせをするほど嫉妬深いものでした。
だから海外の人がJUNOの名前にイメージするとしたら、気の強い女の子ということがすぐに浮かんでくることでしょう。『JUNO』だったらやりかねないと名前で納得する部分が大きいのでしょう。
それとなんと言っても、ジュノを演じる御年二十歳のエレン・ペイジの演技に尽きます。主張するティーンエイジをいかにもというオシの強さで演じていました。きっと彼女は、同世代の女の子の代弁者として、同じ目線の演技をキープして、支持を掴んだのでしょう。
共感できるところも・・・しかし
命の大切さを訴えようとしているのはわかるのです。確かにその点では共感しますが、やはりそうならないように親の姿勢が大切なような気がします。その点も うまく出せたらもっとよいと思いました。
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