「当分、エビが食えなくなった」第9地区 あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
当分、エビが食えなくなった
2009年アメリカ映画。111分。今年22本目の作品。いまだに観に行っていない「アバター」の前売り券を持っていながら、またしても別の作品を観てしまいました。本作は、南アフリカの監督が撮ったヨハネスブルグを舞台にした社会派エイリアンものの作品です。
内容は;
1,ヨハネスブルグの上空に飛来した巨大宇宙船にいたエイリアンは極度の栄養失調に陥っており、人間は第9地区と呼ばれる隔離エリアに住まわせてから20年が経つ。
2,しかし、エイリアンたちの素行が悪く、市民の不満が募っていき追放しろという社会運動にまで発展する。
3,それを見かねた政府はエイリアンたちを人間界から離れた地域に移住させる計画を立て、立ち退き命令を勧告させるリーダーを抜擢する。
ヨハネスブルグという街を舞台にしなければ本作は奇々怪々な作品にしかすぎなかったと思います。そうならなかったのは、やはり舞台がヨハネスブルグだったから。本作は力作なのですが、その力の根本はこれにつきると思います。
そこまでグロくはないが、ちょいグロな描写がダダダッと連射銃のように連発します。それはエスカレートすることもなければ手を緩めることもなく、展開がスリリングになってもリズム崩すことなくダダダッと来ます。
おかげさまで、わたくしは途中からかなり胸焼けがしていました。
でも本作は力作なのは間違いないし、辛口批評家がこぞって絶賛したのも分ります。「差別」という社会心理をうまく描いていますし、「人種差別」という問題の本質は、本作を観ると、きれい事ですまされない人間の心理に根深く内在する感情であるのが分ります。
ほんと力作なのは間違いなしです。