劇場公開日 2008年1月12日

「英雄ではない無法者」ジェシー・ジェームズの暗殺 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0英雄ではない無法者

2013年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

難しい

総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 80
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 65

 知らなかったが、ジェシーは有名な実在の犯罪者らしい。アメリカはかつて犯罪者でも有名になれば一方的に自分たちの望む虚像を作りあげ英雄視するような傾向があったが、この映画はそれに異を唱える。英雄でもなく悪役でもないそのままの彼らがいる。そこに犯罪者たちの感じる狂気や重圧や恐怖などが描かれている。アメリカも随分とまともな感覚で犯罪者を見るようになった。
 彼らは縦横無尽に暴れるだけの英雄でも自由の象徴などでもなくて、人として犯罪者としての苦悩も背負いながら生きている。根っから犯罪者のジェシーだが、彼も自分を守るために用心深くなるし疑り深くなるし、そのために仲間を信用せず性格も安定しなくなる。マスコミを通してしか彼を知らない人々にとって、マスコミが伝える虚像と実像とにはかくも差がある。そしてその取り巻きたちの等身大の刹那的な生き様が、緊張感の中にしんみりと描かれている。そのような雰囲気が伝染して精神的にボブが追い詰められ狂気に走るのも当然か。真実は賞金目当てなのか自分が追い詰められたからなのかわからないし、ボブがまともな人間であったようにも思えない。だが映画として登場人物の心の動きが楽しめると作品となった。またそのような心の動きをジェシー役のブラッド・ピットとボブ役のケイシー・アフレックが特にうまく演じていた。

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Cape God