「愛すべきキャラクターたち。」JUNO ジュノ いきいきさんの映画レビュー(感想・評価)
愛すべきキャラクターたち。
16歳で高校生のジュノの予想外の妊娠。
望んでいなかった妊娠でも、自分らしくキュートにポップに、
人の波を掻き分け歩いて行くジュノが大好き。
女子高生のジュノ(エレン・ペイジ)が
バンド仲間のポーリー(マイケル・セラ)とのたった一回のセックスで
妊娠してしまい、中絶しようとしたものの思いとどまり、
里親となる夫婦を見つけ出し、家族の協力を得ながら、
出産に挑戦していく。
アメリカでは小さな公開規模から徐々に面白さが広まって大ヒット。
そんな情報があって期待度も高くなっていましたが、素直に面白かった。
ジュノは普通に見ればちょっと変わった女の子。
性格も行動も普通じゃないと言えば、普通じゃない。
子供が出来てしまい、中絶しようとしたものの、すぐに心変わりし、
里親を探して一生懸命になる。その重そうな話を実に軽妙に描いていく。
が、決して軽いだけではない、上っ面をなでただけの作品にはなってない。
エレン・ペイジが作り上げたジュノのキャラクターは素晴らしく魅力的。
軽いだけじゃなく、真剣さを、深刻さを十分に感じさせるけども、
趣味も独特で、十代らしい振る舞いで、ユーモア溢れる言葉遣いで、
周りを振り回し、どこかつかみ所のないようなキャラクターが、
作品を明るくし、温かくし、大人で子供なジュノを笑いながら、
涙しながら、見守りたくなる。
残念なのはリアルだと思われる現代的な言い回しだったり、
ポップな世界観だったりがおそらくアメリカの人々が感じたようには、
僕には全ては分からないのだろうなというところだろうか。
アメリカ特有の文化や社会を理解できていない僕には、
労働者層や富裕層の描き方や、
十代の友人関係の描き方を全てを理解出来ない僕には、
皮肉を込めた描きかと分かってるようで、存分には味わえてないでしょう。
ジュノだけでなくポーリーだって、両親だって、親友だって、
里親に選んだ夫婦も、魅力的で、この作品のキャラクターたちは、
みんな大好きで、冒頭から引き込まれる演出で、
印象的な人波に向かっていく場面や、何気ない描写が心地よく、
軽いようで、ただ軽くなっていない家族だったり、親友だったり、
ポーリーに対する愛も、十分に感じられる。
これで今年のアカデミー作品賞ノミネートの作品は全部観たことになる。
僕がノミネート作品から選ぶと作品賞は
ゼア・ウィル・ビー・ブラッドだけど、
すると当然のように次点はノーカントリーであるが、
ジュノも大好きな作品となりました。