「単なるアメコミのヒーローものから、際立つ人間ドラマとして、ブラッシュアップしてきていると思います。」ウルヴァリン:X-MEN ZERO 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
単なるアメコミのヒーローものから、際立つ人間ドラマとして、ブラッシュアップしてきていると思います。
見てきて1ヶ月経ちましたが、、ずっと多忙で(実はアプリにはまってしまい・・・(^_^;))レビューを書かずにいました。すいません、今頃で。
本作は、ミュータントが活躍するX-MENシリーズのビキンズ編として、ウルヴァリン誕生が描かれます。そしてラストは、X-MENシリーズの一作目へとつながるエピソードが描かれていました。
ガンビットやデッドプールなどの人気キャラクターも続々と登場してきますので、シリーズのファンの人は画面から目が離せないでしょう。
2008年に独立制作を開始して以来マーベル・スタジオズの絡む作品は、単なるアメコミのヒーローものから、際立つ人間ドラマとして、ブラッシュアップしてきていると思います。
特に本作で見所は、兄弟の絆と葛藤が見物です。
冒頭から切なくなるのは、主人公の少年若きジェームズ・ハウレットは両親を惨殺されたとき、自らの超能力が芽生えて、犯人ローガンを惨殺してしまいます。しかし、犯人が事切れるとき、自分が実の父親だったことをジェームズに告げます。
そしてジェームズは、兄のビクターともに森へ逃げて、二人きりで生きることになることです。立ち上がりから劇的でした。
その後で南北戦争や2度の世界大戦に参加して、めざましい活躍をしていきます。けれども兄のベクターは次第に能力に酔いしれていき、ベトナム戦争のときには、村人へ暴行を行おうとし、さらに上官を殺してしまいます。
このとき軍人ストライカーによって、その能力を見いだされた兄弟は、特殊部隊「チームX」にスカウトされます。
「チームX」非人道的な行いにジェームズは疑問を持ち、やがて脱退はしますが、ビクターはますますのめり込んでいくのでした。
これで済まないのが、兄弟の葛藤。力を信奉するビクターにとって、弟のくせに自分よりも高い能力を持つジェームズの存在許せなかったのです。
6年後、ジェームズはローガンと名乗るようになり、恋人のケイラ・シルバーフォックスと共にカナダでひっそりと暮らしていたのでした。そこへ、弟の能力に勝負を挑んできた、ビクターが登場。ローガンを本気にさせるために、ケイラを殺してしまうという暴挙に出てしまうのです。
それ以来、ローガンは復讐の鬼となり、ビクターに戦いを挑みます。
けれども、兄弟が闘うように仕向けた背後にいたストライカー挑むラストでは、思わぬところで「ウルヴァリン」となった弟に、ビクターが加勢する訳なんですね。やはり兄弟なんだなと魅せてくれましたね。
ケイラとの恋と裏切りの微妙な関係。
中盤にローガンがどれほどケイラを愛したかがたっぷりと描かれます。だからこそ、その後に過酷な肉体改造を受け入れて「ウルヴァリン」となってまで復讐を遂げようとするところに説得力が生まれました。
怒りを爆発させるローガンの気持ちには、思い切り感情移入できましたね。
けれどもケイラの死には、意外な真相が隠されていました。う~む、このドンデン返しが、ただのヒーローものではないという、所以でしょうね。
ウルヴァリンの名前の由来となる、ケイラの語った月とトリックスターにまつわる言い伝え。 ケイトに お前がトリックスターだったか告げたのが印象的でした。
“月”のために”トリックスター”にそそのかされて地上にバラを取りにいったために戻れなくなった精霊”ウルヴァリン”の命名エピソードはなかなか切ない感じです。
最後は記憶を失ってしまうウルバリン。それが彼にとってかえってよかったのかも知れません。
ケイトとの愛は、最後の最後まで、悲劇で彩られましたね。それが本作に深い人間ドラマとしてのスパイとなりました。
これから見ることは、エンドロールの後にも映像があるので、見落とさないでください。