「6年生。悩みは尽きなくても戦争は近づいてくる。僕は何をすればいい?」ハリー・ポッターと謎のプリンス NandSさんの映画レビュー(感想・評価)
6年生。悩みは尽きなくても戦争は近づいてくる。僕は何をすればいい?
前提として
・原作は未読。
・『ハリー・ポッター』シリーズは『~と不死鳥の騎士団』まで視聴済。
・デビッド・イェーツ監督の他作品だと、『~と不死鳥の騎士団』を視聴済。
むぅ……好きだけどこれはちょっとなぁ……
配分が学園物にかなり寄っている。寄りすぎかもしれない。特に『~と不死鳥の騎士団』の後だと本当に思う。
ヴォルデモート復活して、死喰い人たちが暗躍しまくっていて、ホグワーツも狙われっぱなしで……のはずなのだが普段よりも学生生活を謳歌している。
いや別に、青春を謳歌しているのが気に食わないのではない。めちゃくちゃ和むし好きなシーンばっかりなんだけど、(観たかったのは)このタイミングじゃないよな……っていう。
今は打倒ヴォルデモートをメインで観たかった。戦争前夜の雰囲気なら、戦闘準備のシーンが多少はあるよね……とか。
展開も、主人公たち(+ダンブルドア)が何をしたいのか、どんな障害を取り除くためのストーリーなのかが非常に分かりづらい。
サブタイトルである"謎のプリンス"="半純血のプリンス"も、正体が明らかになったとて一切物語に影響していない。そもそもハリーが探し求めているわけでもないし、ハーマイオニーは証拠掴めないし、正体を明らかにしないといけない理由もない。
タイトルを大いに無視しても良かったかもしれない。そうしたら、もっと自由に描きたいこと描けたんじゃなかろうか。あくまで憶測だけど。
終盤になってようやく、打倒ヴォルデモートに動き出すのだがやはり物足りない。
原作がこんな感じだとしても、向こうは小説だ。納得できる部分も多々あるのだろう。でも映画の二時間だと納得がいかなかった。
では、キャラクター描写について。ここはめっちゃ好き。
ハリーは学業と進路と恋(相手はジニー!)に悩む一人の青年。そんなときにダンブルドアからスパイを頼まれる。そんなことやってられっかよ!!
彼の中でダンブルドアに対する信頼も揺らぎます。それでもこなそうとするのが彼の面白いところ。
ロンが非常に面白い。いわゆるモテ期だと思う。浮かれたり怖気づいたり、もうてんやわんや。ハリーと一緒に一年生を見守る様子が微笑ましい。もうお兄ちゃんなんだな……
それはそれとして惚れ薬のシーンは必見。
ハーマイオニーが良い。非常に良い。ロンへの恋愛感情に振り回されるハーマイオニー。終始感情的なハーマイオニーはやっぱり見もの。個人的には魔法薬の授業で悪戦苦闘する様子が好き。
有名なバタービールのシーンもあるよ。
ロンとハーマイオニーの恋愛描写に注目。本作のハイライトの一つ。
ジニーが妖艶な感じがかなり良い。そりゃモテますわ。それでもハリーに近づこうとする様子がいい。保護者感は否めないけど……
ドラコも注目。本作の主人公は彼の方だと思う。スタイリッシュでかっこよく、孤高のようでいて常に葛藤している。父親のこともあるのだろう。
終盤のドラコの悲痛な表情……観ていて非常に悲しくなる。そういえば取り巻きの二人も離れちゃったね。
スネイプとダンブルドアに最注目。非常に大きな心の揺れが観られる。見どころの一つ。
こうやって観ると、ハリーは本作の主人公ではないな……どこか地味すぎる。本人も何をしてるのか、イマイチ分かっていなかったんだと思う。だから命令に従うけどダンブルドアに疑念を抱く。
エンドロールの明るい感じも違和感満載で、初めから終わりまでぼんやりとした映画だった。良く言えばキャラクター描写に優れた回。
良くも悪くも次作に投げた。そんな作品。