「VFXの進化には当方の頭脳の進化がついて行かれずただただ疲労困憊するばかり」スピード・レーサー 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
VFXの進化には当方の頭脳の進化がついて行かれずただただ疲労困憊するばかり
『マトリックス』三部作を作り上げたウォシャウスキー兄弟の製作・監督作品だけに展開の早さについてつけず、爆睡(..;)
何せマッハレベルのスピードを表現しているので、めまぐるしいスピード感に圧倒されます。そして人物以外はCGで描かれた映像は何故か極彩色で、細かいところまで作り込まれていました。
というわけで、VFXの進化をまざまざと感じさせてくれる映像ではあったのですが、当方の頭脳の進化がついて行かれず、ケバケバの極彩色にちりばめた花火や群衆や町並みのが超特急の走馬燈のように流れ去っていく圧倒的情報量の映像はただただ疲労困憊するばかりでした。
あといくらマッハでも表現が大げさすぎです。ほとんど重力を感じさせないくらいにレースカーはくるくると空を舞います。完璧に凍結した氷結の道路の中を、まるでフィギァスケーターのように舞いながら走り抜けていくトーンでは、すごく違和感を感じました。
そんなわけでこの作品はCG合成版よりも完全実写の方がもっと迫力が出たのではないでしょうか?もうすぐ公開のレース映画『レッドライン』と比べて、『レッドライン』の方が超絶スピードの疾走感を感じさせます。一台数億円するスーパーカーをクラッシュさせて、空をくるくる舞い飛ばせるなんて映像が実写で見られるなんてすごいでしょ!
やはり演出過剰もほどほどにしないと、レースシーン自体が嘘っぽく見えます。映画を見ているというよりも、ゲームを見ている感覚ですね。
あと真田広之がミステリアスな実業家役で出演していましたて、なかなかいい持ち味を演じていたのに、ちょっことしか見られなかったのが残念です。
それとレースの真っ最中に、レースそっちのけで、悪党軍団と対決やっている暇はあるのかといいたくなります。原作がファミリー愛対銭ゲバ企業の対決という構図になっている以上、落とせないところだったかもしれません。でもそのまま映画にすると稚拙さが際だってしまいます。
さらに謎のレーサーXもかなりバレバレなのに、なんで正体を明かさないのかも疑問に思いました。演出のために正体を伏せておきたかったのか、それと次回作への布石だったのでしょうか?
さすがにアメリカ本国で受けなかったのも頷けました。