「あらゆる「私たち」のために」ミルク talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
あらゆる「私たち」のために
最初から最後まで緊張の糸が張られていてほっとすることができなかった。それでも幸せな雰囲気、幸せなカップル、笑えるところ、嬉しいこと、みんなの協力と団結、勇気と希望を感じることができた。重いテーマでありながら淡々とした構成と演出であることが不思議で、逆にそれが今に繋がり、希望への変化と逆戻りが繰り返す歴史と現在をリアルに浮かび上がらせていた。
クローゼットから出られない若い人達の苦しみ、死に向かう人たちの多さに悲しみ苦しんだハーヴェイも最初からカミングアウトしていた訳でなく隠していたことに胸が痛んだ。高齢者、障害を持つ人たち、居場所がない人たち、ゲイ、肌の色に関係なくみんな、あらゆる「私たち」を見える存在にしたハーヴェイ・ミルクを知った。優しくかわいらしく、強くてしなやかなハーヴェイ、オペラを愛するハーヴェイ、「トスカ」を見て聞きながら50才までは生きられないと思っていたんだろうか。こんなに難しく繊細で複雑な役を演じたショーン・ペン、素晴らしかった。
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