「古い道徳観よりも現実を捉えた」JUNO ジュノ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
古い道徳観よりも現実を捉えた
総合:70点
ストーリー: 65
キャスト: 80
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 75
こういうことを主題にするとやたらと倫理観が先にたち重く深刻になりがち。特にアメリカでは宗教が絡んできて、その価値観から抜け出せなくなることも多い。
だがそのような価値観の視点からは今までもさんざん語られてきた。現代風の現実的な違う観点から見ることもあってもいい。親が十分に子供を育てる能力も意思もある状態であるのが理想だが、それが出来ないこともあるし実の親子が一緒に暮らさないほうがうまくいく場合も現実にはある。特にアメリカでは離婚や家庭崩壊が増え(2組に1組が離婚)、血のつながらない家族が普通にどこにでも存在する時代であるから尚更である。過去の価値観が現実に追いついていないことはよくある。
このような意見に反対する人も当然いるだろう。別に過去の価値観が間違っていて今後はこのようなことが良いのだと言う気はない。だが高校生の主人公は自分で育てるのが現実的ではないことを知っているし、子供のために良い里親を探そうとしている。女子高生の彼女にとって妊娠して体型が変わったまま学校に行き同級生から好奇の目で見られることは、本来ならば勇気がいるし幸せなことではないだろう。それなのにやたらと軽く明るく生きていこうとする。子供を心から欲しがる里親もいる。現実を見たときに従来の価値観を基に最初から全否定するのではなく、こういうのも1つの方法としてあってもいいのではないかと考える。
主人公のエレン・ページは高校生らしい幼稚さを残しながら前向きに生きていき成長する。そのはつらつとした演技が映画全体の雰囲気を良くしていて好感が持てる。