「ロックの全盛期は?」JUNO ジュノ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ロックの全盛期は?
高校生の妊娠といった問題を扱っているようだけど、それが重要なテーマではなく、単なる設定といったところなのか。日本で作られるとなると暗くて重く、そして最後には愛情あふれた映画になりそうなのですが、さすがはアメリカ産映画。なんとなく『ゴーストワールド』のゾーラ・パーチを思い起こしてしまい、限りなくオタク映画に近い内容だった気がします。
映画のタイトルや俳優名、それにミュージシャン名がポンポン飛び出してきて、それが妙にマニアックだったため、余計なところで笑ってしまうオタク心。愛情表現も苦手そうだし、子供が産まれるというのに母親の心を持てないといった、風変わりな女の子ジュノ。1977年がロック全盛期だと主張するのもパンク大好き少女の特徴をよくとらえていました。こんな子、学生時代にいました!一緒にバンドやってた子・・・
こんなジュノを演ずるエレン・ペイジ。『X-MENファイナルディシジョン』や『ハードキャンディ』からずっと期待してたけど、タダ者ではない。今回は主役だからいいものの、脇で出演しても主役を食ってしまいそう。それくらい存在感があるのです。オタクで快活、そして本人は嫌がってるけどsexual active。憎めない性格だけど、付き合うと大変そう(ダリオ・アルジェントが好きだと言われても困るぞ)・・・そんな難しい性格を見事に演じていた。
一方、里親としてジュノの子を引き取ることになった父親マーク(ジェイソン・ベイトマン)。生まくる子やジュノのことを思うと許せないような人物でしたけど、彼もまたオタク。『ゴーストワールド』で喩えるとスティーヴン・ブシェミにあたる(?)。やりたいことをやるんだ!と抑圧されてきたものを吐き出す気持ちもなんとなくわかる。
そしてジュノのボーイフレンドのポーリーを演ずるマイケル・セラ。オタクとは言えないかもしれないけど、オタクっぽいのです。ここ最近、ポール・ダノといい、ジョン・ヘダーといい、脱力系のオタク男がもてはやされてきているのかもしれませんねぇ。いい傾向です(うそ)。
さて、高校生の妊娠といえば、なぜだか『エクソシスト』のリンダ・ブレアを思い出してしまいます(実生活において)。彼女も若くしてオスカー候補になってるのですが、その後は麻薬で捕まったり、ラジー賞の常連になったりと女優としては波乱万丈だった。エレン・ペイジには同じ轍を踏んでもらいたくないものだ・・・