「家族=愛の証。」JUNO ジュノ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
家族=愛の証。
2007年度アカデミー賞、脚本賞を受賞した本作。
本を書いたディアブロ・コディが元・ストリッパーと
いうことで、やたら話題になったけれど、内容が
良いのだから?過去の仕事が何よと思うんだけど、
同時にそれは、ここで描かれるジュノに通じるのだ^^;
このジュノという女の子、見ようによっては何だこいつ?
なのであります。冒頭からジュースをタンクでガブ飲み、
何かと思えば、トイレでこれから妊娠テストをするために、
おしっこをためていたわけなのね(爆)
ある意味アメリカ風で現代的。友達だと言い切る男の子に
自分からセックスを仕掛けて、その結果が妊娠。
最初は中絶の道を選ぶも中止、その後里親を自分で見つけ、
サッサと面会に行く…という^^;まぁストレートなのだ。
さらに大人も顔負けなほど、口が達者。
これだけしっかりしているのに、何で避妊しなかったの?
ってなもんですけども…(汗)
だけどそんな、一見小生意気に見えるジュノが、
やはり普通の高校生なんだと、だんだん思えてくるのです。
何より彼女のイイところは、自分に正直なところ。
こういう場合、双方に責任はある。男にだって、、ねぇ。
彼女とボーイフレンドのポーリー(これがまたイイキャラ♪)
の関係は、特に妊娠しても変わらない。。。彼は本当に
ジュノが好きでそうなったのに、ジュノがはぐらかす為、
ちょっとひねくれたりするのだけど、まだまだ子供なので
彼ら二人の行動が、まったくもって素直なのだ。
誰かをすごく好きになって、互いの子供が欲しいと思う。
そんなごく普通のプロセスをすっ飛ばしてしまった彼らには、
互いを駆け引きして試すだけの度量がない。だから。。。
「好きだよ。」「私も大好き。」に落ち着けるのだ。
いちばん大切で当たり前の感情を、彼らが示してくれてホッ。
淡々と物事をやりこなすような彼女には、彼のように、
どっしりと構えてボ~っとするくらいゆとりのある子がイイ^^;
そして、ジュノの両親。父親は離婚して今の母は後妻だ。
この両親が素晴らしい!(いないぞ、実際にこんな親は~)
J・K・シモンズとアリソン・ジャネイの名演に支えられて、
ジュノは無事に出産を迎える。。
里子に出すはずの夫婦が、実は上手くいってないと判明し、
それを聞いて泣きじゃくるジュノが痛ましかったxx
自分も両親の離婚を経験しているのだから、辛かったろう。
でもこの件で、世の中そうは甘くないことも分かる…。
実際に子供を産むということは、こんなに甘くはない(爆)
だけどそれが、大変だからと切り捨てられることでもない。
日本でも高校生が、学校のトイレで産んだとか、産んだ後
処置に困ってコインロッカーに入れた、という事件があった。
もしもこの子たちが、誰かに打ち明けて助けを請えたなら…
今作を観て、とてもそう感じた。大切な命を粗末にしないで。
ジュノの両親のようにはなれなくても(汗)
打ち明けてもらえる親でありたいと、心から願った自分…。
…そしてその後。
ジュノは普通の生活に戻り、彼とも順調に過ごしている。
一見何ごともなかったように見えるかもしれないけれど、
自分の産んだ子供を手放したことは、
いずれ彼女の心に深く突き刺さるときがくると思う…。
それを糧にして、これからを大切に生きるべきなのだ。
冒頭の脚本家が成功したのは、自分の過去を葬り去らず
大切に表現できたからだと思う。ジュノは彼女かもね。。
(しかしエレン・ペイジ!!オバハンの貫禄がすでにある^^;)