「おんもろかった。」第9地区 RMSNKさんの映画レビュー(感想・評価)
おんもろかった。
この映画、予告編を観ても
さっぱり内容がわかりませんでしたが。
「なんか、すげえ面白い」
と言う評判が先走っていたので
ちょっと確認をしてきました。
なんか、すげえ面白かったでした。
B級のニオイがプンプンしてたので、
まぁ、肩肘張らずに観よう。
みたいな感じでしたが、
良い方向に期待を裏切られました。
掻い摘むと、平凡な
御役人である主人公が
ひょんな事から
人の心を持ったまま、
悪魔の左手とパワーを
身に付けて
やむを得ない事情から
人類と戦う事になってしまう。
みたいな感じなのですが、
嫌な奴ではあるけれど、
普通に仕事を一生懸命やって、
嫁と平穏に生活したいだけの人が
ガンガン不幸になって行くので
可愛そうでした。
変容する自分の体に
怯える主人公の描写や、
差し迫る危機に遭遇し、
攻撃方法を身につけた瞬間の
スカッとする感じが最高でした。
見ようによっては、
差別問題に対する皮肉と受け取れますが、
正義の為に戦っているわけではない
ダークヒーローの話として楽しめました。
主人公、異星人、人類。
誰も、正義はおらず、ギリギリの
シチュエーションで漸く垣間見える
ヒューマニズムが現実的です。
個人的には、容赦の無い戦闘シーンは、
バーホーベン監督の
「スターシップトゥルーパーズ」を髣髴とさせ、
自らの肉体の変容に恐れる主人公は、
塚本晋也監督の「鉄男」を想起しました。
他にも、
「インディペンデンス・デイ」の様な宇宙船や、
TV版「エンタープライズ」の虫型ズィンディ
みたいな宇宙人が出てきたり、
終盤の重要なシーンで
「あ、こりゃトラクタービームだ。
ポピュラーな手段!!」
と言った具合に、結構色んな作品の
おいしい所取りな印象があり、
斬新な要素は少なく、
様々な映画や作品と比較される
運命にある映画かもしれません。
加えて、
誰もが納得の行くラストでは無い
でしょうけれども。
昨今のSFの中では抜きん出た
世界が構築されていると思います。
これで完結でもありですが。
後日談が気に成ります。
「3年後」を期待してます。