劇場公開日 2009年4月18日

  • 予告編を見る

「胸に迫る感動作! ショーン・ペンも凄いけど、周囲も素晴らしい」ミルク ダース平太さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0胸に迫る感動作! ショーン・ペンも凄いけど、周囲も素晴らしい

2009年4月1日
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

1970年代のアメリカで、ゲイであることとを公表した上で初めて公職に就き、人種や性別、年齢による全ての差別撤廃のために戦った実在の政治家ハーヴィー・ミルクの姿をドラマ化した本作は、本年度アカデミー賞で8部門にノミネートされたその事実からも、クオリティの高さに期待をしていた。

で、映画を観終えた際の率直な感想を言うと、しみじみと、そして静かに深く胸に突き刺さった。正直、ミルクの存在は知らなかったが、ショーン・ペンが演じるミルク、その人は、頭が良くユーモアもあり、そして何より勇気と優しさがあった人だと思う。当然、ダメな面もあり、例えば政治活動にのめり込むあまり、プライベートで大事な人との間に距離を空けてしまったりもするのだけど、その弱さも含めて人間的な魅力を大いに感じた。

役者陣では主演のショーン・ペンがとにかく素晴らしくて、オスカーを獲得したのにも大納得の熱演なのだが、彼を支えたジェームズ・フランコやエミール・ハーシュ、それからジョシュ・ブローリン、ディエゴ・ルナ、などなど、脇を固めたキャストのアンサンブルも素晴らしいので必見!

なお、主人公がゲイというだけで、観る事をためらう人もいるかもしれないが、それはあまりにももったいない。百聞は一見にしかず。試写の会場で目を真っ赤にはらしている人もいたので、騙されたと思って観て欲しい。ガス・ヴァン・サントの生涯の代表作になる1本だと心から思う。

ダース平太