「【”我、人間より自然を愛す。保証する。だが。”今作は長年の両親の不和を観て来た青年が、安定した未来を捨て一人荒野に旅立ち、様々な人と交流し、”或る境地”に到達する様を描いていくロードムービーである。】」イントゥ・ザ・ワイルド NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”我、人間より自然を愛す。保証する。だが。”今作は長年の両親の不和を観て来た青年が、安定した未来を捨て一人荒野に旅立ち、様々な人と交流し、”或る境地”に到達する様を描いていくロードムービーである。】
■クリストファー・マッカンドレス青年(エミール・ハーシュ)は大学を優秀な成績で卒業する。
両親から将来を嘱望されていた彼だが、周囲に何も告げることなくオンボロ車で旅に出て、途中で金も全て燃やす。
途中でさまざまな人々と出会いと経験を重ねたクリスは、最後に徒歩でアラスカの荒野へ入って行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は観る年齢や境遇によって感想が大分変って来のではないかな、と思った作品である。
ジョン・クラカワーの原作「荒野へ」は登山をしていた事も有り(彼は、登山家でもある。)読んでいたし、序盤に語られるソローの「ウォールデン 森の生活」も読んでいたし、ジャック・ロンドンの「ホワイト・ファング」も読んでいたし、映画も観た。
・故に、多分、10代の後半に今作を観てたら、相当に感化されたと思う。
・けれども、僕は30代半ばまで、結構先鋭的な登山を行っていた事も有り、クリストファー・マッカンドレス青年の余りにも、無謀な荒野に向かう無防備な序盤の数シーンが気になってしまったのである。
渓流を無許可でカヌーで下ったり、ヘラジカを仕留めても解体の仕方が分からずに腐らせてしまったり・・。
当時のガールフレンドから”危険な事をするのが、格好良いなんて思ってないでしょうね!”と言われた事が、頭を掠め乍ら・・。
・クリストファー・マッカンドレス青年は旅の途中で、ヒッピーの夫婦や、彼に恋する16歳の美少女(クリステン・スチュワート)や、妻子を事故で失ったロン(ハル・ホルブルック)と出会いながら、アラスカの地へと歩んで行くのである。
だが、彼は夫々の人達との別れの際には、笑顔である。養子にならないか、と言われたロンにはアラスカから帰ったら、と答えている。これらのシーンがラストに効いてくるのである。彼は、決して自暴自棄ではなかった事が分かるからである。
■この作品が心に残るのは、作中でクリストファー・マッカンドレス青年の両親が幼い頃から不和であり、喧嘩が絶えず、更には母が実は父の愛人であったという事が、彼の妹のナレーションで告げられることである。
これは、相当にショックだと思うのである。
故に彼は大学4年間を”義務”のように、成績優秀なまま卒業して、両親と別れを告げるのである。何も言わずに・・。
・物語は、冒頭で彼の終の場になるアラスカの荒野のバスに辿り着くところから始まる。そして、彼が卒業した後に、旅に出る過程を
1章.僕の出生
2章.思春期
3章.人間らしさ
4章.家族
最終章.英知を知る
の順で綴って行くのである。
・4章までは、クリストファー・マッカンドレス青年が、様々な経験や多くの人と触れ、成長していく様が描かれる。
故に、最終章.英知を知る でのラストのやせ細ったクリストファー・マッカンドレス青年の眼から流れる涙が、心に哀しく響くのである。
<今作は長年の両親の不和を観て来た青年が、安定した未来を捨て一人荒野に旅立ち、様々な人と交流する様を描いた映画なのである。
そして、ラストに流れるアコースティックギターで歌われる名曲「ギャランティード」が、心に沁みるのである。>
